絡まる思考
カスミ、レフィ、リュウは二人と別れてからすぐにカポネファミリーというアゲハを攫った者達が根城とする建物の前まで辿り着いた。建物の面する通りは、先ほどレプトがいた時に起こった騒動から時間が経ったためか、人が行き交っている。
そんな中、一つの建物に目標を絞った三人はすぐにそちらへ向かっていった。そして、近付くとすぐに気が付く。建物の前にレプトが一人で立ち尽くしていたのだ。
「あれは……レプト!」
三人の先頭を走っていたカスミはレプトの存在に気が付くと、彼の名前を呼んですぐに走り寄る。リュウとレフィもその後に続いた。
「ん、ああ……カスミに、リュウとレフィも」
自分の名を呼ばれてやっと三人の存在に気付いたらしいレプトは、呆けた様子で彼らの方へと顔を向けた。カスミは心配していた彼が無事であったという安心と、アゲハがいないという焦りから早口で言葉を並べる。
「ちょっとレプト、怪我がないのはいいんだけど、アゲハは? 一体ここで何があったの?」
「…………」
レプトはカスミの言葉には答えず、おもむろに背後を振り返る。彼の視線の先には、先ほど彼の同類である鵺と対話した場所。
「……車に戻ろう。そこで話すよ」
レプトは静かにそう言い、三人の間を通り抜ける。
「ちょ、ちょっとレプト……」
アゲハと話したことがあり、事情を詳しく知っているカスミは咄嗟に振り返ってレプトの方を向く。だが、彼女はレプトの背を見てすぐに口をつぐむ。彼女にはレプトの背が迷っているように見えたのだ。小さく揺れ動くその背に加えて普段より足取りも重く、様子が妙なのは傍から見て明らかだ。
「……分かったわ」
この中で最も長くレプトと一緒にいた時間の長いカスミはそれを察し、彼の言葉に黙って頷く。リュウとレフィは意図が分からず顔を見合わせて首を傾げながらも、二人の言葉に従い、ついて歩くのだった。




