○○は裏切らない~悪役令嬢の最後の味方~
【肉の日マッスルフェスティバル企画用テンプレート】
1.あなたのユーザーネームを教えてください。
A 索創☆実現機です。
2.ゴリマッチョ派ですか? 細マッチョ派ですか? それ以外ですか?
A 細い方で
3.あなたの作品の中で一番のゴリマッチョを教えてください。
キャラ名:八本腕
出演作品:フルダイブVRってゲームに向いてないよね!~VR空間でフぃみョンとまったり遊びます~
語りたい事があれば:最近だと148部分に登場。あんまり筋肉押しではありません。
4.あなたの作品の中で一番の細マッチョを教えてください。
キャラ名:本ノ郷 旋
出演作品:変身女子高生!~騎乗変身英雄に憧れる彼女が異世界で変身できるようになった件~
語りたい事があれば:主人公ですが、エタっております・・・
5.あなたの作品の中で、一番好みの筋肉をしているキャラとその体つきを教えてください。
キャラ名:ミッケニ
出演作品:フルダイブVRってゲームに向いてないよね!~VR空間でフぃみョンとまったり遊びます~
体つき:子猫型宇宙人です。スッポリ収まる野性的ボディ。
語りたい事があれば:登場は69部分からです。
6.漫画、アニメ、ゲームキャラの中で好きな筋肉の部位を1〜5箇所あげてください。(例:DBのベジータの大臀筋が好き等)
①北斗の拳ラオウ上半身
②北斗の拳ケンシロウ上半身
③ストリートファイターザンギエフ全体
④ストリートファイター春麗大腿四頭筋
⑤大臀筋ならリクームのお命頂戴
7.一番好きな筋肉の部位はどこですか?(何筋フェチ?)
A 引き締まった腹直筋上部には憧れます。
8.あなたにとって筋肉とは何ですか?
A あまり表現した事の無いものです。
機会があれば書いてみたい。
9.筋肉キャラの絵を載せてください。絵を描かない方は10にお進みください。
10.あなたの作品のキャラを使って、200字以上の筋肉SSを書いてください。
A 筋肉を題材にした小説でいいのかな?
ポカポカとした庭園。
始めて主催した事になっている、お茶会で私は愕然とした。
この光景。見覚えがある。
音が色が消えていく。
ブルブルと震え始めた手でどうにかカップを戻す。
「どうなさいました?」
「御気分が悪いのですか?」
「たいへん、ドレスにも染みが」
何故か、口々言いながらに心配そうな顔で側による友人達の言葉も耳に入らない。
思い出した。思い出した。思い出した・・・!。
私の頭の中はそれだけで一杯だった。
悪役令嬢だ!
これからの人生を予知してしまった私は黙って震え続けた。
☆
ドンドンドンと私の部屋の扉を叩く音が枕越しに小さく聞こえる。
屋敷の自室、使用人を追い出して、カーテンとドアの鍵を閉めて。
薄暗いベッドの上でうずくまり、頭を抱えて枕を被った私、本ノ郷 旋は助かる方法を必死に考える。
『○○を味方に令嬢は笑う』
この世に産まれる前に遊んだ乙女ゲームだ。
いや、現在の私はトラックに跳ねられそうなところを異世界の夜の神に助けられている。
異世界に転移した上に転生だから前前世か。
どうしてこうなった?
