始まりの世界
周り一面真っ白な世界。前も後も上下も左右も真っ白な世界。立っているのか浮いているのかもわからない。そんな空間に俺と「誰か」がポツンと存在していた。
「はじめまして。月読蒼真くん。」
「えっ?は、はじめまして。」
「君とお話してみたかったんだ。面白そうだし、それにね・・・」
「それに、何だよ?」
「いや、何でもないよ。」
「そうか、まあいいか。」
「ねぇ、突然で悪いんだけどさ・・・」
「な、なんだよ」
「君は、なぜ生きているんだい?」
「・・・え?」
「君は一体、何のために、誰のために、何がしたくて、生きているんだい?」
妙に安心する口調、そして声で聞いてくる。
「し、知らねぇよそんなの・・・」
「それって生きてるって言えるのかな?」
「な、なんでそんなこと言うんだよ・・・」
「それって死んでるのと変わらないじゃないかな?いや、それは『死』に対して失礼だね。」
「う、うるせぇな!なんだよ一体!!」
「ふふ、ごめんごめん、そう怒らないでよ。ね?」
「お前は一体誰なんだ?」
そう質問すると「誰か」は笑った。
「私が誰か?あはは、おもしろい質問をする
んだね、君は。」
「笑ってないで答えろ!!お前は一体何者なんだよ!!!」
「私のことを知りたいのならこれから頑張って生きていかないとね。私のことがわかる時が来るのを楽しみにしているよ。」
「そんなごちゃごちゃ言ってねぇで答えろよ!!!」
「あ、もうそろそろ時間みたいだね、残念。もう少しお話したかったのになぁ。」
そして真っ白な世界がいきなり輝きだした。それと同時に「誰か」の姿が薄れていく。
「な、なんだ!?おい待て!!」
「また今度お話しようね。楽しみにしてるよ」
「お、おい!」
そして、「誰か」の姿が消えたと同時に真っ白な世界は崩れ落ちた。