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私の中の私→ワタシです。
更新遅くてスミマセン!
私は今おばあちゃんの産まれた村である巳波禽村の資料館にいる。情報収集のために来ていた。
「夏希!」
光希に呼ばれた。光希は巳波禽村の村長の孫息子で私より2歳年上だった。巳波禽村の歴史に詳しいらしい。
「これだよ。ほら。神谷ハル。かみたにさんって村にこの一家しかいないから、他の場所から来たのかな?ハルさんにそういうの聞いてた?」
「ごめん。そういうの聞いたことなくて。」
「あー。ごめん。」
「いいよ。」
『全然良くないのに?』
ワタシが言った。
そういえば、と光希が巳波禽村概要事典を捲りながら聞いてきた。
「どうしてこんな所に来たの?」
ワタシが誰なのか知りたかったからとは、言える訳もなく。
「おばあちゃんのことを知りたかったから?」
「アハハ、なんで疑問系なの?」
「なんでって言われても。それに、そんなに笑わないでよ…。」
「ごめんごめん。謝るからそんな顔しないで。」
光希はその後も笑っていた。何が面白いのか分からない。
1時間程した後、光希が呟いた。
「神谷家の人って多重人格が多かったのか。」
「は?なにそれ。」
考えるより先に声が出ていた。
「ごめん。夏希も神谷家の人だよね。ただ、この資料見てたら書いてあって。ハルさんもそうだったみたいだ。あるふとした瞬間に物凄い冷静な人物とか冷たい人物とかになるらしい。普段優しくて温厚篤実って感じだったから、変わりようが半端なかったみたいだよ。」
冷静とか冷たい人物。いやいや、おばあちゃんに限ってそんなことあるわけ…。
『あるけど?』
「え?どうして?」
「どうしてって。書いてあることを読んだだけだけど。」
「ごめんね。それじゃない。」
「そう。」
『馬鹿。声だすなんて。この男にバレたらどうすんのよ。』
私が知りたいことに答えて欲しかったけど、ワタシは口が滑っただけ、とかなんとか言って、結局答えてくれなかった。
翌日の朝、日も昇りきっていない時間、光希は興奮した様子で私を起こした。
「あの多重人格の話だけどさ、警察が派遣されたり、村が無理矢理合併されそうになったときとか、村にとって都合の悪いこととか村に悪影響を及ぼすときとか、多重人格の人の身の危険のときとか、発生時は限られてたみたい!そういえば夏希は多重人格なの?いや、気を悪くさせてたらごめん。好奇心で聞いてるだけだから。で、どう?」
『正直に答えちゃ駄目。』
ワタシが警告を発していたことに私は気づかなかった。
「多分そうだと思う。」