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シーソーゲーム

 ここは負けてもしょうがない。逆転を狙うのは次から。

 それが今女の総意だった。が、なんと優位を奪ったのは今女の方だった。


 今度はアルファ攻めへ切り替えた今女は声呼と良瑠のコンビネーションがハマり、『DarkGuru』と『Temp』をダウンさせる。

 しかし、奥にいた麗羅から良瑠が狙撃されてしまい、声呼は一度引いた。

 彼女たちによってベータの守りは崩壊したと見て、アーティファクトを持つ樹那は友愛と灑に守られつつロケットの設置に取り掛かった。


 慌ててベータに戻ってきたアリス、『Comet』はリテイクを試みた。

 上手く友愛を倒したものの、設置の阻止は間に合わず、さらにアリスまでダウンさせられてしまう。

 一度引いた『Comet』は麗羅と協力し、敵の殲滅、あるいはロケットの解除を目指す。


 『Comet』は前、麗羅は後ろからカバーし侵入していく。

 すると奥から灑がピークし、姿を見せたため『Comet』は反射的に撃った。が、灑も見られたことを即座に察知し、身を隠したため被弾は免れた。

 『Comet』も一度引いたが、その時、手前の通路から入れ違いで樹那がピークしたのが見えた。

 『Comet』は強気にも、すぐに樹那を追った。


【Jyuna:声呼、こっち。二人いるぞ】


 声呼にカバーさせ、もう一度ピークしようとしたが、すでに背後には『Comet』が迫っていた。

 反応が間に合わなかった樹那は倒されてしまう。


【Jyuna:すまん! やられた!】

【Seiko:了解!】


 声呼はすかさず、タキノボリを使い、壁の上へ上がった。

 『Comet』はまさか上にいるとは気づかず、無防備に体をさらしてしまう。


【Seiko:こっちだよ】


 『Comet』はどこから撃たれたのか分からなかった。

 気づけば、地面に横たわっていた。

 麗羅はその状況から、彼を撃った声呼がどこにいるか、予測した。

 それは正確だった。声呼を見つけた彼女は銃口を素早く動かしたが、もう一人の存在を忘れてしまっていた。


【Rei:いただき!】


 横から最後の一人、麗羅を撃ち抜き、なんとエコ・ラウンドを勝利してしまった。


「ナイス!」


 背後で見ていた真希波は、駆け寄って灑の肩をつかむと前後に揺さぶった。


【Rei:い、いたいです!】

【Jyuna:おいおい。怪我させるなよ?】


 その様子を見て、メンバーたちからは笑みがこぼれた。

 ここを勝ちきったのは、単なる1ラウンドの勝利にとどまらない。それほど大きな意味を持つ勝利だった。

 なぜなら、エコ・ラウンドを勝ったことにより、次のラウンドは立場が逆転、P高がエコ・ラウンドを強いられることとなるからだ。

 さらに勝利を重ねるチャンスである。



 今度はアルファを攻める今女、ここで装備差を見せつけ、『Temp』、麗羅、『Comet』の三人を次々と排除する。

 アリスがなんとか声呼を仕留め、1ダウンだけ取り返したが、人数差四対二。装備差も考えれば絶望的状況である。


 今女はロケットを設置、少し離れたところから設置場所を見張るように散らばった。

 もはや、全員を倒している時間は無い。P高はなんとかして解除するしかなかった。


 『DarkGuru』がエンマクでロケットを隠すと、アリスはウォール・スフィアを使い、敵とロケットの間に壁を作り出す。

 それを防護壁とし、強引に解除を開始。『DarkGuru』はそのカバーをする。


 敵が解除を始めた、というゲーム内メッセージを受けた今女は、壁の向こうへ突入すべく移動を開始。

 解除中は身動きが取れない。『DarkGuru』は一人で四人を相手にすることになるが、それは当然ながら無理があった。


 このラウンドも続けて今女が勝利。これでスコアは6-9である。


【DarkGuru:マズいな】

【Temp:大丈夫! まだこっちがリードだ】

【DarkGuru:余裕とも言ってられない差になってきたけどな】

【Temp:今のはエコ・ラウンドだから。負けてもしょうがない】

【Comet:その通り。ここから突き放すぞ】


 いつになく、『Comet』が強い言葉を発したので、『DarkGuru』は彼の顔を見た。

 単なる強がりではない、そう感じさせる余裕がそこにはあった。


【Riley:『Comet』さんのおっしゃる通りですわ。もう、対策は見えています】

【RisuxRisu:もうパターンは見えまシタ】

【DarkGuru:よし、お前たちを信じる】


 『DarkGuru』は自らの力を疑ったことはない。

 高校生レベルでは抜けた存在であることは確かだ。


 ただ、それだけに、これまでは味方に頼るということを知らなかった。

 そんな彼が、初めて自分より味方の方が自信がある、という状況に立たされていた。

 そのことに不満もないし、不安でもなかった。

 すでに、チーム・メイトの力を知っていたし、信じていたからだ。


 そして、宣言通り、ここからP高校の逃げ切りが始まったのである。


Riley … 麗羅

RisuxRisu … アリス


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