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泣く子もビビる赤鬼とは僕のことか?

僕は昔話に出てくる赤鬼そのものではない。けれどまるで、という枕詞に続けて、君は赤鬼だね。と言われたことはある。その言葉を言われたのは高校二年生の春。とりわけ桜の花びらがよく散っている季節だった。


友は僕にこういった。「お前は怖くないのか?」と。


その日、友とは大阪へ来ていた。大阪で、大学へ潜入したのだ。住所バレが怖いが、とりあえず国公立のある大学に友と二人で様子見をしに行ったのだ。オープンキャンパスではない。ただの平日。僕と友は電車に揺られて気付けば大阪日本橋の近くにやってきていた。近くにあるという大学に入った。そこで数時間ほど物色して大学を出てそれから地元の神社で体を休めている時に、友に言われたのだった。


「お前は怖くないのか?未来が。」


友はひどく苦しそうに、思いの旨を語ったかのように言った。友の呼吸の音は僕の両耳にしっかり聞こえていた。だから僕は言った。


「怖いことなんかあるわけない。」と。


友は僕を見返した。目をぱちくり開き直して僕の心情を探るかのように見てくる。僕は再度言葉を繋げた。


「未来って何かわかる?」


今度は僕が友に尋ねた。友は沈黙した。


「未来って不確かなものなんだよ。過去は実際にあったことで、今は現実のこと。でも未来は、今までの経験と現場の状況と、あと半ば心の状態の全てが重なって生まれる像みたいなものだよ。」


友は頭上にはてなを浮かべていた。だから僕は続ける。


「君はエヴァを信じるか?」


友は左右に頭を振って「いやさすがにないだろ。」と笑って答えた。僕は言った。


「エヴァはフィクションだからね。でもあれはもしあの設定があったなら十分起こりうるものだとおもえないかい?」


「もし使徒がいて、もし南極にアダムがいて、もし人間にもっと技術力があったなら。できたとはおもえないかい?あの世界では、シンジがああなることだって起こりうることじゃないかい?」


友は言った。


「リアルではないけどリアリティはあるってことか?」


僕は言った。


「ああ、そうだ。」


そして僕は続けた。


「リアルがないのは地盤が現実とは違うから。でもリアリティがあるには地盤を無視した上でそこに立つ建造物を本物と見れるから。未来だって同じことだ。」


友はとまどう。


「最後のところだけわからない。」


だから僕は友の肩に手を置いて言った。友はその僕の手に目を落として僕の話を聞く。


「未来は過去と今の上に立つものだ。完全なるリアリティありし存在だ。けれどそれがリアルかどうかは分からない。人は三次元の多くをリアルと信じて疑わないけど、僕からしたら将来なんて都合の悪い創作物にしか見えない。」


友は聞く。


「都合の悪い?」


僕はいう。


「だってそうだろ?人はよく慎重になる。特に自分についてのことは。未来なんて自分がどうなるのかも分からないのにどうなるか考えてしまって作るものだ。都合の良いものはリアルじゃない、そう思っているんだろ?だから都合の悪いものこそ現実のことでありそれはリアルであり、自分の未来に起こりうることと信じて疑わなくなってしまう。」


友は耳を傾けている。


「未来なんて実はフィクションなんだよ。実はエヴァンゲリオンなんだよ。未来の地盤は何だ?」


友は聞く。


「未来の地盤はさしずめ過去と現在だ。でも僕たちは自分の過去と現在をどれくらい客観的に正しく理解している。所詮、自分がゆるゆるの中で作ったリアリティのない空想のくせしてリアルだと信じ込んでいるんだよ。」


僕は最後に言った。


「所詮、未来なんてエヴァンゲリオンさ。」


だから言われたのだった。その日の帰り、神社から自宅へと別れ際。僕は彼に。


お前はまるでおそれを知らない論理マシン。いや、怪異的にいうなら、まるで赤鬼だな、と。



彼からすると赤鬼についての認識として、赤ちゃんみたいな世を知らない楽観的思考と鬼のように勢いのある自信。そしてそれ相応の強さだそうです。

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