Moment
『イヤだ』そう言えたらいいのにとなんだ思った事か
じゃあ何故言わない
言わないんじゃなく、言えないんだ
皇法42条 6項
システムによって生み出されたモノはニンゲンへの反発を禁ずる
というまぁ、安直な法が存在するからだ。
こういう差別的法は残り数十項ある。
いわば、開放状態の奴隷である。
「はあ…行くか…」
そんな事を呟き幽人は青白い光に包まれパン屋へと向かった。
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「お会計640ソルドになります」
無言で1000ソルドを出した。
「360ソルドのお返しです。ありがとうございました!」
「ども」
チリーンと音を立てドアを開け、再び学校へとワープした。
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狂屋の席へと向かった。
「あの…狂屋クン…サイノール買ってきたよ」
そういうとすぐに目の前が光り、光の中から狂屋が現れた。
「おっせーんだよ!!」
ボコッ
狂屋の右手が幽人の頬に衝撃を与えた。
いつものことだ。
狂屋はこれがしたいがために、幽人にサイノールを買わせに行かせる。
無言で右頬を抑え俯く。
「へっ!じゃあ明日も頼むな!」
そう言ってサイノールをむさぼりながら光のなかへ消えていった。
俯いたまま立ち上がり幽人も自宅に戻った。
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ベットに横たわったままテレビをつけた。
テレビからアナウンサーが突然叫びをあげると同時に警告音が鳴り響いた。
ビービービービービービービービービー
ん?なんだ?
幽人は上体を起こし、窓を開け辺りを見渡した。
ピカッ!
あたりが一瞬白く光った。
つむった目を少しずつあげると
「なっ!?」
そこにはさっきまであったはずの景色が綺麗に変わっていた。
そう建物などが綺麗に瓦礫と化していたのだ。
「何があったんだ…?」
声になっているのか分からない程の声を出した。
幽人は気づいた。
アレ? 他のヒトは?
幽人以外誰もいなくなっていた。