救出作戦2
港の倉庫の中で、先生たちはまだ転送門の内部を解析している。
一方、モグラはルーナに地面に投げられ、ここで薬とかを開発しているロランドが近づいてきて、彼女の足を蹴った。
「モグラ……どうしてまたここに現れた?」
「ねえ、ロランド、早くあなたの友達にあたしを放してくれますか。まだ用事があるんだけど」
モグラはロープで縛られて、地面で毛虫のようにもぞもぞしている。
でもロランドは彼女の要求には耳を貸さず、横にいるルーナが封筒を開いて中身をざっと目を通す。
「なるほどね、あのグルサン姫が君に手紙をイム・カンに届けるように頼んだのね」
「じゃあルーナ、内容は?」
「手紙の中にはイム・カンが北方を征服してグルサン姫の封土にするということが書いてある。でもグルサン姫は自分で北方の各国と交渉して、北方の各国を属国にすることで大規模な戦争を避けたいと思っているの。あの子らしいわね……でもうまくいくとは思わないけど」
「最初から前提が間違ってるぞ、北方の人たちは南方の野蛮人の奴隷になるはずがない。まあ、所詮理想だけだよ」
「ん?まるでお前が理想を持っていたみたいだけど」
「かつてはね」
「……そうなの」
二人が話している間に、モグラは少しずつロランドの足元に這っていった。
「ふふん~あたしを放してくれたらあなたに重要な情報を教えてあげますのよ、聞きたくないかな……あ!踏んだよ!」
「ああ、ごめん、モグラ。お前にはまだ言ってないことがあるの?」
「もしあたしがイビリヤス革命軍のリーダーがかつて絶望の島に現れたことがあって、魔王教と関係があるとか言ったら信じてくれる?」
でもロランドは相変わらず彼女の顔に足を踏みつけたままだ。
「冗談はやめろ、モグラ」
「でも……本当に見たんだよ、彼女は老人と少女と一緒にいたんだ」
「……」
そのときフェリクスとフランドがやってきた。彼らのそばには7号もいる。
-転送門を繋げるところに戻る-
「もう開いたんだから、すぐに出発しよう」
「フランド、ちょっと待って!これはグルサンが父親に書いた手紙だよ、見てごらん」
「え、マジ」
二人が話している間に、そしてフォスタンイーンの生徒たちはみんな準備をしているうちにベアベルは手錠を振りほどいて転送門の方に駆ける。
そしてあの変な機械のボタンを再び調整した。
みんなはあまりに驚いて反応できなかった。
すぐに転送門が色を変えて、大勢の魔物が現れ、やつらは牙をむいてみんなに襲いかかってきた。
状況は余りに混乱の極み過ぎてディランは虎のような魔物に引っかかれて傷ついた。幸いフェリクスは自分の危険を顧みずに剣で魔物を防いで撃退した。
「ディラン、大丈夫か!」
「あ、すまなかった……」
「いや、君への恩返し……」
「フェリクス……君!……」
使い魔を召喚したルーナはすぐに近くの魔物を斬り殺したが、転送門から次々と出てくる魔物のせいでディランとフェリクスのところに駆けつけることもできなかった。
そのときベアベルが飛び出してきて、フェリクスを蹴り飛ばし、ディランに近づいた魔物をも斬り殺した。
だが彼女の剣はディランの頬に当たって、少し血を流させる。
それから彼女は凶暴にルーナを見て、彼女に向かって吠える。
「ルーナ・レイバウェス、こいつの命は僕の手にあるぞ、彼を助けたければこっちについて来い!前提として、貴様まだ聖女だというならね」
「クソ!ベアベル!」
言い終わるとベアベルは一瞬で近くの魔物を全て斬り殺し、ディランを引きずって転送門に入って二人は光の中に消えてしまった。
そんな状況にルーナは魔物の攻撃を無視して、転送門に突入した。
光の中を抜けた後、ルーナは自分が違う場所にいることに気づいた。足元の感触が硬くて、柔らかい土ではないことは確かだ。
暗闇に慣れるまで、彼女はゆっくりと周りに注意した。ここは人工の通路だったか。
