いのち
もうすぐ三つになるきみは
大好きなトーマスを見にいくために
トイレの練習をしているんだって。
かしこくったって
おしめをした子は
連れていけませんと言われて。
きみは毎週末かぜをひく
こんこん、けんけんと泣きながら
はらはらはらはら生きている。
ばあばのからだに
かぜの菌がすみつくと
ばあばの細胞はしんで、もう生きない。
ばあばは逃げも隠れもできないので
そこにいる。
きみは
少しずついのちを食べる
わたしやばあばがいつか食べたように。
トイレを覚えたら
ばあばとトーマスを見にいこう。
ぱたぱた、ぱたぱたと
羽ばたいている小さなきみよ、
生まれ食い生きる肉のかたまりよ
あつく、甘く、とろけていくような
ひとかけの いのちになれ。