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ナラカマンダラ  作者: 上滝
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第一幕 ここは地獄か異世界か、光は未だ芽を出さず。 肆、英雄憧憬

 覚醒とともに第一陣を退け、反撃の狼煙を上げたと確信した僕だったが、結論から言ってそれは大きな勘違いだった。


「ガっ、ぎぃ、うぉぉぉああああああああああああああああああああああああああッ!?」


 他の人々を襲っていた怪異たちは皆、憎悪の矛先を僕に変え、休息の暇など一瞬たりとも与えぬというかのごとく押し寄せる。

 それら数多の化け物どもを左腕の一撃で吹き飛ばすも、第二陣、第三陣と間断なく攻め立ててくるその様は、まるで海岸に押し寄せる高波と格闘しているようでまるでキリがない。


 小満の掌から紫電が迸る。命からがら、飛び込むように回避したその先にはまた他の化け物がいて、人の体などいとも容易く引き裂くであろう爪牙が胴体目掛けて振るわれた。

 僕は左腕を振るい真っ向から対抗、威力は同等。双方ともに後方へ弾かれて――されど僕の背後には違う化け物が。

 車輪に顔を嵌めたような化け物が大口を開けて迫る。僕は恐怖を押し殺すように絶叫し、隙だらけの頬へ異形の左腕をぶち込み弾き飛ばした。

 そしてそれを見た少年が喜色に塗れた笑いを上げる。


「くはっ! ははははは! なんだ、なんだっ。何なのだッ? その奇怪極まる力は何とするっ!? あり得ぬぞ、このような奇跡ッ! 貴公、未だ一等級の身分であろう? 察するについ先日ここに落ちたばかりであろうが。取り込んだ魂など皆無であり、貴公自身の呪力など、わたしからしてみれば蟻にも劣るはずではないかっ。それがいったいどういうことか……ッ」


 小満を名乗る少年の言いたいことは僕にもわかる。それどころか、僕のほうが疑問なのだ。

 確かに僕は追い詰められている。無数の化け物たちに四方を囲まれ、心身休まる暇なく致死の一撃を放たれ続けている。


 それでも倒れない、折れない、負けていないし死んでいない。

 それはひとえに、妖畏(オソレ)と呼ばれる僕の力が関係しているのだろう。


 まだこの力の全貌はわからない。だが、これまで感じていた左腕の脈動が強くなった状況や、今この瞬間にも上昇する、僕の身体能力、左腕による拳撃の威力から推察できることはある。

 おそらく、僕の力は他者から向けられる感情の質と量に比例して増大するものなのだ。

 怪異たちの赫怒憎悪怨嗟の絶叫、加えて小満から向けられる邪悪な期待。それらが肥大していくにつれて、僕の力も跳ね上がる。より速く、より強く。

 生前では絶対に不可能な挙動が取れる。あり得ない速度で疾走し、驚異的な動体視力と瞬発力で敵の奇襲を不格好ながらも次々と避けていく。

 左手による拳撃の威力もまた跳ね上がる。最初は雑魚怪異数体を押し戻す程度の力だったのが、今ではそれらを爆散させるほどの威力を有していた。


 だが、それでも足りない。

 たとえ数体を滅することができたところで、数えるのも馬鹿らしい量の敵が残っているのだ。

 よって、何一つ衒いなく、全ては予定調和のように綱渡りのごとき拮抗は崩されて。

 ――ついに紫電は僕を捕らえて、硬直したその瞬間に異形の爪牙が僕の右腕を肩から抉った。


「――――ッッ!ぎ。ぎ、ぃ。ァが……ッ!? ァァァァァアアアアアアアアアアッッッ!?」

「センパイッ! せんぱぁいっ! もう逃げてくださいッッ! もう、やめて……」


 噴き出す漆黒のナニカ。意識がスパークする。痛覚が限界を超えて駆動、精神を蝕んだ。

 いやだ、嫌だ嫌だもうた戦いたくない――それでも口を引き結び、崩れ落ちそうになる膝と意志を燃やしてさらに前へ。もう二度と食らうわけにはいかないッッ!


