17.パラム
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「みすぼらしい貴方がジークお兄様の傍にいるなんて耐えられない。わたしく、乙女だろうが何だろうが貴方を絶対に認めませんわっ!」
美少女が長い銀髪を振り、青い釣りあがった目で睨みつけている状態を前に困惑していた。
***
ヨハンネル王国内にある北の森を浄化し、王都に戻ったが…すでに私の力が知れ渡り、隣国より浄化の依頼が来ているとの事。休息を取ったらすぐに移動して欲しいと要請があった。行先は、王妃であり現ヨハンネル王の王妹であるフェルミナ様がいるパラムだった。
今回の移動は転移門を使う事になった。同盟国同士は、お互いの国境付近の町に転移門を設置しているのだ。転移門は1回に使う魔力が多く必要で、一回の転移に数人しか送る事が出来ない。浄化で必要な騎士団はパラムの国が用意するので、ジーク・テオ・アルンと護衛の2人の少数で入国したのだ。
謁見の間で、全員で礼の形を取る。
「顔をあげよ。ジークよ、久しいな息災であったか」
「パラム王もご健勝であらせられ、お喜び申し上げます」
「堅苦しくせずとも良い、フェルミナとも久しいのだろう。ぜひ時間を取ってやってくれ」
「ジーク、楽しみにしています」
「はい――「もうっ、わたくしには挨拶してくれませんのっ。ジークお兄様!」
「これ、エリザベータ。お話の途中で話し出すなど不作法ですよ」
ぷっくり頬を膨らませプリプリ怒っている姿を、王妃に窘められ…さらにぷいっと顔をそむける可愛らしい美少女にジークも苦笑いしている。
「お父様もお話は終わったのでしょう?もう退室してジークお兄様とお茶にして構いませんよね?」
「エリザには困ったものだ、ジークよエリザを頼んだよ」
小走りでジークに駆け寄る、この国の王女エリザベータはぎゅうっとジークの腕に縋り付き身体を押し付けながら「行きましょう」と退室を促す。王も頷き退室を許可した、テオ・アルンと一緒に退室しようと立ち上がると…
「あなた達は必要なくってよ、着いて来ないで!」
キっと睨み付けてジークと二人で退室していく、あっけに取られ立ち尽くしていると…テオとアルンが傍により退室を促してくれる。
それから数日は情報確認と準備が必要だと、テオやアルンは忙しくしていて…私が出来そうな事はあまりなく、城下に行って瘴気の影響がある人達がいないか確認したいのに出来ずに部屋で一人持て余していた。
パラムに来てからジークはエリザベータと毎日一緒にいて、今も部屋の窓から見える中庭でお茶をしているようだ。そっと伺いため息が零れる。身の程を弁えなければならない事は十分理解している。しかし理解してても胸は苦しい、遠くから見る二人は本当にお似合いで従妹でなければ理想的な恋人なのではないだろうか。無意識にまたため息が落ちた時、ノックと共にテオが入ってきた。
「元気ねーなぁ、なんかあったか?」
私の視線の先を見て、納得したのだろう。すぐに気を反らす様に会話を続ける。
「まだ少し浄化に行くには数日必要なんだ、城下での瘴気の影響を受けた人などの管理を国はまったくしていないようだし…どうする?」
「テオも忙しいのに、ごめんなさい…時間があって出来る事なら町に行きたいけど、難しいでしょう?」
中庭から視線を外し、しゅんと俯き答えるとガシガシと頭を撫でられた。
「気にすんな。時間は作ってやるから!なんなら前みたく、どっかの店で浄化して見せたら案外すんなり行くかもしれねーよ」
軽く笑って答え退室して行くテオに、有難くて笑顔でこたえた。
その日の午後、何故か目の前には鋭い眼光で睨みつけるエリザベータ様。「お茶でもいかがですか?」と伺えば「結構よっ」と返されまた睨まれる。どうしたらいいのか困惑していると、睨みながらも頭の先から足元までジロジロ見ている。
相変わらず私は動きやすさを重視して、室内では乗馬服を着ていて…外出する時はケープを羽織っている。今日も勿論その恰好だ。
「異界の乙女である貴方は平民なのですってね?」
「えぇ…まぁ…」
貴族も平民もない世界でしたのでと付け加えるも、私の返答はまったく気にしてないようだ。
「今まで淑女としての勉強もほとんどされてないのよね?」
「えぇ…まぁ…」
こちらの世界に来てから侯爵夫人に教えては頂いていますがと言っても相変わらず気にしてないようだ。
「みすぼらしい貴方がジークお兄様の傍にいるなんて耐えられない。わたしく、乙女だろうが何だろうが貴方を絶対に認めませんわっ!」
長い銀髪を振り、青い釣りあがった目で睨みつけ
「身の程を弁えて行動なさい」と言いながら退室していった。
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