表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夏生詩集

寒い夜

作者: 夏生

夜、寒さは僕の

鼻腔をいじめる


身体の表面は毛布に

守られるが

冷たくても

空気は吸わねば

ならないから

寒さは僕の鼻から侵入して

じんわりじわじわ

冷たい触手を広げていく


暑さは冷風が

吹き飛ばしてくれるが

寒さは隙間から

シレっと入ってくるから

油断ならない


僕は布団と毛布にくるまって

かたく目を閉じた


寒さは僕の耳もとに

息を吹きかける

頬をゆっくり撫で

キスをする


冷えきった手足をこすり合わせて

自家発温

無駄な抵抗と寒さは布団の隙間から

侵入すると僕の腹を撫でた


寒い、寒いよ


我慢できなくなって、僕は

寒さを口にした

寒いよ、寒い


心の奥から熱いものがこみあがると

自家発温、フル稼働

寒さは恐れをなして僕の内から出て行った


こめかみに伝った涙を

寒さは目ざとくみつけて

吐息をふきかけた


僕は気にせず、流れる涙をそのままに

深い眠りに落ちていった


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