 そうしてさらに激闘を繰り広げるが、もはや趨勢は完全に傾いていた。


 劇的なことなど一つもない。全ては予定調和。どれだけ他者の力で底上げされようとも、僕自身の地力が追い付いていなかった。圧倒的な格の差というものを思い知らされる。

 もはや嬲り殺しに近かい。まるで毬か何かのように跳ね飛ばされて、僕は無様に地面に転がっていた。


「ぁ、う……っ。ギ、グゥウ……ッ」

「ははっ、はッ! そうか、まだ立つか。くく、くくくく……ああ、貴公は素晴らしいなあ。だが……ふむ。力を使い切れていない、か。――貴公、ここに落ちたのはいつだ?」

「ァ……うっ……?」

「そう難しい質問でもあるまい。貴公がいつ死んだか、それを教えよ」


 ……何を企んでいるのだろうか。圧倒的優位に立っていたはずの少年は、あと一歩で僕を殺せるという段になって指を一つ鳴らし、従える魑魅魍魎に待機を命じたようだった。

 大蜘蛛の上から飛び降りて、堂々たる足取りで僕のもとへと向かってくる。その面貌にはやはり悠然とした笑みが張り付いており、彼我の間にある格の差というものを突き付けられた。


「答えよ」


 そして、誰にも邪魔されず、倒れ伏す僕のすぐそばで優雅に立つ。


「てめえッ、それ以上センパイに近づ――」

「邪魔だぞ少女よ。すでにわたしの興味は貴公から移っている」


 霧雨さんが神速の抜刀を切り放つも、首の肌に触れた瞬間に致死の一刀は霧散した。


「なっ――」

「む。まさか先は回避したから攻撃は通ると勘違いしたのか? それは悪いことをした」


 そんな本気かどうかもわからない謝罪とともに、紫電が放たれ霧雨さんを焼いた。

 寄り道を終えたかのように一息を突いた少年は、再度視線を僕へと向ける。


「では重ねて聞こうか。いい加減答えてくれよ? 貴公はいつ死んだ?」

「……つい、さっきだ」

「やはりか。ふむ……ということは、何か? 貴公とあの少女は、つい先ほど出会ったば――」

「――――ああ、そうだよッッ!」


 最後まで言葉を聞くことはなかった。

 激痛に身と心を引き裂かれながらも、不用意に近づいてきた敵の金的へ最大威力の拳を叩き付けた。卑怯であろうと構わない。倒せるときに倒さなければこちらがやられるのだから。




