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「光太…。」
光希は、泣いていた。嗚咽を漏らさないように、必死で唇を噛んで。光希にこんな思いをさせてしまったのは元を辿っても、今も、全部、私の所為だ。光希が泣き止んだとき、私は気まずくなって光希に聞いてしまった。それが間違いだったのか。私には分からない。
「目が、無いのは、どうして?」
「光太…アヤメは、闇魔法を使うんだ。闇魔法は、その危険さ故に何かを代償にしなければいけない。それも、親指とか耳とかじゃなくてもっと大切なもの。大抵は本体の方の目を代償にするんだ。ほら、別人格になると、外見変わるだろ?あれで、本体の目がなくても別人格になれば目は復活するんだ。別人格で戦うから…。でも、光太は親の為にそうしなかった。別人格の方の目を代償にしたんだよ。母さんは、光太が変わることを喜んでなかったから。まぁ、そんなかんじ。
イェーガーは何も代償にしてないだろ?イェーガーが使うのは自然魔法なんだ。だから、治療は使えないんだよ。」
何かから逃げるように早口で喋り続ける光希はまた涙を流していた。
「闇魔法…アルヴィトはどんな魔法なんだろう…。」
「知らないよ!少なくとも、光太をすぐ殺してしまえるような残忍で極悪非道の魔法と心であることは確かだよ!」
「光希…そ、そんなこと…。だいたい、アルヴィトは光太が光希の弟だなんて分かってなかったっ!」
「分かってたよ!アルヴィトは光太を知ってる!分かってるのに殺したんだよ!残忍であることの何が違うっていうんだ?キレイ事並べて、夏希を騙して、最後には殺すんだろ?!いつも、いつも、結局そうじゃないか!」
「いつも?」
「そうだよ。いつも、だ。アルヴィトは前は夏希のおばあさんに付いてたんだ。だけど、高齢になったらさっさと夏希に乗り換えて、殺した。」
「『全く…人聞きの悪い…。高齢まで待ったじゃないか。それに、ハルが死んだ原因 は加齢だよ。そんなに私を悪者にしたいのか?』」
「でもっ!」
「『でも、なんだ?光希は私が悪者の方が都合がいいもんな?』」
「そんなこと!』
「『そんなこと、なんだ?ないといいたいか?言えないだろ。だってそれは真実じゃないからなぁ。』」
「なんでそれを…。」
「『私はアルヴィトだよ?分からないことはない。』」
「そうやって人を誑かして…。」
「『誑かして?、そんなことはしてない。ただ、アイツらが勝手に私に心酔していったのだろう?それに…
私と一緒にいるのが嫌なら去ればいい。』」
「わ、分かったよ!去ればいいんだろ?!」
「『ああ。その方が夏希のためだ。私も光希に魔法は使いたくない。ではな。』」
その日を境に光希と私は離れて行動するのようになった。その日のアルヴィトと光希のやり取りを私は覚えていなかった。
光希は去っていった。
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