28.浄化と救出
評価・ブクマありがとうございます!
少し痛い表現などあります。
苦手な方はバックでお願いします。
ネロール側での森の浄化方法は、今までのやり方を私が進言し採用された。しかし、乗馬服は許してもらえず…装飾の少ないドレスを用意された。私を身軽にはしたくないのだろう。今回はヨハンネルの北の森よりも規模は小さい為、辛い浄化にはならないと予想された。
しかし、私を外に出す事が心配なのだろう。アルベルト王太子自らゲルドと共に同行した。王太子は、森を進む時も傍を離れない。浄化の時だけは…渦の傍には寄る事は危険だと説明し、私だけが渦に近づき浄化する様にした。
森の奥に進むにつれて不安が膨らむ…私の小鳥は、ちゃんとジークに届いたのだろうか…。アルンが作ってくれたリングもある、ジークのネックレスもある。信じるしかないのは分かっているけど…あまりの不安に、浄化で私の周りから人が離れる隙を見て…土の小人をジークに送る。
浄化を繰り返し、ヨハンネル王国との国境に一番近い渦に近づいた時…ジークから貰ったネックレスが、じんわり温かくなった気がした。確証なんて無かった…だけど今この時だと強く思った。
渦に近づきしゃがみ込む。光の粒子を出して、視線だけで辺りを見回す。ヨハンネル側の木々から銀色が見えた気がした。私は粒子を維持したまま、地面に手を着く。
強めに魔力を一気に練り込み、自分と王太子や騎士の間に広い範囲で土の壁を作り出した!それと同時に、ハイヒールを脱いで駆け出す。
「っ!!まずいっ、急いで周りこめっ!」
驚き焦った様に大声を上げる王太子。装飾は少ないものの重たいドレスの裾を両手いっぱいに手繰り寄せ、精一杯ヨハンネル側に走る。足が痛い、でも走りは止めない。
もう少し後少し…これで捕まったら最後、ネロールの城から一歩も出してもらえず監禁され続けるだろう。二度とジークに会えなくなってしまう。そんなのは嫌っ!痛い足を必死に進め走る。
「足を狙えっ!」
後ろから大声で指示が飛ぶ。走る私の周りで突風があちこちで上がってる。きっと足を狙って風の攻撃をされているのだろう。怖い…ただ前だけ向いて走る。ヨハンネル側の大きな木から人影が見えた。あぁ、もう無理だ…涙が溢れ…走り続ける頬を流れていく。
「ジークっ!!!!」
走る勢いそのままに両手を広げるジークの胸の中に飛び込む。その瞬間アルンが二人の前にスっと出て防御壁を出す。次々と木々から騎士や魔術師の姿が現れる。
全て臨戦態勢だ。何も考えたくなかった、今だけは…ジークの胸の中で抱かれていたい、さらにぎゅぅっとしがみつけば…ジークの腕にも力が入るのが分かる。
ヨハンネルとネロールお互い、しっかり距離を取った状態で睨み合いが続く。
「異界の乙女はヨハンネル王国の庇護下にあると通達したはずですが、ネロールはそれすらお分かりになりませんか?」
沈黙を破ってジークが声を張る。
「どこの庇護下にあるかは関係ない、この世界唯一の乙女自身がどこに居たいのか。それが大事なのでは?」
ふんと笑って王太子が答える。無理やり私を奪いに来ない所をみると、ネロールも大国ヨハンネルとは表立って対立は避けたいのだろう。
「我が国は、助けた女性を連れ帰った所…異界の乙女であると判明しましたので保護したまでの話」
「物は言いようだな…、だがネロールが言う様に乙女がどこに居たいのかご自身に決めて頂くのが良いでしょうね。それだけは同意します、乙女よ…どうされたいですか?」
ジークが私の身体を離そうとしたので、イヤイヤと首を振り、腕に力を入れる。涙でぐちゃぐちゃな顔だけネロール側に向けて大声で叫ぶ。
「私の居場所はヨハンネル王国です!!他の国に庇護されるつもりはありません。国と国との話し合いで浄化の要請が来たら、お手伝いはします。でも…浄化を手伝う事は出来るけど、私自身を差し出す事は絶対にしません。」
言うだけ言って、またジークにしがみつく。今は残っている渦とか、もう知らない。嫌だ、早く帰りたい。
「乙女は、こうおっしゃっている。この言葉を受けてヨハンネル王国第2王子として、丁重に乙女をお連れします。ヨハンネル王国としては無益な戦いは望まない、しかし乙女の意思を捻じ曲げる対応をされるならば…こちらも乙女のお心を守る手段は問わないと言っておこう。さらに乙女の言葉により、今後は国を通し正式な書簡として浄化の要請をして頂きたい。でわ」
アルベルト王太子は苦虫を噛み潰したような顔で、こちらを睨みつけていた。そんな彼の視線を物ともせず、ジークはテオに視線を投げ頷き…アルンに指示を出し私を抱き締めたまま緊急転移がされた。
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