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光のベールに包まれて  作者: 瀬廣 真
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22.帰国

評価・ブクマありがとうございます!

ケガの説明で痛々しい表現があるので、気を付けて下さい。

「もうパラムにいる必要はない」と、きっぱり言い帰国の指示を出したジークに、全員が納得し…未だ目が覚めないミオを早く落ち着いた環境におきたかった。帰国してすぐ筆頭治癒師を手配し、心配で涙が止まらないマーサにミオを任せ、ジーク・テオ・アルンで謁見の間に向かっていた。



     ***



「此度の浄化ご苦労であった」


「今回の浄化での報告をさせて頂きます。今回の件で再認識しましたのは、異界の乙女様はこの世界の唯一であり…失われてはいけない存在であると共に、奇跡の力が乙女様ご自身に適用されない事の危うさなど、再度見直すべき事が多数ある事は明白です。そしてパラムでの―――」


ジークは、自分の知らぬ所での王女の言動などをテオやアルンに確認し、全て包み隠さず報告した。全ての報告を聞き終え、現ヨハンネル国王の姪にあたるとはいえ…余りにも一国の王女らしからぬ数々の振る舞いに、王を始めとする王族・貴族は眉をひそめた。


「すでにパラムから正式な書簡で謝罪が来ておる。我が妹フェルミナが王妃になったからと、甘やかしすぎたか…。乙女殿には、本当に申し訳ない事をした。早急に『異界の乙女』殿がヨハンネル王国の庇護下にあり、王族と同等の地位である事を国内外に広く通達するように。して、乙女殿の容態はどうなのだ?」


「左肩から肘付近まで切り裂かれ、血も多く失いました。その場で治癒師の治療を行いましたが…目の前の残っていた渦を、傷を負ったまま浄化され…その直後意識なく倒れられました。現在我が国の筆頭治癒師に治療を施されておりますが、未だ目覚めたとの報告はきておりません。」


「ふむ…早く目覚めるといいのだが。とにかく今は乙女殿の安静・回復を最優先とする様に」


「はい。そして乙女様が唯一というのはご理解頂けた上で、今後の浄化などは乙女様がお心健やかに…この世界を浄化したいと思って頂けるように国を挙げて務めていく事が大事ではないかと思われます。」


王族・貴族もジークの発言に納得する様に、頷いている。


「うむ、ジークに任せる。頼んだぞ。」


「畏まりました」



     ***



それから、ミオが目を覚ましたのは傷を負ってから3日後の事だった。怠くて痛む身体、瞼が重く中々目を開けられない。それでも、左手に包まれている温かさに導かれるように…ゆっくり目を開けると、目の下に隈を蓄え泣きそうな顔のジークと…その後ろで号泣するマーサさんだった。


「じ、、、く、、、」


「あぁ、ミオ。目覚めてくれて良かった、まだ話さないで…まず水を少し飲もう」


そう言うジークに、マーサさんがグラスを渡してくれた。私のすぐ横に腰掛けて身体を起こし支えた状態で、グラスを口元まで運んでくれる。


「ゆっくり焦らず飲むんだ。むせてしまうだろうから…」


「っっ、、、」


久しぶりのジークとの密着が恥かしくて、身を捩ると身体に痛みが走る。


「3日も意識が戻らなかったんだ、まだ動いては駄目だよ。一応傷は塞がったけど…多くの血を失ったし暫くは安静にしないとね。どれだけ心配したか…目覚めてくれて本当に良かった」


またゆっくりとベットに横にされながら説明された。ぼんやりとした頭で、パラムでの出来事を振り返って…最後の浄化前後を思い出し、迷惑をかけてしまったと心苦しくなる。


「迷惑を…掛けてしまって、ごめん…なさい…」


「謝らないで、ミオが謝る事なんて何一つとしてないんだよ。君がこのまま儚くなってしまわないか、生きた心地がしなかったよ…。そうだマーサ厨房に消化の良いものを用意させて、それとまだ安静が必要だが…ミオの目が覚めた事報告してくれ」


「畏まりました」と、マーサさんが部屋から出て行く。二人きりになり視線が合うと、ベットの傍で膝をついて私の手を包み祈るようにジークが顔を下げた。包まれた手は温かいけれど、その手は微かに震えているようだ。


「君を…失うかと…思った…」


小さな小さな呟きは、私の耳に届いた。


「ずっと…傍にいてくれたの?」


そっとジークのこめかみに触れる。


「君が望んでくれるなら、いつまでも…ずっと傍にいる…」


絞り出す様な声色に…こんなにも心配してくれる事に心苦しく思うと同時に、心から喜びが沸き上がる。パラムではジークがとても遠かったから…心配はかけてしまったけど、傍にいられる事が本当に嬉しかった。


そして、自分がどれだけジークを必要とし傍に居たいのか…『好き』この言葉を心に灯すと、全ての感情がすとんと納得出来た。高貴な人なのも分かってる、本当なら出会える人じゃない事も。でも自分の心の中に灯した気持ちは、誰にも消すことは出来ないだろう。


自分の大事な気持ちだから、自分が守ってあげなければ誰が守ってくれるのだろう。報われないと分かっている、それでも浄化する間だけでも…時間の許す限り貴方の傍に居たいのです。




お読み下さり、ありがとうございます!

感想・評価頂けたら励みになるので

どうぞ、よろしくお願いします。

場所は、最新部分の本文・後書きの下にあります。


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