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私の中にはもう一人の私がいる。
小さい時からずっと一緒だったから皆そうなんだと思っていた。保育園で初めて皆そうではないのだと知って驚いた。
家にはおばあちゃんがいて、その事を理解してくれていたから親には話していなかった。でも保育園の人が親に伝えると、親は初めは子供にありがちな妄想だと思っていたけれど段々私を恐れ始めた。
「お前は私の子供じゃない!」
「出ていけ!」
そんな親をおばあちゃんは必死で止めてくれたけど、私が小学生になった時におばあちゃんは死んでしまった。
親は私に暴力をふるった。私は児童施設に入った。
施設に定期的にやってくるお爺さんがいた。お爺さんも私の話を信じてくれた。もう死んでしまった孫がそうだったらしい。その孫は親に暴力をふるわれて死んだそうだ。だからこうして親に暴力をふるわれた子供が多いこの施設にきてくれているのだ。そのお爺さんがこう言っていた。
「そのもう一人の私を探してみるのも一つの策かもしれないなぁ。」
滅多に笑わなかったお爺さんが笑っていたから私はその言葉を覚えている。
私は17歳になっていた。施設を出るときにおばあちゃんの遺産を引き継いだ。かなりの額だった。私はその遺産を使ってもう一人の私を探すことにした。
私の名前はまだ出てこないです。読みにくかったらすみません。