暗くて湿っぽくて、古くて神秘的な石レンガに囲まれていた。上には奇妙な文字が書かれてある。
聖女として、周りに強い魔物の気配を感じる。あの怪物たちは周りをうろついていて、数もかなり多い。
奴らを驚かせないように、彼女は素直にゆっくりとここを探索する。
彼女は火の魔法で周りを照らして、この不思議な場所を一人で歩いた。
(どうしよう?大声で叫んだら魔物を引きつけるかもしれない。でもここがどこなのかわからないし、ディランの位置もわからない。みんなはどうなったんだろう……油断した……)
そのとき通路の中から誰かが息を切らしている声が聞こえる。すぐに人影がルーナの目の前を走り過ぎた。でも暗すぎてルーナは誰なのか見分けられなかった。
続いてルーナの目の前に現れたのは巨大な蛇だった。それはコブラのように見えるが、奇妙な目を持っている。
ルーナは剣を振って斬りつけようとしたが、その魔物はすぐに石レンガの一部になって消えてしまった。
「え⁉どこに行ったの?わあっ!」
彼女がまだ戸惑っていると、背後から突然蛇の尾が現れて、彼女を吹き飛ばした。
そしてすぐに蛇の尾は石レンガの中に消えしまって、どうやらその魔物は環境に溶け込む能力があるらしい。
「くそ!またどこに行ったの?気配まで消えてる。厄介な奴だな……」
「後ろだ!」
親切な人の忠告で、ルーナはやっと蛇の尾を斬り落とした。巨大な尾は地面に落ちてぴくぴくして、すぐに消えた。
しばらくしても魔物の攻撃はなかった、逃げたのだろう。ルーナはやっと安心して、使い魔を自分の体に戻す。
「ありがとう、フェリクス。助かったよ」
「あはは……たいしたことではないだけど。ところでディランは見かけた?みんなは?」
「残念ね……君が最初に会った人だよ。でも君はどうやって入ってきたの?こんなに魔物がいるのに」
「ええと、恥ずかしい話だけど、魔物にぶつかって入ってきてしまって……」
「はは、それは面白いね」
「そう言われると、そうかもね。あはは」
二人はよくわかっていて、互いの笑顔はただ気まずさや不安を解消する薬だっただけだ。
フェリクスは服を整えて、身についたほこりを払って、ルーナに手を振ってついて来るように合図する。
「行こう、もしかしたら他の人もここにいるかもしれないし」
「うん」
しかし長い間歩いても、巡回中の魔物を避けても、出口は見つからなかった。
「そういえば、俺とジャクソンもこんな迷宮で探険してたんだよね。君とディランに会えてよかった、さもなければ俺たちは終わってたよ」
「ああ、そうだったね。そういえば、君とディランはどんな関係なの」
ルーナはゲームが始まる前のことを知らなかったからだ。
「小さい頃から、ディランは僕の国に遊びに来てたんだ。そのときに知り合ったんだ、そのときはよく一緒に山に登ったり、スキーをしたりしてたね。だから高校になったら彼の国に留学することにした」
「ええ~それって幼馴染ってやつだね」
「まあ、そうかもね。彼に何度も助けられたんだ……」
ルーナが聞こうとしたとき、二人は肉の匂いを嗅いだ。あれは焼肉の匂いだ。
「ルーナ!これってまさか!」
「うん、行ってみよう!」
匂いに沿って歩いていくと、二人は石レンガの迷宮を抜け出して、不気味な森に入ったけど、結局ここも迷宮の一部だった。どうやら植物に侵食された迷宮だったね。
すぐに二人は暗い森の中に火の光と匂いがあるのを見つけた。火の光に向かって歩いていくと、草むらをかき分けて、二人が焼肉をしているのを見た。
でも一番驚いたのは、焼肉をしているのがベアベルとディランだったことだ。
四人は互いに見つめ合って、自分の目が間違ってると思ってるだろ。
でもすぐに両方とも戦闘態勢に入る。
「ベアベル」
「やっぱり来たか、選ばれし聖女よ。ここがお前の死に場だ」
横にいたディランはそのとき仲裁に入って、ベアベルとルーナの間に立っている。
「みんな、やめてくれ!」