 果たして――僕の拳は、まるで鋼鉄を殴ったかのように砕けていた。




「――ッ、な……? え……?」


 嘘だろ? ――恐怖や痛みよりも先に、驚愕と疑問が僕を襲う。

 死穢左手が、割れている。あれだけの数の化け物たちを屠った僕の左腕に、銃弾をぶち込まれた硝子のように無尽に亀裂が走っていたのだ。

「が、ギッ!」

「ふふっ。本当に貴公はいいなあ」


 対し、少年は先と変わらぬ調子のまま、片足上げた。

 まずい――気づいた時には遅かった。

逃げようとしたその瞬間、ドボンッ! と凄まじい音が腹から響き渡り、激痛と嘔吐感が同時に押し寄せてくる。

 小満の姿が一気に縮小し、景色が無数の線条となって前方へ駆け抜けていった。

 地面に何度も叩き付けられてようやく停止した僕は、立ち上がるどころか絶叫を上げることすらままならず、血反吐を撒き散らして地面に蹲ることしかできない。


「センパイッ!」

「懲りんな」


 霧雨さんが今度は直接刃を叩き込むも、やはりその肌に朱線が入ることはない。小満の回し蹴りを脇腹に受けると、僕と同じく砲弾のごとき勢いで吹っ飛んだ。


「……ッ」


 その向かう先には蹲る僕がいる。激痛を押して体を起こすと、全身で受け止めるようにして彼女を庇った。何度目になるかわからぬ激痛が僕を襲うが……そんなこと知るか。


「ぐ、ゥ……セン、ぱい……っ」


 僕の腕の中で苦しげな声を上げる霧雨さんをその場に横たえる。

 それから、深く深呼吸をして……ふらつきながらも、もう一度だけ立ち上がった。

 その姿を見て、やはり小満は、それはもう嬉しそうに童子のような笑みを浮かべるのだ。


「ぎ、ィ――が、ァ……ぐぅッ……は、ァっ!」

「くく、くはははは! ははっ、ふはははははははははは! ()い、良いぞ貴公(きこう)ッ! 見ず知らずの女子(おなご)のために未練(ゆめ)を諦めるか!? 何たる愚挙、何たる蒙昧! しかし、だからこそ良い、だからこそ期待できる! つい先日この奈落(ナラカ)に落ちたばかりの一等級、未だ己一人分の呪力しか持たぬ屍人の身で、格上たるこのわたしに抗うその気概や良し! ならば奮い立て、覚悟を決めよ。そしてわたしを撃滅するのだ! 至高の敗北()を! 至上の終焉()を! さあ、貴公の(ゆうき)でわたしという邪悪を討つが良い! それを誰より、敵対者たるわたしは望んでいるっ!」


 朝日は昇らず、星々の瞬きすら存在を許されぬ暗色の空――その中天にて、血色の涎を吐き出す孔を背に呵々大笑する道化のような少年と、彼の周囲に侍る大小さまざまな異形の化け物。

 痛い、怖い、逃げたい、嫌だ、苦しい助けて。なんで僕がこんな目に遭わなくちゃいけないんだ。勝てるわけないだろうあんなもの。僕は陰気で友達も少ない、本当にただの弱虫のガキなんだぞ――そう叫びたくなる気持ちを必死に抑えて、それでも僕は女の子を守るように二本の足で赤い大地を踏みしめている。


 異形の左腕を軽く振り、指を一本ずつ閉じて拳の形を作った。


「……っ、下がってて」

「――っ! セン、パイ……センパイっ! もう、もういいです! 逃げてください! あたしは、センパイがこんなところで……ッ! あたしなんかを守るために死ぬのなんて見たくないです……ッ!」


 霧雨さんが涙声で叫ぶ。だが、僕はそれに取り合わない。対し、小満はいい加減辟易したようにその面貌に怒りを浮かべて、


「騒ぐでない小娘っ! 今その男が貴公を守るため、わたしを撃滅するがために奮い立っておるのだ。その意地に口を挟むでないわ。口を慎むがいい。もはや貴公(おなご)の出る幕ではないッ!」

「……――っ! て、めぇ……!」

「――大丈夫だから、下がってていいよ」


 怒気をあらわに、今にも少年目掛けて飛び出さんとする少女を無理やり抑えて、僕は挑むように一歩前へ踏み出した。


「ほう……ほうほう! 覚悟を決めたか? 決意を固めたか? わたしに打ち勝つ算段が整ったか? ならば試すが良い。わたしは全力で迎え撃とうではないか! 貴公はわたしの本気を超越してくれるか? このわたしに、閃光のごとき終わりを与えてくれるのか!?」

「ぐ、ぅ……ッ」


 あるわけないだろう、そんなもの。

 でも、見逃してくれる気配はないんだ。だったら――


「ぅ、ぅう、ううう……っ」


 勝てる算段なんてなくても、特攻するしかないだろう?

