16.北の森
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森に近づくだけで気持ち悪いというかザワザワした気持ちになっていたが、森に入ると悪寒と共に気持ち悪さも出てきた。どうやら、他の皆は余り感じないようで…何故か私だけは瘴気の嫌な感じを感知するようだった。
そうして先に第1騎士団と砦1小隊が確認した渦を、第2騎士団と砦2小隊・ジーク・テオ・アルンとで浄化して進む。握り拳位の渦からバスケットボール位までの渦が点在していて、一日2~3個かなと考えていたけれど…そんなに甘くなくて一日平均5個を浄化していく。
初めは1つ浄化するのに、出発前に練習していたけど実際やってみると結構時間が掛かってしまって…1つ、また1つと浄化を繰り返すうちに何とか浄化に掛かる時間も短縮出来るようになった。浄化していても、魔獣は待ってくれないので私を守りながら戦うのは本当に大変だったと思う。
3つ位浄化すると、私の力も疲れ切ってくるので休憩を入れる。浄化が済んでしまえば、その付近は空気が澄んで魔獣も近寄って来ない。その休憩の時に、どこに座るかを揉める事があり…初日にジークの胡坐の上に横抱きされて、保存食の果物を口に運ばれる。という羞恥を経験すると、今度はテオが自分もやりたい!基、王族にそんな事はさせられないと自分の膝に乗せ給仕しようとするが…結局は王族の力をフルに使ったジークに連れ戻されるという、なんとも緊張感に欠けたやりとりをしていた。羞恥はあるものの、おかげでずっと張りっぱなしの気持ちが楽にはなった。
細かく区切った地形の中の渦を、どんどん浄化していくと…国境付近の区画に入った。森に来る前に宰相ロードス様から、国境を越えてまで浄化しない様に言われていたのである。目の前に渦があったとしても浄化しないというのは、何だか心がモヤっとする。しかし、私はヨハンネル王国に召喚されて…王国の保護を受け生活をさせてもらっている以上、勝手な行動は控えるべきだろうとは思う。そこには政治的思惑があったりするのだろうし、この世界に詳しくない私が口を出していい事ではないだろう。
ヨハンネル王国内の北の瘴気の森の浄化が完了した次の日に、砦の町にもお触れを出してもらって広場に集まってもらう事にした。椅子を置いて私が座り、町の皆さんには並んでもらう。簡易ベットも置いて対応できるようにしてもらった。
マウラに来るまでに訪れたどの町よりも、瘴気の影響を受けている人数は多く。渦に近ければ近いほど、やはり影響を受けやすいのは確実だと思われた。浄化する人数が多いので並んでもらっている人に、アルン様が影響を受けている部位などの確認をしてくれてスムーズに浄化出来るようにしてくれる。
朝から集中してずっと浄化していると、列の奥から大きなトレイを持った親子がこちらに向かってきた。
「乙女様っ!」
トレイを両手でしっかり持った女の子が笑顔で近づく。先日お店で浄化した女の子と母親だった。
「朝から休憩なしで、ずっと浄化してくださってるでしょう?皆さんが手で軽く摘まめるものと飲み物をお持ちしたんです!」
視界の端では、騎士様がトレイを置く台を出してくれて…テオがつまみ食いしてる。
「そんな、わざわざありがとうございます」
「とんでもないです、乙女様。娘の手を治して頂いて、これくらいしかお返し出来ないのが心苦しいくらいなんですから」
「いいんです、本当に気になさらないでください。ちゃんと動くようになって本当に良かったです」
女の子が果実水を入れてくれたコップと軽食を渡してくれる。目の前の町の人に、少しすいませんと謝ってそれを受け取る。実際、丁度疲れてはきてたから助かった。
「美味しい。ありがとう」
「乙女様の浄化はキラキラして本当に綺麗ですね。私、成人したら…乙女様にお仕えしたいんです!」
女の子に微笑むと、赤くなってほぅっとため息を吐く彼女の視線と合う。
「ごめんね。私は王都の王宮でお世話になっているから、お仕えする人も自分で選んでいる訳ではないの。もし私に感謝してそう言ってくれているなら、今後あなたの近くで困っていたり悲しんでいる人がいたら手を差し伸べてあげて欲しいの。無理な事はしなくていいんだよ?自分の出来る範囲で助けてあげて、ね?」
視線を合わせて微笑んだ私を見つめ、女の子は少し考えてニッコリ頷いてくれた。
そうして休憩を終え、並んで待っててくれてる人達を浄化し続けた。広場に来れなかった不自由な人達も家族が詰め所に申告してくれたおかげで、後日伺い浄化する事が出来た。
こうして、初めての大規模な北の森の浄化は終わったのである
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