8.城下街
もう1話は午後に投稿する予定です。
***
評価ありがとうございます。
初めてのブクマありがとうございます!
感謝しかありません。
次の日、テオと2人の護衛に連れられて城下街にやってきた。街はさすが都で中世ヨーロッパの様な建物が立ち並ぶ活気あふれる所だった。
「すごーい、結構人が多いんですね?」
「大陸一番の国の王都だしな。瘴気の森があるにせよ、冒険者ギルドの護衛とかを連れて商人の流通も盛んだし際立って困ってる事はないだろうな」
「そうなんですね」
馬車の中から街並みを見ていると、到着したのか静かに停車した。
テオが先に降りて、さっと手を差し出される。今日のテオは詰襟の騎士服ではなく、街の中で溶け込めるように白いシャツを着崩しトラウザーを履いて、一段と色気が駄々洩れな気がする。少し照れながら手を重ねると、ゆっくりエスコートされ馬車から降ろされた。降ろされたのは活気溢れる市場の様な所だった。
「わぁ…凄い、色々売っているんですね。あの吊るされてるのはなんですか?」
「ん?あれは、ブラーチェっていう果物で乾燥させて保存食みないなもんだな」
くるくる市場を巡り、露店の美味しそうな串焼きも買ってもらって、広場の座れる場所で休憩する。護衛の一人が飲み物まで買って来てくれた。
「わざわざ、ありがとうございます」
微笑んでお礼を言うと、「御気になさらずに」と少し離れて控える。
食べ終え飲み物で一息いれた所で聞いてみる。
「テオ、この街で瘴気の影響とかはまったく無いのですか?」
「まったく無い訳じゃないな、王都の外には魔獣はいるし…瘴気の影響を受けてしまう人も少なからずいる。しかし生きていく為には、助け合って前を向かないとな。そしてこれは、ミオの為に必要なものだから受け取ってくれ」
ウィンク一つして、そっと私の手を取り小指に可愛い小花がついたピンキーリングをはめてくれた。
「これ…は?」
「これは、万が一ミオが危険になった場合に俺やジークに居場所を教えてくれるものだ。うちの筆頭魔術師が作った物だ、絶対に外さない様にしてくれな」
「は…はい」
テオは説明しながらリングを付けた指に唇を落とす。驚いて固まり真っ赤になる私を見て、余裕の微笑みを見せた。その後も街を探索し、テオは街の人達と交流が多いのか沢山声を掛けられ、その度に『いつもと違う雰囲気の女性を連れてるな~』と揶揄われてた。実際、色気駄々洩れのテオには、大人っぽい人がいいのだろう。いくら少し若くなったとはいえ…私の様なのと揶揄われてはテオに申し訳なかった。
「最後にここも見せておきたかったんだ」そう言って着いた場所は教会だった。この教会は隣に孤児院も管理しており、魔獣によって家族を亡くした子供や、瘴気の影響で身体が不自由になった方々がいるという。
中に入ると「テオ様っ!」「テオ様だっ!」と子供達がテオの周りに集まってきた。子供達はテオの隣の私を見て不思議そうな顔で様子を伺う。
「みんなと遊べたらいいなと思って、テオに連れてきてもらったの。一緒に遊んでくれる?」
私が少し屈んで子供達を見れば、みるみるうちに目を輝かせて「もちろんだよ!」と笑顔で答えてくれた。
テオが神官様と話しをしている間、孤児院の中庭で『鬼ごっこ』を子供達に教えて走りまわった。最後には、私が疲れて動けなくなった所で遊びは終わり教会を後にした。
帰りの馬車で、子供達や瘴気で苦しむ人の事を考え胸が苦しくなる。未だ、私の異界の乙女としての力は出現しておらず…どうすれば力が使えるようになるのか、何かが必要なのか何が足りないのか…まったく分からない事に落ち込むばかりなのだ。
そっと伸びてきた手が私の頬に触れる。
「ミオ…そんな泣きそうな顔でどうした?何か言われたのか?」
「違うんです…何も出来ないから辛くて…私は、何の為にここにいるんでしょうか?なんの力も使えず…困ってる人が苦しんでいる人がいるのに…」
「ミオは勝手に呼ばれただけだ…力があるかどうかなんて初めから決まってた訳じゃないし誰にも分からない。でも、今日ミオは孤児院の子供達を笑顔にしただろう?あいつら楽しそうに大声で笑ってただろう?また来て欲しいってお願いされただろう?それもミオに出来た大事な事じゃないか。ん?そうだろ。」
そう言ってテオは私の頭をポンポン撫でてくれた。
落ち込んでしまう事もあるけど、無い物を嘆くよりも今の自分に出来る事を頑張るしかないと奮い立たせるしかなかった。
お読み下さり、ありがとうございます!
感想・評価頂けたら励みになるので
どうぞ、よろしくお願いします。
場所は、最新部分の本文・後書きの下にあります。