エタっている罰なら作者に当ててほしい。
転移、転生。混乱して前前前世と思わず歌いそうになるがそんな事はいい。
まずは現在の状況確認。
たしか主人公は幼い頃に行方不明になり、庶民として苦労して育って後、男爵夫妻に見つけられたという設定。
庶民暮らしの知恵で貴族の令息達を驚かせ、最後は味方につけていくシナリオ。
タイトルに伏せ字とか、御都合主義が過ぎるだろうというツッコミ所満載のゲームだが。
問題は私が悪役令嬢のミュスクルだということだ。
悪役令嬢。主人公に意地悪したり邪魔したりするキャラクター。
普通のゲームやお芝居だとプレイヤーや観客にストレスを与える憎まれ役で、最後にひどい目に合う事によりカタルシスを与える。
ゲームではざまぁと楽しんでいられたが。
自分自身が転生したとなると笑ってもいられない。
なにしろミュスクルの末路は処刑か修道院送りしかない。
ちなみに修道院に行ってもスローライフはできない。
シナリオの最後に『先輩にいびられ耐えきれなくなったミュスクルは・・・』と余計な事が書いてあった。
どちらにせよ長生きはできない。
どうにかゲームのシナリオから離脱せねば・・・。
そして、異世界に戻らねば。
現実世界に戻るとたぶん死ぬ。
だが、戻り方がわからない。
転移先なら神と話せたのだが。
とりあえず、ゲームでの十年後の破滅を避ける為に、私は考え続ける。
ゲームの主人公に関わらない。
ダメだ。ゲーム二周目からは操作できるキャラクターが増え、悪役令嬢であるミュスクルでも遊べた。
主人公に手を出さなければ良いと、たかをくくったプレーヤーは断罪イベントで驚く。
全く関わっていない罪が次から次に告発されるから。
別のキャラクターでプレイすれば、ミュスクルの取り巻きが犯した罪を擦りつけた事や、王子が捏造した事だとわかるが。
ミュスクルを操作しても一番良いエンデングは修道院送り。
やってもいない罪を認め、王子と主人公に土下座で謝り倒してやっと命だけ救ってもらう。
それ以外は処刑される。
他のキャラクターを操作してもミュスクルは助からない。
男同士エンドまであるのに何故かミュスクルは攻略対象ではない。
メーカが忘れたか容量不足でカットされたか。
ゲームならば良いけれど・・・。
実際の令嬢になってみれば冗談ではない。
何で、身分も常識もない主人公と不誠実な王子の為に犠牲にならなくてはいけないのだろうか。
しかし・・・、味方がいない。
『○○を味方に』とタイトルに入っているだけあって、この世界では味方が重要な役割をはたす。
同じことを言っても、何故か自分で言うより他人が言った方が信用されるのだ。
断罪イベントでも主人公ではなく王子がペラペラ喋り、何故かそれを信用した人々に私は裏切られる。
ゲームだからしようがないのだが。
味方。味方。味方・・・。
今いる友人は所謂取り巻き。仲は悪くないが、主人公に勝手に嫌がらせをした上、自分達に嫌疑がかかりそうになるとミュスクルに濡れ衣を着せる輩だ。
信用できない。
父、母、兄も断罪イベントでコロッと手のひらを返す。侯爵家といえども王家には逆らえないのか、娘の無実を証明することもなく、縁を切る。兄に至っては騎士団長の息子と一緒にミュスクルを強制土下座させる役だ。
信用できない。
使用人。一番仲の良い乳姉妹でも最後は裏切る。一応男爵令嬢である主人公に助けられたというシナリオはつくのだが、生まれた時から一緒にいた侯爵の令嬢を裏切るのはどうだろう?
身分も付き合いも上のはずだが。
ゲームでは友好度百%でも、ミュスクルの味方はしてくれない。
当然、信用できない。
友人もダメ。家族もダメ。使用人もダメ。
味方がいない。
侯爵令嬢といえどもたった一人では何もできない。
現実の、異世界に転移した体なら力ずくでなんとかなりそうだが、今の幼い体では無理そうだ。
このままいけば断罪イベントで強制土下座か処刑エンドだ。
味方、一人でも良いから味方が欲しい。
味方、みかた、ミカタ・・・。
自分と同じ考えで、応援してくれて、絶対に裏切らない。
そんな存在いるのかな・・・。
親も友人も兄弟も義姉妹も裏切るのに・・・。
この世の人ではいなさそうだ。
あの世一の世界では何人かいるのだが。
あの世二の世界にもいる。
でも、この世にはいない。
いないが、何かひっかかる。
絶対に裏切らない存在がいたはず・・・。
前世か? 前前世か?
ええい! まぎらわしい!
裏切らない、うらぎらない、ウラギラナイ・・・。
思い出した!
決して裏切らない味方の存在を・・・。
☆
「ミュスクル! お前との婚約を破棄する!」
見目だけは良い王子が私に向かって予定通りのセリフを吐く。
避ける為に色々してきたつもりだが、ゲームの強制力はなかなか強力だった。
「なぜですの?」
聞こえない振りを少しだけしてみたが誰も喋らず動かない。
固唾を飲んでいるのとは違うようだが・・・。
なんだこれ? 怖い、と思いつつシナリオを先に進める。
「~~! ~~~! ~~!!」
王子のセリフをボタン連打で飛ばせ無いのがうっとしい。
私が主人公にしたとされる行為、主人公の服にインクをかけたとか、ノートを隠したとか無視したとかさえずっている。
ほとんどは捏造か、濡れ衣なのだが、無視したのだけは身におぼえがある。
極力、かかわり合いにならないようにしていたから、主人公のアイコンタクトを見ない事にしたのは確かだ。
「最後! 主人公を階段から突き落としたのは殺人未遂だ! 私は殺人犯と結婚する気は無い!」
ハアハアと王子が荒い息を吐く。
あの程度の長文で息を切らせるとは。
鍛えが足りん。
そして、前半で未遂と言いながら後半で犯と言う。
頭の中身も足りぬらしい。
私は目を細めた。
さて、正念場だ。
「「跪け! 罪人が!」」
我が兄、ではなくモブキャラと騎士団長の息子が私の肩を押さえる。
我が兄は長年の努力でシナリオから外れている。
親や義姉妹ゲームでは最後に裏切られるが、今までは良好な関係。
友人も救える人はシナリオに関わらせていない。
今日シナリオが覆れば・・・。
シナリオ通りなら私はこのまま床に顔を押し付けられる。
フッ。
シナリオは覆ったようだ。
笑う一人。赤い顔の二人。
二人ともまるで足りてはいない。
貧弱! 貧弱!
