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僕は不吹清正

20191004改稿。

「僕は不吹清正。君は?」

「キヨマサ、キヨマサ……ちょっと覚えてないかも。ごめんね。私の名前はアワブチ・ミオ。アワブチって聞いたことないかな?」

「うーん……ごめん、ないと思う」

「そっか。あは、いいのいいの。でもキヨマサ君だけでも助かって本当によかった……」

「いや、助かったのは僕だけじゃないよ。ここの村っていうか集落か。生き残った人たちなら近くの安全な場所に移動してもらったから」

「え? キヨマサ君は三桜の子じゃないの?」

「三桜ってこの集落の名前?」

「そうそう。あ、だから私の名前に聞き覚えなかったんだ。そういえば変わった格好してるもんね。ん? んん~? ちょ、ちょっと待って! あの、もしかしてそちらの方はもしかして……機巧姫、なの?」


 驚いた顔をした澪は葵を見て固まっている。


「はい。吾の銘は葵。主様を助けていただき感謝の言葉もございません」


 優雅に葵が頭を下げる。

 その動きは実に洗練されていて、とても人形には見えない。


「い、いえ、そんな。こちらこそ……その、驚きました。こんなに自然な機巧姫には初めてお会いしました……びっくりです。すみません。握手をさせていただいてもよろしいですか」

「ふふ、構いませんよ」

「すごーい……こんなに自然だなんて。はわぁ。今まで見たどの機巧姫とも違うんだぁ……」


 驚くよな。それ、人形なんだぜ?


「ところで、さっきのは何?」

「〈手当〉よ。怪我を治したり、疲労を回復できたりするの。キヨマサ君は……知らないかもね」


 澪は少しだけ寂しそうな顔をしているけど知ってるぞ。正確には該当しそうなものに思い当たるものがある。

 ゲームでいうスキルに当たるもの。

 澪がゲーム世界の住人ならそういうのがあってもおかしくはない。つまり澪はヒーラー系ということか。


「もう一つ。君はどうしてこんなところにいるの?」

「私のことはミオって呼んで。えっと……そうだった! ここは戦場なのっ。こんなところでのんびりしていたら危ないから避難して!」

「避難って言われても、どこへ逃げたらいいのか……生き残った村人のところへ行けばいい? 葵は場所を知ってる?」

「いいえ。碧寿(へきじゅ)と名乗った女性は避難場所までは言っていませんでした」


 その人がここの領主の使いなのだろうな。

 無事に安全な集落までたどり着けているといいけど。


「そっか。ヘキジュが来てくれたんだ。それなら逃げて行った人たちは大丈夫だと思う」


 澪の口ぶりからすると知っている人物のようだ。


「ここに残っているのはキヨマサ君と葵の君だけなのよね?」

「そうなる。だよね?」


 葵に確認をする。


「はい」

「だったら私と一緒に移動しよ」

「いいの?」

「うん。あ、その前に確認させてもらいたいんだけど、葵の君と一緒にいるってことは、ここを襲った機巧武者を倒したのは……キヨマサ君だよね?」


 真剣な目だった。どんな嘘も見逃さないという覚悟が伺える。


「この集落を荒らしていた機巧武者を倒したのは僕と葵だけど……」


 じーと僕たちの様子を伺っていたミオは「ほぅ」と大きなため息をついた。


「よかった……私、もしかしたら敵を助けちゃったんじゃないかって」


 助けてもらってなんだけど、それも間抜けな話だな。

 っていうか、さっきの真剣な表情はそれを懸念してのものだったのか。

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