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華麗なるパパの遍歴

作者: 舟津湊

「はい、今日のカレーは、パパの通っていた高校の正門前にあった、米米亭の、サラサラポークカレーだよ。このカレーはね……」


パパの作るカレーのレパートリーは、大変豊富だ。

今まで食べたきたカレーの中で、思い出深い味を再現してるとのこと。

だから、カレー皿とともに、思い出話が食卓に供される。


小学校に上がる前、パパのママ(わたしのおばあちゃん)が病気で入院した時に、その間世話してくれた叔母さんの、子供には辛すぎたカレー。


サッカーの試合で大ミスをして、しょげて家に帰ったら、パパのママが作ってくれた、『追い』リンゴとはちみつ甘々カレー。


中学の宿泊野外学習で作った、大振り人参ジャガイモ・ゴロゴロカレー。当時好きだった女の子と一緒に作ったそうだ。


その他、

ママと神田の古本屋巡り初デートの時に食べた本格インドカレー、

私が小さい時、初めて食べさせてくれた、ア◯パンマン・デコレーションカレー、

出張先で食べた、青いカレー、白いカレー、

などなど。


全部、パパの超個人的歴史秘話付きだ。

パパはそれをスペシャル・スパイスと称している。

正直、パパの蘊蓄(ウンチク)話はどうでもよくて、家族みんな辟易してるけど、まあ美味しいから我慢して聞いている。


私が嫁いでいく前夜も、パパのカレーだった。


「はい、どうぞ」

「?」


いつもの、カレーヒストリーがない。

カレー自体は、オーソドックスな欧風ビーフカレーだ。


「これで、おわカレー」


「なにその親父ギャグ?」

「お前の親父だからな……これからは、カレー(旦那)と一緒に、新しいカレーの味と、想い出を作っいってくれ」


「親父ギャグ連発かよ。

  ……このカレー、ちょっと辛すぎない? 涙が出るわ」


「はは、そういうことにしといてあげよう」



おしまい。


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― 新着の感想 ―
いいパパやん。 レパートリーも広いし凄い。 というか、料理人なんだろうか、パパ? どのカレーも食べてみたいな。
自らの手作りカレーで娘を送り出すパパ、素敵です。 個人的にははちみつ甘々カレー、食べてみたい!
一皿いただきました。 父のカレーって、いいですよね。 でも、うちの親父は、独特で酢なんか入れたりして、やめてくれーって感じでした。 オリジナルが過ぎる〜(笑)。 いろんなカレーとの思い出。 娘さん…
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