27.小さな小鳥
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ネロールの南東にある瘴気の森へ浄化をしに行く事になった。これまで再三、町の人々の浄化する事をお願いしているが許可されなかった。瘴気の森は渦の影響で魔獣も多く被害が多く出る為、見過ごせないと判断した王太子が浄化を決断した。
日程も決まり出立日を待つばかりの状態だったが…実際の所、私の精神は限界に近く…何も許される事なく部屋に監禁されている様な状態で。部屋に訪れるのは豪華な贈り物を持って、瘴気を浄化して欲しいと願う貴族ばかり。
「乙女様につきましては、ご機嫌麗しゅうございます。先日乙女様が、力は必要な者の為にあるべきとの事を聞きましたので…ぜひとも、我が娘を浄化して頂きたくお願いに参った次第でございます」
「少し見せて頂いても構いませんか?」
「耳が聞こえなくなってしまったのです、このままでは縁談も組めず行き遅れとなってしまいます」
そんなそちらの状況など知らないが、瘴気の影響ならば浄化しなければと思う。この世界で浄化出来るのが私だけなのだから、目の前に必要とする人がいるならば浄化するべきだろう。貴族は浄化出来るのに、町の人々の浄化は許されない理不尽さに歯痒いが今はどうする事も出来ない。
私は座っている令嬢の傍まで行く。耳が聞こえなくなるという事は、きっと脳の中の神経が侵されているか…直接耳の器官が侵されているかだろう。令嬢の頭付近に手を近づけ、光の粒子で包み場所の特定をし…そのまま浄化する。
「浄化はされましたが、すぐ聞こえるかは分かりません。少しづつでも聞こえ始めるかもしれませんし、様子を見てあげてください」
「ありがとうございます!これはお礼の品になります、どうぞお受け取りください」
「お持ち帰りください。お気持ちだけで結構です」
「いや、しかし…奇跡の力で浄化して頂いて何もしない訳には参りません」
「何もしなくて結構です。お引き取りください」
そんな事を繰り返す毎日。ここ数週間…何も要求せず大人しくしているおかげで、ほんの少しなら融通が利くようになった。初めは渋っていたが…少しメモしたいと言えば紙とペンをくれたし、城内の散歩で中庭の花を眺めている間一人にして欲しいと言えば…初めはぴったりついてきたが、今は中庭の入口で控える様になった。
そんな日々のある夜、私は小さなメモに場所状況を書き…もっと小さく畳んでポケットに忍ばせた。早く帰りたい…私が居る場所はここじゃない…
「逢いたいよ……ジーク……」涙と一緒に小さく零れ落ちた。
***
浄化に出立する前日、天気が良く私が好んで向かう中庭に歩いていた。この中庭は比較的小さくて入口が1つ、奥の花を見る様にすれば私の表情も何も伺う事は出来ないのである。
入口に差し掛かった所で、1人にして欲しいと伝えると…侍女と護衛は入口で控えてくれた。中庭を進み奥にある花たちを見回す。その中でも比較的背の低い花たちを見る為に、しゃがんで入口に背を向ける。
静かに深呼吸をして、ポケットからメモを出す。入口から見えないように身体で隠すように、両手で小さく小さく折り込んだメモを入れた土団子を作る。
それにそっと魔力を練る。焦らずしっかり魔力を練り込む。すると、掌に乗る小さな土色をした小鳥が乗っている。小鳥にジークの元に向かうように伝達し、花たちに隠すように置く。
実は、アルンと魔術の練習をしていくうちに…乙女と力とは別に、通常人々が持つ属性があるという事が分かったのである。ミオは土の属性で、魔力を練り込み土を変化させる事が出来るようになっていた。これを知るのはジーク・テオ・アルンの3人だけだ。
すっと立ち上がり、小鳥が入口から見えないように自分の姿で隠しながら、入口に向かって歩き出す。「戻ったら、お茶をお願いします」と歩きながら伝え、心の中では無事にジークの元へ小鳥が届きます様にと強く祈った。
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