 だって――僕の後ろには、女の子がいるんだから。

 守るしか、選択肢なんてないじゃないか。

 だからこれが、一世一代の大博打。人貴光夜(ひとだかこうや)の最初で最後の決戦だ。


「ぅぅぅうううぅううあああああああああああああああああああああああああああああッッ!」

「素晴らしいぞ貴公ッッ! さあ、貴公の(ゆうき)でわたしを殺せぇぇぇぇぇええええええッッッ!」


 今にも逃げ出したくなる自分を殺して、今こそ僕は、終わりへ続く道を駆け出した。

 紫電が身を焼く。

 異形の爪牙が降り抜かれる。

 こうして僕は、予定調和の結末とともに、今度こそ無明の底へと落ちていく。




 ――その刹那。

妖畏(オソレ)()レ――〝嚩嚕陀祈雨(ばるだのあまごい)〟」




 僕と異形の間に、雄々しく眩しい『英雄』の背中が割り込んだ。


 戦時中に主に着用されていた国民服と呼ばれる着衣の上から、いくつもの布で継ぎ接ぎされた羽織を纏う益荒男。

 水色の髪はこの地獄にあってなお荘厳な正義と慈愛の輝きを宿しており、僅かに覗く横顔とその瞳には、冷淡にして熱烈という矛盾した決意が宿っていた。

 僕を庇うように立つその人が拳を握る。握った拳に水流が渦巻き、ぎゅるりと音を立てた。

 そして――


「――――」


 無言の意気を発されるとともに、岩のごとく握り締められた拳が彼の十倍以上もある異形目掛けて振り抜かれ、いとも容易くその爪牙を木っ端微塵に粉砕した。


「な、にィ……?」

「うそ……」


 道化の少年、そして背中に庇う女の子が驚愕の声を上げる。

 そんな中、僕は彼らとは全く異なる反応を示していた。


「――――――――」


 すなわち、絶句。

 言葉を無くした。

 その輝きに、眩しさに、心の奥底からマグマの如き憧憬が沸き上がる。

 強く、気高く――雄々しい益荒男。

 こんな人がいるなんて。

 こんなにも正しくて、強くて、眩しい人が。

 ああ――僕は彼に、光を見た。


 英雄は異形を拳一つで押し返したことに対して、まるで誇っていない様子でさらに構える。

 そして――




「安心しろ、少年――ここから先はオレが担おう」




 ――今ここに、英雄譚が幕開けた。


☆ ☆ ☆


 そこから先は――

ああ……言葉にすることすら無粋だった。

 迫り来る化け物の群れを拳ひとつで次々と殴り倒していくその姿に、僕の心は焦がされる。

 水流渦巻く拳に触れた途端、魑魅魍魎その悉くが破裂していった。

 単純な暴力とは少し違うのかもしれない――だけど、そんなことはどうでも良かった。

 拳一つで全ての邪悪を叩き伏せる雄々しい背中に、僕の視線は釘付けになっていたから。


「ほう。水色の髪に左目の眼帯、水流渦巻く恵みの拳――貴公は、ああまさか。くくっ」


 小満が何かに気付いたように薄く笑ったその直後、彼の背後で控えていた大蜘蛛がその節足を振り上げた。

やれ――小満の号令とともに、振り上げられた見上げるほども巨大な足が、大気を裂いて僕らを襲うが、しかし――。


「児戯だな、下らん」


 鎧袖一触。

 振り上げた拳は己の十倍近いその節足すら、例外なく砕き散らした。

 蜘蛛がこの世の終わりのような悲鳴を上げる、その中で――


「くふっ、はは――! なるほどなるほど、あいやわかった。もしやと思ったが、やはりそうかッッ! 貴公は非在間(あらずま)石道(せきと)。この奈落(ナラカ)を踏破せしめた九番目の白王(カルキ)。『太平洋戦争の英雄』『破滅の恵み』『火天墜とし』――すなわち、『嚩嚕陀水天龍王(ばるだすいてんりゅうおう)』非在間石道であるな!」

