ファミレスファンクション
現状ばかりを見る
リアリストには
なりたくはないし
夢だけを追いかける
お花畑の思考にも
なりたくはない
その間で生きて
くたばりたい
獣と人を使い分けてこそ
生きてる実感があるから
尖った靴の男が歩いている
それを見ていた
ファミレスの窓際で
夜にサングラスの意味が
僕には分からなかった
噴き出しそうになったから
メニュー表を見る
ついでに注文する
生姜焼き定食
トイレから帰ってきた
隣の席の女性が
目の前の女友達と
さっきの話の続きを話す
声が聞こえてくるけれど
訳の分からないプランが
増えていき
お金の事は考えていない
考えるだけはタダだと
納得していると
絶対やるって声が
威勢良く飛び出た
女友達の苦笑いの声色
ちゃんと見てあげなよ
友達ならさと思う
ファミレスの角の席を見ると
ドリンクバーを注文して
勉強している人が居る
赤い本が見えたけど
どうなんだろうって思う
単品のみだったから
金銭的に余裕が無いんだろうって
思っていたけれど
トイレに立った時
手首の時計を見る
高級ブランドだった
トイレから出て来ると
彼がシャープペンシルを
落としているのに
気がついた
あの言葉は言わずに
彼に渡すと
お礼の言葉が帰ってきたから
少し話をした
ドリンクバーだけの時は
腕時計を外した方が良いと
彼が首をかしげるから
お金持っているのにって
思われないようにと伝えた
彼は
それでわかってくれたが
その時数学の解いた後が
チラッと見えた
五問中四問
赤い数字
途中式の一部が間違っていた
頑張ってで
その場を離れたけれど
今度は僕が
首をかしげそうだった
現状ばかりを見る
リアリストには
なりたくはないし
夢だけを追いかける
お花畑の思考にも
なりたくはない
その間で生きて
くたばりたい
獣と人を使い分けてこそ
生きてる実感があるから
あの人達の普通は
よく分からないけれど
獣になろうと
人になろうと
自分という物は
不意に出る
出てきた物を
どう見るのか
それを自分だと
言えるのか
そして
それは大切にする物なのか
湯気の出る味噌汁片手に
僕は考える
生姜焼きの枚数を
数えながら