10.事件再び
少し女性を無理やり抑える
痛めつけるなどの表現があります。
苦手な方はバックでお願いします。
***~***を飛ばしてもokです。
ジャンを光の力で治してから2日後、宰相ロードス様に呼ばれ執務室に入ると、20代前半位のメガネを掛けた男性が座っていた。
「お待たせして申し訳ありません」
「いえ、こちらこそお呼びだてして申し訳ありません。えぇと、これは私の三男でアルンと申します。一応これでも筆頭魔術師を賜って頂いておりまして――」
そう紹介されたアルン様は、とにかく無表情。薄い茶色の髪に、メガネの奥には金色の綺麗な瞳が見える。
「ミオ様の乙女としての力が現れたとの事ですので、その力の制御を学んで頂きたく愚息ではございますが、ミオ様のお世話をさせて頂く事になりました」
「一応召喚の儀で会っているから、初めましてではないな。アルンだ、よろしく頼む」
「初めまして、澪と申します。どうぞよろしくお願いします」
召喚の儀ってアレだよね?!何も着てない時のアレ…
慌てて視線を外した私に、彼は凄い無表情で感情は読めない。
な…仲良く出来るかな…
「ミッシェルとの勉強と並行してとなりますが、力の制御の方に重点を置いて進めさせて頂けたらと思っております。それと、焦って今後の予定を決めるものではありませんが…瘴気への浄化の確認と、確認が取れましたら…今後、瘴気の森への浄化の予定を組ませて頂く事となります。よろしいでしょうか?」
「はい、構いません。アルン様も、お手数ですが…どうぞよろしくお願いします」
執務室を後にして廊下を歩いて部屋に近づくと、何だか騒がしい。
1人の騎士が近づいてきて護衛に話しかける。
「ミオ様の部屋でボヤ騒ぎがありました。殿下から護衛のお二人は侍女と一緒に、部屋を確認し報告するよう仰せつかりました。その間ミオ様には殿下の執務室にご案内するようにも仰せつかっております。ミオ様、さぁこちらへ」
何だかよく分からないけど、部屋で火事騒ぎがあったから私はジークの所で待機すればいいって話だよね。
「分かりました、よろしくお願いします」
案内してくれる騎士について移動始める、ジークの執務室には行った事がないので見慣れない通路を通って王宮奥に進んでいく。先ほどの力の制御の話を思い返しながら歩いていると城裏の雑木林の前にいた。
「執務室ではなかったのですか?」
「雑木林の奥に綺麗な泉があるのですよ、殿下はそちらでお茶をと申しておりましたので」
騎士様は話をしながらズンズン歩いていく。
歩いていくと本当に綺麗な泉に出たが、そこにはジークの姿はない。不安になって辺りを見回すと、木々の後ろから数人の身なりの良い男達が現れた。じりじりと後ずさり、鼓動が叩く様に早くなる…自分の吐く息の音がやけに大きく聞こえる。
「こいつで間違いないんだろう?」
1人が誰かに向けて確認するように話し出す。
「えぇ、間違いないわ。そのみすぼらしい恰好した子ネズミですもの。そんな女が異界の乙女だなんてありえないし、ジーク様の傍にいるのも腹立たしい!そうね乙女と言う位ですもの、乙女でなければここにもいられないでしょうね。」
最後に現れたのは、扇で口元を隠しているが…いつも絡んでくる3人のうちの令嬢だ。名前は忘れたけど、確か侯爵令嬢だった気がする。
「こんな事をしてバレないと思っているんですか?」
「バレた所で、あなたの様な貴族でもないみすぼらしい人間が恥かしめられたとして、どんな罪になりますの?あなたは、この方達と楽しんでいただけでわなくて?」
とても歪んだ微笑みで私に視線をよこす令嬢は、そのまま城の方へ戻って行った。彼女が言った事を考えれば、どうやら私の貞操は危機らしい。私が危険になったら分かるって言ってたリングは付けてる、でも時間稼ぎは必要だ。私の力はまだ治療する事しか出来ないし…考えているうちにニヤニヤ近寄る男達が視界に入る。
***
「ほら、あー言ってるし楽しもうぜぇ」
一か八か…そっと胸に手を当てて光の力を握る手のひらに集める。
((もっと…もっと…光って!))
手を胸に少し屈むのを怯えていると思った男達は「暴れなきゃ痛くしねーよ」などと言っているが、必死過ぎてあまり声が耳に届かない。
((もっとっ…もっとっ…!!))
隙間から光が漏れない様にぎゅっと握る、圧縮して圧縮して光が強くなる様にイメージする。男達が私に触れようとした瞬間、目をぎゅっと閉じて掌を一気に開く。
「うわっ」「おいっ」「なんだっ」「目がっ」
男達が慌てる気配を感じた瞬間、城に向かって走り出す。あまり体力には自信はないし足も速くない、けれど黙って捕まってしまうより時間は稼げるはず。
足を取られないように必死に走る。少し躓きバランスを崩した瞬間腕を引かれ地面に倒された。地面にぶつけた身体は痛み、走った呼吸は激しく身体を丸めようとしたが、それを覆い被さる男に阻まれ…さらに頬を打たれる。
「無駄な事してんじゃねーよ」
男も息を荒くしている。もうダメかもしれない…それでも黙ってやられるのは嫌だ!足をバタつかせ、力の限り抵抗する。男がまた手を振りかぶるのを見て、ぎゅっと目を閉じ来るであろう痛みに力を入れると、急に体に掛かった重さが無くなった。
***
「―――ミオっ!!」
ジークの声が聞こえ、ふわっと抱き締められる。そっと目を開けると沢山の汗をかき呼吸も跳ねてるジークの顔が傍にあった。
遠くの木にぶつかるように倒れている男や、他の男達も次から次へと来る騎士達に追われて逃げている。
「ミオっ…ケガをさせてすまない…」
叩かれた頬や、地面に擦れた腕や脚を見て顔を歪ませるジーク。
「大丈夫だよ…、ジーク…来てくれてありがとう」
来てくれるのを…間に合うのを信じるしかなかった。緊張の糸がほどけ、ポロポロと涙が流れる。そっと涙を流す瞼に唇を落として抱き上げてくれる。
「医者に診てもらって、ゆっくり休もう。ずっと傍にいるから」
頭頂部に頬ずりしながら歩き出すジークに、耳まで赤くなって俯いてしまうのは…しょうがないと思う。
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