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光のベールに包まれて  作者: 瀬廣 真
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18.すべき事

評価・ブクマありがとうございます!

よく晴れた次の日、テオとアルンと共に町に出ていた。テオがパラムの騎士達から情報を貰って数人調べてくれていた。


「忙しいのに情報まで集めてくれて、ありがとう。アルンも付き合ってもらって、ごめんね」


「気にすんなって、ミオは部屋でじっとしてるより一人でも多く浄化したいだろ」


「今日みたいな日は、気分転嫁にいいよ」


しゅんとする私の頭をいつもの様にぐしゃっと撫でられるのを見て、アルン様も笑ってくれた。



町の雑貨屋らしきお店を訪れると、「いらっしゃい」と椅子に座ったまま接客してるお爺さんがいた。テオの情報だと、この店の主人のお爺さんは腕の良い薬師さんらしいのだが…最近瘴気の影響で膝が動かなくなったとの事だった。


「こんにちわ。初めまして、ミオと言います。瘴気の影響を受けている人の状況を見ている者です。少しでいいので、膝を見せて頂けませんか?」


「結構だ」


「おい!爺さんこの人は―」


反論しようとしたテオの袖を引き首を振る。


「こんな老いぼれでも薬師やっとりゃ分かる、こんなもん治る病気じゃない。見せた所で変わりゃせん」


「そうですよね―――ある日突然、身体の一部が動かなくなったら不安にもなりますし…自分の経験を元に考えたら落胆もしますよね。触らせてくれなくてもいいんです、変なお願いだと分かっています。完全に不審者ですものね…ほんの少しでいいんです、お許し願いませんか?」


お爺さんは困惑したまま「まだ信用しとらん、見せるだけだ。触るなよ」と言って近づく事を許してくれた。カウンターの様な机をまわり、傍に寄る。力の届くギリギリの所で止まり膝に光の粒子を纏わせる。お爺さんは目を見開き、息を飲む。そっとそのまま目を閉じて集中する、いつもの様に浄化していく。


「あ…あんた乙女様か…?」


「そう呼ばれる事もありますが、ミオって呼んでもらった方が嬉しいんですけどね。さぁ、立ってみて下さい。大丈夫だと思うんですけど」


お爺さんと視線を合わせて、いたずら顔で笑って見せる。ゆっくり立ち上がり動かなくなった膝に重心を乗せて、また目を見開き固まってしまった。


「あれ、違和感とかあります?」


動かないお爺さんの傍に寄る。そんな私の両手を、急に動き出しぎゅっと握る。


「こんな先の短い老いぼれに乙女様の力を使わせて、すまんかった…ありがとう…」


手を握ったまま、目をぎゅっと瞑り頭を下げられ


「年齢なんて関係ないじゃないですか、誰だって動けなくなったら辛いし悲しい。それに、お爺さんまだまだ元気じゃないですか」


そう言ってまた笑って見せると、思い出したかの様に急に店中歩き回ったお爺さんは、沢山の薬を持たせてくれた。


「こんなに沢山…売り物ですよね?、有難いけどいらないですよ?」


「近いうちに森に入るんじゃろ?この辺じゃ俺が一番腕がいいんだ。邪魔にはならないから持ってってくれ」


「大事に使いますね」とお礼を言って、お店を後にした。



     ***



雑貨屋さんのお爺さんを浄化した後、町の詰め所受付の騎士様を浄化し…浄化した二人には、瘴気の影響を受けている人は詰め所に教えて欲しい事。お触れを出すので周りの人に伝えて欲しいとお願いして城に戻り、テオとアルンは城内で別れて部屋に戻ろうと歩いていた。


「ミオっ!」


呼ばれてキョロキョロすると、中庭の椅子から立ち上がり駆け寄るジークの姿。


「ケープを羽織って、どこかへ行ってたの?」


「あぁ、テオとアルン様とで町に…」


「そうか…町に。ミオ、すまない。一緒に行けなくて…」


そっと私の頬に手を伸ばすジークに、「大丈夫です」と首を振る。


「ジークお兄様、わたくしとのお話の最中でしたのにっ!」


傍まで来ていたエリザベータ様が、ジークの腕に絡みつく。

ツキンと胸が痛い…


「そうだ、ミオも一緒にお茶にしよう。疲れただろう?」


「い、いえ…私は―「乙女でしょうが、只の平民。言葉使いもマナーも出来ない人じゃ王族のお茶会に、お誘いするのは可愛そうですわ」


私が返事をする前に、軽蔑の視線を流し…さらに嘲弄して微笑む。


「エリザベータ!自分の国を浄化してくれる人に対して、何て態度をミオに謝罪をするんだ」


「なぜ…ジークお兄様が、こんな方を庇うのですか?王族に簡単に謝罪しろなんて!酷いわっ!」


顔を真っ赤にして怒り泣き喚くエリザベータ。泣きながら抱き着き離そうとするとイヤイヤとする王女に困惑しながらも背中を摩り言い聞かせるように慰める。どんどんジークが遠くなる様な気がして視線を反らし俯いた。


「殿下、私は大丈夫ですので…お気になさらずに。御前お先に失礼致します。」


そっと小さく息を吐き不作法にならない様、丁寧に礼をして急いでその場を後にした。私の後ろ姿を苦しそうな顔で見つめるジークの瞳があるとは知らず。

私がジークに釣り合わないなんて分かってる…ちゃんと分かってる。それでも溢れる気持ちに蓋をして、今自分がすべき事に集中しなくてはと…また小さく息を吐いた。


お読み下さり、ありがとうございます!

感想・評価頂けたら励みになるので

どうぞ、よろしくお願いします。

場所は、最新部分の本文・後書きの下にあります。


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