救出作戦4
ベアベルは必死でルーナに襲いかかり、二人は迷宮の中の巨大な根の間を素早く動き回りながら、剣気と斬撃で根を切り裂く。
キャンプの上の二人は戦闘の様子が全く見えず、根の隙間から内部の閃光が見えるだけ。
「魔物たちが来る前にお前の魔力を消耗させて、女神の力を使わせる」
「本気か!お前がやってることは一体何のためなんだ!哀れだと思わないのか」
ベアベルは攻撃をやめて、ルーナと向き合った。
「では、選ばれし聖女様よ、お前がやってることは何のためなのか教えてくれませんか?この哀れな者に教えてくれ」
(まあ、世界を救って女神から願いを叶えてもらうだけだ。でも、女神のご褒美はついで、こ、これが事実だ!)
「と、当然、世界を救うためだよ」
「ふん?なんだか態度があまり固くないようだな」
「あれはお前の勘違いのよ」
「世界を救うか…」
ベアベルは狂ったように笑い始めて、ルーナはわけがわからなくなった。
「それなら、世界樹って何か知ってるか?なぜ女神に不敬すると魔力が減るのか知ってるか?」
「もちろん知ってるよ、世界樹ってのは女神たちが守ってるところだろ、何が言いたいの?」
「世界樹は女神たちがいるところだけじゃなくて魂と魔力が最終的に集まるところなんだ。そして女神たちは虫みたいに世界樹のエキスを吸い取ってこの世界の魔力の循環に問題を起こす。もし世界樹が枯れればこの世界の魔力も尽きて、滅びが訪れるだろ。完全な詠唱は女神たちに諂って、魔力の一部を奪われないためのものなんだ」
「そんなこと…ありえない…絶対嘘つきだ!」
「ふっ!魔王はあの虫たちを消し去る唯一の存在なんだ。お前は反対側の者だから、この世界の真実なんて知らないだろうね」
(そんなことありえない、ゲームの設定と全然違うじゃないか、女神はこの世界の守護神だはずだったよね。じゃあ、私がやってるこのゲームって一体何なんだ?)
「ごめん、やっぱり私はお前の言うことを信じられない、だってお前は魔王教の者だから!」
「信じるも信じないも関係ないさ、どうせここで一緒に死ぬ」
そのとき、キャンプの上の二人の悲鳴が聞こえてルーナが振り返ると、ベアベルが襲ってきて逃げられなくなった。
「どけ!」
「自分のことを先に心配した方がいいぞ!」
しかし、魔物たちはすでに二人を囲んでいた。巨大な根の中には強力な魔物がいっぱいで、彼女たちは憎しみに満ちた目で二人を見ている。
その後、魔物たちは次々とルーナとベアベルに襲いかかろうとした。
二人はどうにか避けたが、ベアベルは魔物の攻撃をかわしながら、隙を見てルーナを攻撃してくる。彼女は本当に命知らずだね。
仕方なくルーナは聖天使の姿になって、魔力を剣に集めて一回転させて剣風で周囲の魔物を一掃した。
ついでにベアベルも吹き飛ばした。
ルーナは残った魔物を無視して、キャンプに向かって飛んだが、巨大な黒い影に殴って、ルーナはそのままで真っ暗な根を突き抜けて、どんどん落ちていって最後には底に落ちた。
「くそっ…あれは何だ…」
彼女の前に現れたのは、強靭で醜悪な魔物。一般人なら、この奴が他の魔物とは違うと感じるだろう。
「嘘だろ、こいつのデータは凄まじく強いし、スキルもたくさんあるし…」
魔物は咆哮しながらルーナに拳を振り下ろしてくる。彼女は神聖盾で必死に防いだが、それでも殴り飛ばしてしまった!
「僕を忘れたのか!聖女よ!」
後ろからも剣がルーナの顔をかすめた。ベアベルはやはり聖天使の姿になっていた。彼女は魔物に協力するつもりだ。
「ちっ!面倒くさいな!」
敵は前後からルーナを包囲した。逃げる場所なし。
「死ね!聖女!」
「うぉおおー」
魔物の咆哮とベアベルの怒号が根元に響く。
ルーナは神聖鎧を起動して、超高速で上に飛んだ。
それによって魔物はルーナを見捨ててベアベルに襲いかかった!魔物は拳でベアベルを連打して彼女は飛び上がっても追いつかれてしまう。
その状況でベアベルは仕方なく戦う。
「待って聖女!お前待ってろ!」
「バイバイ」
ルーナは途中で邪魔をする魔物を斬り殺しながら、二人の行方を探した。やがて、彼らを見つけた。
フェリクスは岩の隙間で傷ついたディランを守っている。入ろうとする魔物は剣で目を突かれて、魔物は再生できるが、時間を稼ぐには十分だ。
ルーナは翼を広げて下に急降下していって一瞬で地面に着地し、周囲の迷宮の石や根や魔物を全て吹き飛ばした。
巨大な衝撃が全てを砕いた。そして、中心には光り輝く球状の光もある。その後、球状の光が魔力の衝撃を放って、再び襲ってきた魔物を全て殺した!
