表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

同居人ひとり、子供がふたり・3

「で、これがぶん取って来た、すぐ必要そうなもんね」


「ぶんど………もうちょい言い方考えろ」


 周が久方に渡した手提げの中には、私服が一式と母子健康手帳が入っていた。


「はぁ、わかった。じゃあまず、桜と椿はフロ入ってきな。二人だけじゃ勝手分かんないだろうから、周、二度手間になって悪いが一緒に入ってやって。そのあいだに部屋片してメシ用意しとく。弁当用使うけどいいよな?」


「ん。おーけー了解」


「………()()()…?」


 久方が周を苗字で呼ぶのに反応したのか、桜が周を見た。周が眉を下げて笑う。


「あぁ、俺、自分の名前しっくりきてなくてさ。周くんって、苗字で呼んでくれるかな…?」


「………あまねくん……なんか変な感じ」


「君たちも周だもんね」


 ゆっくりでいいよ、と周は桜を撫でるが、椿のほうは案外あっさり呼称を口にし、塩の不快感を伝えた。


 さて。周が洗濯機で洗える喪服に感謝しているあいだに、久方は二人の母子手帳に目を通す。ハーフということだが、生まれも国籍も日本。予防接種も全部日本の病院で受けていて、アレルギーは無し。


(まぁ、婿養子を条件に結婚の許可がおりたなら、生まれも育ちも日本だろうな)


 料理担当である美言が作りおきしているミニハンバーグを皿に分けてレンジで1分半。その間にミックスサラダを大皿に出してドレッシングを二周。


(米………一合しか炊いてないけど足りるかな……。あ、確か前に非常時用のご飯貰ったっけ。どこ置いたっけ……)


 レトルトのカレーなどをしまっているスペースに入れてあるのを見つけ、ハンバーグが温め終わったレンジに放り込む。


 脱衣所からドライヤーの音がし始めると、インスタントの味噌汁を用意し、ご飯をつぐ。


「あがったよ」


「うい、おかえり。すぐ食べれるから、とりあえず食べよっか」


 食卓について、手を合わせて。「いただきます」。


 ハンバーグを口にふくんだ桜が、顔をぱっと輝かせる。


「お、美味いか」


「! ……はい」


「良かった。ぜひ残さず食ってくれ」


「作ったの俺だけどね」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