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主人公は私です。
「」 私
『』 私の中の私
“” おばあちゃん
「ねぇ私。あなた誰なの?」
朝起きたら私は私に問いかける。私は誰で、どんな人で、どこから来ていて、どんな存在なのか。
『あなたが見つけるんでしょ?』
返ってくるのはいつも同じ返事。私とは違う声で私とは違う考え方の返事だ。
私は答えを早く知りたい。悩みたくない。辛い思いをしたくない。苦しいのは嫌い。
『弱虫』
私の中の私は厳しい。もう少し甘くてもいいのに。でもそれじゃ駄目、らしい。
私が今いるのはおばあちゃんのお墓。小さい頃に話してくれたお話、それだけが頼りで。おばあちゃんが教えてくれたのはそれだけだったから。おばあちゃんに聞いたこともあった。私は誰なのかと。でも、おばあちゃんは答えは自分で見つけるものだと言って教えてくれなかった。それに、おばあちゃんは大きなヒントをあげているからこれ以上は教えることが出来ないとも言っていた。お爺さんにも聞いたけど、帰ってきたのはおばあちゃんと同じ返事だった。
“考えて。大丈夫。私は全てを教えたから”
おばあちゃんから帰ってくるのもいつも同じ。
でも、今日は違った。
“しょうがないねぇ。私の産まれた村にいってごらん”
小さい時、私がだだをこねて絵本の結末を知りたがったとき苦笑しながら教えてくれた。そんな風にヒントをくれた。
おばあちゃんが少し眉をひそめて笑っているような気がした。
『少しは自分で考えなさいよ』
私の中の私が言った。
私はおばあちゃんの産まれた村へと向かった。
次回、私の名前が明かされる予定です!