世界の創世
これは遠い昔の記憶。散りばめられた星々が瞬き。名も知らぬ文字で囲まれた太陽が宇宙で灼熱の塊として存在していた頃、突如として変化が起きた。
様々な文字が淡く煌めいた時、触手を伸ばすように文字は太陽から離れた。
しゅるりしゅるり。文字から幾重ものの線が解け、丸い球体を作り出す。線でしかない球体だ。文字が蠢き、強く輝く。淡かった光が激しい物に変わり、他の惑星に力強いフラッシュの瞬きが走った。
文字は構成を作り出す。少しずつ出来上がっていく新しい『世界』を作り出す為に、太古の記憶を宿す人間や魔物を生む為に、世界を作り出す。
一部の文字が赤く光った。そこから落ちたのは、一つの種だ。翠玉の輝きを放つ種は、生み出されようとしていた世界と一つになり、直ぐ様根を伸ばす。
張り巡らされた根は、世界のネットワークを作っているようだった。文字はその樹の種を『世界樹』と名付け、世界の中枢に位置付けた。
作られた世界の名は――シンフォルン。知恵を持ちし人間が集い、血肉を貪る禍々しい魔物が生まれた場所。その世界はマナと呼ばれるエネルギーに満たされた、美しさと貧しさ、禍々しい狂気によって作られた世界だった――。