11.顛末
少し短めです。
私の貞操の危機を回避した次の日に、今回の騒動の顛末を説明された。
ジークの婚約者候補にも挙がっていたベラル・ブラス侯爵令嬢は、最近ジークと一緒にいる事の多いミオが『異界の乙女』で、先日の魔獣騒ぎで乙女の力を発揮させ怪我人を奇跡の力で回復させた事が信じられなかった。マナーも全て張りぼてな貴族でもない女が、婚約者候補を押しのける可能がある事を焦った令嬢は、『異界の乙女』と言う位だから乙女でなくなればいいと思ったという。そこで取り巻きの騎士をたぶらかしミオを誘い出した所で、貴族の男達と遊んでいたと言う事にしてしまおうと計画を立てた。男達は、令嬢がジークと婚姻を結び出世を取り立てて礼金も貰えるということで協力したとの事だ。
この世界唯一の『異界の乙女』を害しようとした罪として、ブラス侯爵家取り潰しで令嬢は監視の厳しい修道院に幽閉となり、男達も立場はく奪の平民へと落とされたのである。
***
部屋のソファでジークと隣り合わせで座っているが、事の顛末を話している最中も…ずっと私の片手を握り、もう片方の手で頬に触れていて…恥ずかしいし、どうしたらいいのか分からない。
「近くにいてくれて本当に良かった。これのお陰で場所を特定する時間が最短で済んだんだ。あまり遠すぎると捜索するのも難しくなるから――」
私の小指のリングに、そっと唇を落とす。
「そうなんですね、これがあったから…とにかく時間を稼がなきゃって思ってて。光の力のおかげで目くらましが出来ました!一か八かでしたけどね」
ちょっと苦笑いをすると、ジークも困った顔して「本当に無事で良かった」とまた頬に触れた。
「ミオ、まだ頬も痛むだろう?治癒師を呼ぼうか?」
「昨日治療してもらったから大丈夫ですよ」
昨日城に戻ってビックリしたのが、この世界の治療は『治癒師』と呼ばれる光の属性の方々で人が持つ自己治癒力を最大限底上げするのが治療なのだ。私が使う乙女の力は傷や病気を完治させたり、瘴気を浄化させる事が出来るので…治癒師とはまったく別のものなのだ。さらに、試しに自分に光の力を出してみた所…自分にはまったく効かなかったという驚き。
「ミオの光の力が自分に掛けられないなんて、今後本当に無茶な事はしちゃ駄目だよ?それに乙女の力で何が出来るのか検証する必要もあるね」
「そうですね。目くらましも出来たし色々試してみないと、それはアルン様が見てくれるそうなので自分に出来る事を探してみようと思います。それに本格的に瘴気を浄化出来るのか確認作業も必要ですから」
「改めて、今回の件…本当に申し訳なかった。この世界や人々を知って欲しいと言っておきながら、この国の人間に…こんな事をされるなんて、失望しただろう?――とても勝手な願いだと思う、それでもこの国を…諦めないで欲しいんだ。絶対に安全とは言い切れない、それでも絶対また守るから」
ジークの苦しそうな表情に、私も胸が苦しくなる。
「ジーク…きっとどこの世界だろうと、善人だけの所なんて絶対にないと思うの。確かに怖かったし、今後を思うと不安もあるよ。けど善人の方が悪い事考える人よりも多いと思うし、そう信じたいの。だから私はきっと大丈夫、ジークも守ってくれるんでしょ?」
にっこり微笑んでジークを見れば「ありがとう…兎に角、まずは身体をしっかり休めて治さないとね」
蕩けた笑顔で頭を撫でられて、もう降参です…
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