「御託に付き合うつもりはない」

「そうか――ならこれはどうだ?」


 ぱちんっ――小満が指を鳴らした直後、拙速を一本失った大蜘蛛が解けた。まるで原子と原子の間にあった結合が消失したかのように、巨大な蜘蛛は無数の小さな蜘蛛へ分解された。


「――食い散らすが良い」


 直後、金属を擦り合わせたかのごとき不快な鳴き声を響かせ、津波となって押し寄せる。

 絶体絶命。強大な個が相手ならまだしも、数で押し切られれば不利になるのはこの人だ。


 ――そんな僕の不安を、やはりこの人は拳一つで払拭してくれた。


 ああ、これが僕が成りたかった理想なんだ。

 僕が求めた英雄で、ずっと手にしたかった光だ。

 僕も、英雄(あなた)のような鮮烈な光に。その背中で、みんなを安心させられるような男になりたい。


「ふむ――やめだ、やめ。貴公はそそらん」


 だが――無数の蜘蛛の全てが砕き散らされ視界が晴れたその時、小満はすでに英雄から距離を取り空へ退避していた。猿の顔に狸の胴体、虎の手足と蛇の尾を持つ巨大な物の怪の体に腰掛け、相変わらずの薄笑いを浮かべてこちらを睥睨する。


「わたしは格上に興味はなくてな。わたしを倒すのは格下でなくてはならん。そうでなくては、劇的な敗北()は得られんからな」

「これだけ夢を食らい尽くしてまだ吠えるか。オレは英雄などと呼ばれるに値せん屑だが――それでも、これ以上の凶行は看過できん。おまえはここで終わらせる」

「困るなあ。わたしはそこの少年に興味があるのに。……とはいえ、今ここでそれはかなわぬ様子。と、なれば――だ」


 少年が指を鳴らすと、キメラの化け物がくるりと明後日の方向を向いた。


「逃げるとしよう」

「させると思うか」

「残念ながらできるなのだよ、これがな。貴公は七十年前の戦いで深手を負い、白王(カルキ)としての力を存分に振るえん。屍人(マルナ)としての等級も落ちていると聞く。逃げるなど造作もない」

「……」

「まあ良い。何度も言うように、わたしは貴公に興味がない。ゆえ、そう――貴公だよ、少年。人貴光夜。わたしはいずれ近いうちにまた貴公に挑みに来る。……それまでには、呪象(ノロイ)を修得しておくのだぞ? でなくば、貴公の拳がわたしに届くことは永劫ない。ああ、それと……」


 道化の少年は立ち上がり、赤い涎を吐き出す孔を背中に背負い、両腕を大きく広げて高らかに謳い上げた。


 まるでこの地獄に堕ちたことを祝福するかのように。

 新たなる敗者(きょうしゃ)の誕生に歓喜するかのように。


「ようこそ、千年続く我ら敗者の戦場『奈落(ナラカ)』へ! ここは絶望の集いし世界。己が生に絶望し、未練(ユメ)を抱いたままその生を閉じた敗者(せんし)たちが、二度目の生を得るために殺し合う地獄の底だ。貴公以外の全てが敵――ゆえに奮い、猛れ。未練(ユメ)に渇け、憎悪(ユメ)を燃やせ、信念(ユメ)を貫き、貴公だけの真実(ユメ)を掴むのだ! その果てにッ、貴公は理想(ユメ)とともに世界(あす)へ返り咲くであろうッ!」


★ ★ ★


 奈落(ナラカ)――そこは千年続く敗者の戦場。


 生に絶望し、己の末路を認めぬままに生涯を終えた負け犬たちに残された、最後の絶望(きぼう)


 奈落(ここ)で死ねば、二度と己を取り戻すことは叶わない。理想は永劫掴めない。


 その恐怖を、試練を、戦争を乗り越えて――掴め、十の秘宝、『十種神宝(とぐさかむだから)』を。


 その果てに――屍人(マルナ)白王(カルキ)と成り、人類種(ヒト)の未来は託される。


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