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光のベールに包まれて  作者: 瀬廣 真
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26.ネロール

評価・ブクマありがとうございます!

いつもより更新遅くてすいません><;

次の日、ゲルドが沢山の箱と一緒に侍女と護衛を紹介されたが…どうせ監視の為だろう。侍女が大小いくつもの箱を開けていくと、豪華なドレスからアクセサリーが並べられていく。


「我が国の王太子殿下アルベルト様より贈り物でございます」


「結構です。豪華な物は好みません」


「しかし、王宮でお過ごしになるなら…それなりの装いが必要でございましょう」


このやりとりは無駄だと判断し、それ以上は言わなかった。ここには味方はいない、常に監視され行動も制限される。護衛をつけてもいいから瘴気の影響のある町の人を浄化したいと願い出ても「必要ありません」の一言で終わってしまった。


その日から毎日の様に王太子名前で贈り物が届き、さらには王族貴族からも贈り物が届く様になり部屋は贈り物で埋まっている。身軽なワンピースなどは用意してもらえず、毎日重いドレスを着せられている。初日のやり取り以降、余計な事は言わず周りに流されるように過ごす私を、ゲルドは何も言わず監視を続けている。



ネロールに来てから1週間後、王族・貴族に謁見する場が設けられた。

一層豪華なドレスを着せられて、ゲルドを先頭に王宮内を進む。王宮内はゴテゴテした装飾で落ち着かない、ヨハンネルの様な穏やかで優しい王宮ではないようだ。謁見の広間に通され、玉座の下に一人立たされる。広間の端から私を囲むように貴族達も沢山いる。玉座が空いていて、横の席には王妃が座り…その横に王太子であろう男性の姿があり口を開く。


「ようこそ我がネロールに、良くぞおいで下さった『異界の乙女』よ」


さも、公式に招いた風を取る態度に苛立ちが募るが心に蓋をし黙ってミッシェル様直伝カーテシーをする。


「我が国は乙女殿を歓迎し手厚く庇護すると約束しよう。その代わり、ぜひ奇跡の力を我らに与えてくれ」


この人達に力を都合良く使われるのはごめんだ。


「私の力は、本当に必要としてくれている人々の為のものです」


「そうか、ではこの国の王も本当に必要とする人々の一人だ治してくれるな」


私を見下ろし、にやりと笑ってみせる王太子。


「しかし!その女が本当に乙女なのか!」「そんな出の分からない者を王に近づけるなど!」色々な所から声が上がる。噂で聞こえる乙女の存在を、まだ信じていないのだ。その声を聞いて王太子は黙って檀上を下り、私の傍までやって来た。懐からスっと短剣を取り出し私に握らせ、次の瞬間短剣を握らせた私の手を握ったまま、王太子の反対の腕を思い切り切りつけた。


「――っっ!!」


なんてヤツ!なんて事を!私は、咄嗟に光を出し王太子の腕が光に包まれ…みるみる綺麗に治っていく様子を広間にいる人々は固唾を飲んで見守った。


「なんと美しい奇跡であろう。『異界の乙女』は存在したのだ」


私は俯き唇を噛む。もっと切実に乙女の力を必要としている人達がいるのに…町の人達の浄化に行かせもしないくせに。自分の都合で簡単に力を使わせるだけでなく、それをパフォーマンスの様に使わせるなんて!


「『異界の乙女』こそ我が妻に相応しい!」



奇跡を見た後では、誰も異議を唱える者はおらず…力の限り握りしめる手に爪が痛い程食い込み、切れた唇から滲んだ血の味がした。



     ***



衝撃の謁見から、しばらくして病床の王との謁見となった。ベットに横たわる王の意識はなく静かに呼吸音だけが響く部屋だった。


「この状態でも治せるのか?」


腕を治したのを身を以て体験してるくせに確認してくる王太子に苛立ちを隠せない。「とにかく見ます」それだけ言い、王の傍に寄る。どこが瘴気に侵されているのか分からなくて、とりあえず全身を光の粒子で包む。王は、脳を瘴気に侵されて植物状態になっている様だった。場所の特定をしたので、後は圧縮して消すだけだ。全てを消して一息吐くと、王太子は苛立った様子で肩を掴む。


「治ったのか?意識が戻らないじゃないか!」


「とにかく侵されていた場所の瘴気は浄化しました。脳が通常の働きを始めたら、目が覚めるでしょう。ずっと寝たきりだったのですから、すぐ動かさず徐々にが良いと思います」


「そうか…。やはりその力は奇跡だな本当に美しい、王を治したんだ褒美は何がいい?新しいドレスか?アクセサリーか?」


「……結構です、部屋に戻っても?」


「ん?それでは不満か?ならば…爵位はどうだ!」


「どれも必要ありません。しいて言うならば…城内の散歩と料理がしたいです」


「それが褒美になるとでも?」怪訝な顔をして問われた。


「それ以外は遠慮致します。部屋に戻りますので失礼します」


黙って見つめられる視線を無視して、返答を待たず部屋を後にした。



     ***



後日、王が回復なされたと報告を受け…とりあえず安堵した。褒美はと言うと調理場を使う事は色々危険(私が刃物持つ事が)なので許可されず、城内・中庭の散歩を許可された。王太子のエスコートのオプション付き、激しくお断りしたのだが…全てスルーで着いてくる。凄いストレス…。


「乙女は、何故何も欲しがらない?」


「必要ないからです。もちろんエスコートも必要ないんですけど」


「自分で料理ってのも変だ、専門の料理人がいるのに何故自分で作りたがる?」


「この国に来て部屋から出してもらえず、監禁されていたんです。監禁。身体が鈍ってしょうがないです、だから気晴らしに散歩や料理をしたかったし…料理は自分で手を加えるから余計に美味しく感じるじゃないですか。贈り物も一緒ですよ、ただ渡すより相手を想って少しでも手を入れる事で、さらに心もこもるし真心も伝わると思うんですよね。それ以外は必要ないです」


私の言う拒否の言葉も、監禁という言葉も全部聞かなかったふりをして「やっぱり変な乙女だ」と王太子は呟いた。


お読み下さり、ありがとうございます!

感想・評価頂けたら励みになるので

どうぞ、よろしくお願いします。

場所は、最新部分の本文・後書きの下にあります。


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