思わずUで始まりそうな雌叫びあげそうになり、口許を扇子で隠す。
筋肉。それが私の味方。前世でも前前世でも鍛え上げてきた私だ。
ステータスが見えるならカンスト鍛えるなど楽勝。
レインボーパラメーターステータスを紫一杯まで鍛え上げた我が味方が緑パラメーター半ばの二人に屈する事などあり得ない。
どうでも良いがあまり私の三角筋に触れてくれるな。
少し、肩に力を入れる。
パン! とひ弱な二人が吹き飛んだ。
布地に余裕のあるパフ袖のドレスがありがたい。
これからすることを考えると、あまり意味は無いのだが。
フロント・ダブルバイセップス!
サイドチェスト!
バック・ダブルバイセップス!
サイド・トライセプス!
ノースリーブのドレスにお色直し。
襟と手首に布地が残ったが、アクセントとしてちょうど良いだろう。
さて、観客の反応はいかがか?
「あ、あの筋肉」
「美しい・・・」
「そういえば、あの方」
「ああ、階段なんか使っていなかったぞ」
「そうだ! いつも鍛練用のロープで登り降りしていらした!」
「え、あの騎士学部の生徒でもキツい?」
「いや、問題はそこじゃ無いだろ」
「階段に行って無いって事は・・・」
「ああ、王子の告発は嘘なのか?」
ガヤガヤ。ザワザワ。
この日の為に鍛え上げた筋肉が無言で私を弁護する。
「静まれ」
さほど大きくも無いが良く通る声が響いた。
皆、頭を垂れこのパーティの主を迎える。
「何事か?」
王は話さない。御付きの者が問いただす。
「聞いてください父上。あの女が・・・」
王子の言葉に王の視線が私に向いたのがわかった。
グッと筋肉に力を入れる。
私の筋肉は嫌がらせなどしていないと語る。
この世界では筋肉にものを言わせた方が信用される。
王の御言葉は私の計算通りのものだった。
☆
「それで? おかあさまは、こんやくはきされたの?」
少し舌っ足らずの息子達が問いかけてきた。
「いいえ」
片手に一人ずつ。筋トレは昔程しなくなったが年子の兄弟をだっこするぐらいは容易い。
「え~。おたうさまさいてー」
弟王子が夫に濡れ衣を着せる。
「違いますよ。私は皇太子の婚約者だったのです。婚約破棄しようとしたのはお父様の弟ですよ」
「修道院にいってかえってこないおじさん?」
「そうです」
「なんの話だ?」
執務を終えて帰ってきた夫が私から兄王子を片手で受け取る。
夫も前世の記憶持ち。
シナリオ通りなら病弱で死ぬ予定を私と同じ味方をつける事で克服している。
私が居なくなる可能性も受け入れてくれた。
パン!
「ああ、またボタンが飛んだ・・・」
夫の鍛え上げられた胸があらわになる。
「また、デカく成りましたの?」
王妃がデカイと言うのはどうかと思うのだか喜ぶのだからしようがない。
「ああ、また仕立て直さないとな」
軽くキスをして夕食に向かう。
できればこの世界にもう少し居たいものだ。
・・・鳥の笹身と、鮪の赤身のローテーションに耐えかねて兄弟が家出するのは、また別のお話。
☆☆☆☆☆
茂木 多弥様よりFAを頂戴しました。
アブノミナル アンド サイ! あっ・・・!
・・・やってもうた。
10の『あなたの作品のキャラを使って』を思いっきり見落としてました。
書き下ろしだったので悪役令嬢に旋を起用。
変身女子高生との関わりは薄い話になっております。
他の人達が、「オッス、オラ三角筋! メロンって呼ばれてっぞ!」みたいなお話だと浮きそう。
筋肉ssってなんぞや?
注釈
前前前世 RADWIMPS様楽曲より
貧弱! 貧弱! URYYY JOJOの奇妙な冒険一部より