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田舎の伝説

呪い~わたしの厄なる地はここでした~

作者: 久悠ふみ

田舎の怪盗夫婦に登場する、怪盗夫婦。

誕生までのお話です。

呪い。

それは本当にあるものか?

確かなのは誰かの、とある者への強い思いが、他者には重く感じられ疎ましく感じることである。

ストーカーなどはまさに呪いなのであろうか。

わたし、三郷野(さんごうの) 呉半(ごはん)はそう思う。


三郷野家はもともと日本の出身でも、この世界の出身でもない。

『グンザン』という異世界にある国で神官を勤める家系であった。

ただし、一般的なよくある治癒魔法の扱える神官ではなく、領地内をまわり、各家より鬼を集め、山へ解き放ちに行く役目。

その頃のわたしに名字はなく、『ゴハン』と名乗っていた。

父と弟が戦闘民族とかでは断じてない。


その地で鬼とは、山神さまの子供が街で迷子になったものとされている存在だ。

ふもとの民とは言語が違うため、会話のできない山神が苛立って行動で示す。

それが、民には悪しきものにみえるため、山神さまを『鬼』と称するようになったのだ。


そんな生活を続けていたある日、突然目の前に多きな光輝く門のようなものが現れた。数日たっても消えないため、気になったわたしは万が一に備えて荷物をまとめ、それをくぐった。


そこは何かを奉ったような祭壇のある広々とした空間で、足元に引かれた丸い模様の外側に1人の美しい女がいた。

巫女というらしい。

それが名前なのかと思ったが、話を聞いてみると、わたしの世界でいうものの神官のようなものだとわかった。


「異世界の神官さま、この世界では呪いなるものが各地にて滞っております。どうぞこの地の厄なるものを祓いたまへ。その為ならばこの身、あなた様に捧げましょう。」


突然のことで戸惑いはしたが、帰れないと言われては仕方ない。いきなり呼び出してなんと勝手なことかと思ったが、門をくぐったのはわたしの意思。それにまだわたしも若く、この身を捧げると言われ困惑すると共に興奮した。健全な男なのである為、当然の帰結と言えよう。

また、この見たことのない世界に並みならぬ興味があった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

巫女と契り、その身をめとってから四年がたった。

ゴハンは約定に従い、呪いの地を探し、祓う作業を続けていた。


そんな彼であるが、長年ずっと気になっている事がある。


自転車で最寄り駅まで15分。カップ麺3個分の時間だ。

その道中に、わたしにとっての厄あう地…厄地が存在する。


わたしはマントをよく愛用している。異世界より使い続けているもので予備も何個か持っている。

自転車でのあのはためく感といえば素晴らしいの一言だ。

向かい風に向かい布地を羽ばたかせれば、風圧により進まなくなりいい筋トレにもなる。筋トレ大好きなみなさんにもオススメだ。

そんなマントであるが、その地を通る時、なぜか何回もチェーンにからまる。絡まった布地は取れるようなものでもなく、切断するしかない。自転車を共にする相棒を切るのは、まさに断マントの思いだ。

絡まるたび、友へハサミを入れる。


チョキチョキチョッキン

チョキチョッキン。


そして再利用するため姿形を整えるためにまた、



チョキチョキチョッキン

チョキチョッキン。


わたしはその度に罪深い思いに囚われるのだ。


マントだけではなく、チェーンが外れることは日常茶飯事だ。

通るたび、自転車を変えようともチェーンがそこで外れる。


冬、その厄地は坂道の途中にあるが、そのところだけ窪んだようになっている。

雨が降った日はその部分だけ凍結し、氷を乗り越えねば駅へと向かうことはできない。

直線の坂道、本来ならスピードを乗せて駆け上がりたいのに、その直前でスリップなんて氷々(こりごり)だ。


この世界に山神さまの存在は確認されていない。

夫婦で他所の地より福をこそっと回収し、その呪われた地にて集めて徐々に祓う。



各地の福を盗み、呪いを祓う夫婦。

怪盗夫婦、それがいまのわたし達だ。



結局、呪いはこの時点では祓われていません。

これは怪盗夫婦の誕生までのお話。


呪いはどうなるのでしょうか?

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