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7話 優しさと願いと心強さと

6話も楽しんでいただけたでしょうか?

それでは7話を楽しんでもらえると幸いです。

泊まる部屋に入り、荷物をお互いに置き、椅子に腰をかけるとピカードが声をかけてきた。


「明人、今後の話をするぞ。」


「はい、具体的にはなにをすればいいのですか?」


「まずは、明日やることを説明する。明日は道具の卸しにいかねばならない。」


「道具の卸しですか?」


「野菜などは先ほどゴーンさんに卸したが、骨董品や薬、工芸品などは私の道具袋の中に入っている。」


「ではそれらを売りに行くのですね」


「その通りだ。だが私とは別のことをしてもらう。納品する数が足りないものを用意してもらいたい。」


「用意といいますと、何が足りてないのですか?」


「それは薬だ...薬が足りていない。」


消え入りそうな声でピカードさんは言った。

それに自分は頭をかしげながら聞き返す。


「薬ですか?でもさっき薬が入ってるとはいってましたよね?」


「その通り、納品予定の数はちゃんと確保したが、それでもこの国ではまだ足りないのだ。」


「なるほど、さらに薬を確保しないとですね。」


「確保できればいいのだが。この国には、元々薬を作れる者が少ない。そのために他の国へわざわざ私が仕入れにいったわけなのだ。」


「ということは手に入らないというわけですか!?」


「金さえ払えば手に入れられるが、そんなことをすれば仕入れ原価が高くなって赤字だ。そこで明人、お前の出番だ。」


ピカードは名案だと思うような明るい顔になった。

「出番ですか?」


「そうだ。錬金術で薬を作らないか?それを俺は買い取ろう。」


「申し訳ないのですが、半人前の自分に作れるとは思えないのですが。」


「薬は恐らく教えてもらえれば、すぐにでも作れるようになるだろう。その前に明人はギルドに所属してもらわなければならない。」


「ギルドですか?」


「ギルドに所属していればギルドカードが発行される。それが身分を証明するものであるのだが、明人にはそれがないだろ?」


言われて初めて知った事実であった。



---------

鑑定結果


ギルド


ギルドとは職業別組合のことである。

大きく3つ存在し商人、手工業、宿場がある。

それらの3つのほかにどの国にも所属しない傭兵ギルドがある。


主にお金を用いる商売に携わっているものは持っている。


身分を証明する方法のひとつである。



---------


「それがないと、問題があるんですか?」


「別に問題があるわけじゃない、お金を払えば門に入れただろう?市民などは持っていないからな。」


「それなら安心ですね。」


「そうでもない。」


自分は門に入れたことにほっと落ち着いていたが、ピカードさんの真剣な顔は変わらなかった。


「まず錬金術師に限らず、モノを作ることを生業にし、売買する際にはギルドに入っていなければ罰金が科せられる場合がある。」


「なぜですか?」


「商品の品質や作った者が保証されていないからだ。」


「つまり信頼がないということですか?」


「その通りだ。そのためにそれらに応じたギルドが存在する。」


「じゃあ自分は手工業ギルドに入ればいいんですね?」


「そうだ。入ることが出来れば薬のレシピが得られ、作れるようになるだろう。また身分を証明することが出来る。」


「分かりました。明日ギルドに行きます。」


自分は納得してそう答えると思いつめた顔でピカードさんは指をチョキにし、話をつづけた。


「まだ話は終わっておらんよ。二つ目の話だ。」


「二つ目ですか?」


「身分を得ることが出来れば、私のお願いを聞いてもらいたい。」


「お願いですか?それはどんなもので・」


契約と聞いた自分は背筋が伸びるくらいに緊張感を高めた。


「明人のために使うアトリエを作る出資金を出させてくれ、代わりに今後依頼を私が出すのでそれを受けてもらいたい。」


「アトリエを作ってもらうのはありがたいですが、話がよすぎはしませんか?」


自分は警戒しながらそう話すがピカードさんは苦笑いしながら答えた。


「まあ普通はそう考えるだろうな。だからこその投資だ!! 私は見込んだのだよ。明人にね。」


「言われるのは嬉しいのですが、少し怖いですよ。」


「警戒しているのは分かっている。だから私のことも話そう。」


「ピカードさんのことですか?」


「これでも私は元貴族だ。」


「元貴族!?」


「私の家ピカード公爵家は外交官を多く輩出していてな。6つ上の長男はこの国の外務大臣だ。」


「まあ、お前さんはエルフであり、田舎から来たといっていたのだから貴族の名前も知らないとは思うが」


「でも貴族てすごいじゃないですか」


「たまたまその家に生まれただけだ、私は弟だったため家に居候するわけにもいかなかった。」


貴族と聞いて興奮してる自分は家族のことを聞いた。


「家族と仲が悪かったのですか?」


「いいや、今もたまに帰ると家族は優しく歓迎してくれる。だが貴族として頑張っている兄や両親をみると貴族ではなにのに、国のために頑張らなければと思ってしまう。」


思い出を感慨深く話すピカードは少しやつれた顔で話を続けた。


「数字を見るのと外の風景を見るのが好きだったのが総じて貴族籍を抜いて商人をやっている。元貴族とはいえ、これでも商売は成功しているのだ。お金は安心してくれ、返さなくて構わない。」


「それは悪いですよ。」


「気にするな、悪いと思うならそのアトリエを国一のにしてくれ。私は貴族ではないがこんな形でも国に貢献したいのだ。」


その言葉にピカードさんは感情がかなりこもっていた。国思いでとても優しい人なのだろうと改めて自分は思った。


「少し感情的になり過ぎて悪いな。フルネームをウィリアムズ・ピカードという今後はウィルとでも呼んでくれ」


「ウィルさん。改めてよろしくお願いします。」


「うむ。さて、私の身元は明かしたことだし、明日朝一番にギルドへいくぞ。そのためにも飯を食べて早く寝るぞ。」


「はい!!これから頑張りますね。」


自分はそう声を大きくあげ国一番のアトリエを目指すことを心に誓った。

読んでいただきありがとうございます。


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