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関谷ってどれぐらいの石高なの?

20191021改稿。

「関谷ってどれぐらいの石高なの?」

「んー、五万石ぐらいかな」


 五万石というと日本の令制国における石高に照らし合わせると隠岐国(いきのくに)淡路国(あわじのくに)程度しかないことになる。

 両方とも国とはいうものの島だ。島と同程度の石高しかないのなら小国というしかないだろう。


「でも五万石のお城にしては立派だね」


 視線を上げると町の北側にあるお城が見える。


「ここから見てもなかなか立派なお城でしょ? みんなの自慢なんだよ」


 白壁の天守閣でもあればもっと見栄えはするんだろうけど、ないものは仕方がない。

 志野(しの)城は平山城だが、これは防御面ばかりを考慮したからではないだろう。単純に土地が狭いのだ。


 北から東へ向けて水量の豊かな明科(あかしな)川がお城を囲むように流れている。川幅もあるし流れも激しいから、こちら側からお城を攻めるのは難しい。対岸へ渡るには船に乗るしかない。

 城下町は城の南側へ向けて発展しているが、山と川に挟まれているのでそこまで広いとは思えない。むしろ狭いと言ってもいいだろう。

 なお、南へずっと下っていくと海にたどり着く。そこには船坂(ふなさか)という港町があるそうだ。


「なかなか田んぼが広げられなくてね。フクオカ様があれこれ手を打ってくれてはいるんだけど」


 関谷は平地が少ないため田畑として使える土地が限られ米の収穫高が少ない。故に新田開発は常に国の重要な政策となる。

 澪に連れられて都に入る手前で見かけた田んぼは古くに開墾された場所で、あの辺りで新たに広げられる土地はほとんど残っていない。

 現在は多少離れた丘陵地帯を開発したり、浅瀬の埋め立てを積極的に行って農地を少しずつ増やしているそうだ。その先頭に立つのが神経質そうな顔をした家老の福岡様だった。


「木材はたくさんとれるからね。それを加工したものを生産しているんだよ」


 土地の関係で農作物の収穫は少ないが、山がちな土地柄故に木は豊富にある。

 だからこの国は木材の加工品が特産物で、国も生産を推奨しているのだそうだ。

 建材から桶やお椀といった日用品から神木を使った機巧姫まで。関谷産の木工品といえば全国でも有名なんだとか。


 木工品を他国へ輸出しているということはある程度の大量生産が可能であり、相応の消費者が存在するわけだ。

 もしかしたら手元の資金で人を集めて現代世界の何かを作ってウハウハできるのではなかろうか?

 人を集めて大量に物を作ることが可能というのは覚えておいて損はない。


「結構、商業活動が活発なんだね」

「国は小さいけどそこそこ豊かだと思うんだよね。それに水蛟(みずち)たちのいる水江(すいこう)島とも交易してるし」


 薩摩藩における琉球王国のようなものだと考えればいいのだろうか。朝貢関係にはないみたいだけど。

 その島は機巧姫の勾玉となる神石がとれる数少ない土地らしい。


 単純な石高だと関谷は小国に過ぎないけど、現金収入を含めると上国(じょうこく)をも上回るんじゃないだろうか。


 良質な木材と水江島でとれる貴重な石が入手しやすい土地だからこそ、関谷は古くから人形の生産地として有名だった。

 必然的に機巧姫に関わる人たちがこの国へ集まり、多くの名品が生み出された。

 そんな土地だからこそ、今を生きる人形師たちは関谷にやってくる。操心館にいる調律師の茅葺さんもそういった一人らしい。

活動報告にキャラクターデザインラフをアップしてますので、そちらも合わせてご覧ください。

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