プロローグ ~Child Memory~
「師匠、師匠」
「どないした、ハレ?」
「あのね、えっとね、師匠の本が光ってたの!」
「なんやて!? お前、ハレ、光っとった本見たのか? どこでや?」
「し、師匠の書斎」
「ハレ、勝手に入ったんか?」
「ふぇ、だって、師匠の書斎の前通ったら、ドアが光ってて、押してみたら開いちゃったんだよぉ……」
「わ、ちょ、泣くなハレ」
「ふぇえええん、だって、師匠が、師匠がぁ……」
「あーもー、頼むで泣かんといてくれ……。どないしたらエエかわからんねん」
「ふわぁぁぁああん、だって、だって」
「ハレ、俺は怒っとらん。書斎の鍵閉め忘れとった俺も悪いんやさかいにな。ほら、泣き止み」
「師匠、師匠……」
「でや。その本どないした?」
「本? ここ」
「…………まさか、“契約”しとらんよな?」
「けーやく? したよ?」
「なにやっとんねん!!」
「ふ、ふ、ふわぁぁぁぁん、ふぇぇぇえええん。ひっぐ、ひっぐ、うわぁぁぁぁん」
「ちょ、ハレ、怒っとらん。びっくりしただけや、怒っとらん」
「絶対、怒ってるよぉ。だって、師匠の目、怒ってたもん……」
「はぁ……。お前は、勘が鋭いな。確かに怒っとった。けどな、今は誇りに思うとる。そんな歳で愛弟子が魔導書と“契約”できたんやから」
「ホントに? ホントにもう師匠怒ってない?」
「あぁ。その本見せてみ」
「ん」
「名前は……“魔術師の小刀”。聞かん名前やな。俺のとどっちが強いやろ……。ま、ハレが選んだんやできっとエエ本や。大事にし。それはそうとして、明日からは修行や」
「え……、やだ、修行。師匠怖いもん」
「アホか、修行せんだらそいつに飲まれる可能性もあるんやで。ハレはまだちっちゃ「ちっちゃいって言うなっ!」おぅ、すまんすまん。幼いさかいに飲まれる危険性は高い。やから修行が必要なんや。わかるな?」
「うん……。じゃ、師匠、優しくして」
「それとこれとは別や」
「鬼っ! 悪魔っ!」
「なんとでも言い。ほらハレ、寝る時間や。はよ寝な」
「師匠のバカっ!」
タッタッタッタッ
「あらら、走ってったわ……。元気やな、ガキは」
『…………』
「――――――“魔術師の小刀”。あの子を、ハレをよろしゅう頼むわ。俺、実はもう長くないねん。いつ死んでもおかしない。やから、ハレを頼む。あの子を、ずっと傍で見守ったってくれ」
『…………』
「頼んだで、“魔術師の小刀”。ハレ、歯磨きしたやろな?」
「うっさい、師匠のバカ! したに決まってるじゃん!」
「やったらはよ寝な。俺よか大きくなりたいやろ?」
「むぅ、おやすみっ、師匠」
「おやすみ、ハレ」
“ハレ、俺がずっと護っとったる。やから、エエ夢見とき”
あえてプロローグはセリフのみで構成しました
というのは嘘で三人称で書けないからです
別に師匠を語り手にしてもよかったのですが、あえて何も書きませんでした
想像して読んでください、すみません
師匠はししょーと読んでもらえると嬉しいです
関西弁は僕の好みです
これからどうなるのか、僕も知らないです
楽しみにしていてください
プロローグだけですが、よければ感想なども
では、読んでくださった方ありがとうございます
次話、他作品ともどもヨロシクです