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AZ研究会は行く  作者: 椿 雅香
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特定眼鏡視覚可能剤と中間テスト

 まず、校内の販売に着手する。

 

 100ccの小瓶に詰める作業は、理科実験室ではできないので、できた薬品をAZの部室へ運んで、そこで作業した。

 この時、平均的な男子生徒である山本は、初めて久保を間近で見、お話しまでできたので、感動に震えていた。


 森田は、それを極めて変凡な反応だと思った。



 中間試験が20日から始まる。

 テスト一週間前の13日、できた薬品を手分けして売りさばく。


 一日がかりで「これは、風水研が極秘で売っているものだから、くれぐれも購入先を漏らさないように」と、念を押しながら50セット完売した。

 売り上げは、3万5,000円。

 山本によれば原価300円ということだったので、安めに700円という売値にしたのだ。

 

 取りあえず、利益の二割、4,000円が長瀬と山本の取り分で、残り1万6,000円を裏口座に入れる。



「AZ、GETだぜ!」



 森田がガッツポーズしたが、長瀬と山本が、「どこが、AZだ?これは、立派な労働の対価だ!」と、文句を言った。




 AZ一同は、達成感を感じたが、それに浸っている暇はない。


 中間テストだ。

 

 取りあえず、特定眼鏡視覚可能剤は世に出たのだ。

 今回の中間テストは、特定眼鏡視覚可能剤が露見しないかとのストレスに曝されることになった。


 しかも、最低限の公式、年代、スペル等を前日の晩に黒板に記すという作業まである。


 とんでもないテスト期間だった。




 「ことが露見すれば、買った本人だけでなく、販売に荷担したAZ、更には、たどり着くには二重のダミーをクリアしなければならないが、製造元であるAZや山本までが懲罰対象になるんだ。


 風水研が売っていることにしたが、現実に売ったのは我々AZだ。

 面が割れてる。


 販売に当たって、購入者の資格審査をするべきだった」



 鳴海がぼやいた。


 しかし、賽は投げられたのだ。



「カンニングがばれたら、零点になるんだ。

 

 資格審査なんかしなくても、自分の身が大事だと思えば、情報を漏らすことはないはずだ。


 それに、最初から裏切るようなヤツには売ってない」



 早川が力強く断言する。


「だから、吉村に売らなかったのかい?」

 森田が感嘆した。


「ああ、あいつは、危ない。

 あいつだったら、あんな薬の力なんか使わなくても、良い点が取れる。

 それなのに、あんなものを欲しがるなんて変だろ?


 確かに、公式や年代やスペルが見れるのは魅力的だが、その程度のことは、あいつにとっちゃ大した利益じゃない。

 学校当局に密告しそうなヤツだ。


 要は、人なんだ。


 何かをするときは相手を見るんだ。今回は、人を見て判断をした。だから大丈夫だ」


  久保や長瀬は納得した。



 鳴海は唖然としていた。


 どうやら、彼の許容範囲を超えていたようだ。





 とんでもない状態だったが、とにかく無事にテストは終わった。


 買った連中が馬鹿なことをしないか、ドジを踏まないか、露見しそうか、黒板に記すサービスで守衛に見つからないかと、ハラハラしたのは、鳴海だけだった。


 後の四人は、学校当局がどこまで迫るか、風水研までか、阿須商事か、最後のAZまでか、と、呑気に観察していた。


 長瀬と森田は、賭までしていた。



 早川は、その呑気さでこちらが優位に立てる、鳴海のようにキリキリするのは、疑って下さいと言っているようなものだ、と笑っていた。

 



 何とか、中間テストを終わって、裏口座の通帳を見る。


 燦然と輝く1万6,000円の数字にAZ一同は大いに満足して、次の生徒会連絡調整会議に向けて計画を練る。



 次は、大々的に売るぞ!


 一同、大いに盛り上がった。


「ヨシ、最大、何セットぐらい作れるんだ?」


「山本によれば、500セットが限界だ。

 一ロット作って小瓶に入れ、更に一ロット作って小瓶に入れてって繰り返しだ。

 小瓶に入れる作業をAZがするとして、せいぜい300~500セットまでだろうな」


「そうか。イッキ、生徒会連絡調整会議は、何校集まるんだ?」


「確か、ウチを入れて十校だ」


「一校、30~50セット売ることにすれば良い。

 ウチで、50セットも売れたんだ。

 きっと、たくさん売れるぞ。

 

 で、今頃訊くのもなんだが、その会議、どこであるんだ?」



 早川は、完全に営業課長だ。


「今年は、ウチが会場だ。

 

 俺と久保さんが、北斗高校生徒会として出席する。日時は、6月11日の土曜日午後1時からだ」


「セイ、誰が、セールスするの?」


「ヨシ、販売に行ってくれるか?」


「いや、ヨシより久保さんが良いと思う。

 俺と久保さんがセールスをする。ヨシは、搬入と説明を頼む。


 ここまで来たら、俺がやる。毒を食らわば皿までだ」


 鳴海が腹を括った。



 早川が満足そうに微笑んだ。

 



日時 5月25日(水)10時~11時(テスト休みのため)

場所 歴研部室

議事 無難なAZの獲得方法について議論があり、去年山本が作った『浮遊薬』の

  商品化を依頼することとした。

記入者 久保




鳴海の胃に穴があかないか心配です。

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