これを見て、岩の中の二人は呆然とした。
「ルーナちゃん!すごいよ!」
「うん…」
ルーナは胸を張って自慢げにする。そして、神聖鎧の姿を解除した。
「ふふ、別に何でもないよ~」
(ゲームの中のスキルを使っただけだ)
ディランは周りを見回して、誰かを探しているようだった。
「あの7号はどうした?」
「魔物に絡まれてるよ。それちょうどいいじゃん」
「うん…そうか…とにかく、迷宮の奥に行って、出口の手がかりがないか探そう」
三人は迷宮の奥に走っていく。魔物はまだ邪魔しようとしたが、ルーナに簡単に倒された。
魔物は迷宮に押し寄せてきて狭い場所では戦いにくい。聖天使の姿でも長くは持たないだろう。
その時、突然レイラの咳き込む声が聞こえる。みんなは幻聴かと思った。
『みんな、私の言う通りに進んで!目の標識のある道を行ってください』
ルーナとフェリクスは戦いながらディランについていった。レイラの言った標識に沿って三人は道を進む。
やがて、転送門のある部屋に着いた。その時、入ったところの扉が閉まった。
『これが最近使える転送門。設定さえすれば、こっちに繋がる転送門を開けることができる』
「すまん、レイラ。どうやってするの?わからないよ」
「え?ごめん、お兄ちゃん。私もわからない…隣のバカどももできないなんて思わなかった…」
レイラはどうやってやるかわかっているようだが、突然大声で叫んだ。
「手動でルートを設定すればいいのよ。でも、バカどもの話によると、そっちのルートは2号と7号とロサナしか知らないんだって」
「7号はこっちにいるよ。でも、彼女が協力してくれるとは思えないな…」
「え⁉彼女がそこにいるの⁉まあ、そうだよな」
ルーナは兄妹の会話を聞いて眉をひそめた。
「レイラ、ちょっと出て行っていい?」
-迷宮の根で-
7号のベアベルはまだあの魔物と苦戦している。こいつの存在のせいで、周りの弱小な魔物は全然近寄ってこない。
それは良いことだが、目の前の魔物は手ごわい。ベアベルはこの怪物と長い時間戦っていたが、あいつ全然傷をつけられなかった。
「まさか…ここで死ぬなんて…」
ベアベルは神聖鎧を解除して、力尽きて倒れてしまう。魔物は鋭い爪で目の前の聖女を引き裂こうとしたが、金色の光が魔物の手を斬り落とした!
その後、巨大な光の柱が魔物に向かって動いたが、簡単に避けられた。
「お前は⁉」
ベアベルは驚いてルーナが自分のそばに立っているのを見た。巨大な白い翼が二人を包む。
「お前は何をつもり?」
「転送門を設定してくれるように頼みたいんだ」
ベアベルは狂ったように笑って、彼女を嘲笑した。
「お前は本気で僕が貴様らを助けると思ってるのか」
「そうだ。君がキャンプで見せた目つき。そして、私はその目つきを知ってる。君も生き残りたいんだろう、大切な人のために…」
「お前…」
-ダンジョン内部の巨大な通路-
通路の中を彷徨っている一人の姿。彼女は中で目的もなく歩き回って、前のことを何度も思い出していた。
「どうすればいいの?彼女も被害者なのに、あんなこと言ってしまって…」
その時、通路の中から足音が聞こえる。
「まさか不死騎士!」
「違うよ。こんなに可愛くて魅力的な君がここで悩んでいるのを見て、思わず助けてあげたくなったんだわ」
「お前一体誰だよ?」
「君の悩みと迷いを解消してあげるお兄さんだよ~」
3号は長い髪を払いながら、目の前の本物のレイラ・フェリウェムに微笑している。




