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「君たち起きたか」
体を動かそうとしたときに初めて気づいた。自分の全身が対魔力の鎖をぎゅっと縛られていた。
今の私は全く動けない。
それだけじゃなくて、巨大な透明なカプセルの中にいる。どうやら何かの実験器具。
そして私の近くにはハルカがいるけど、彼女は本能的にこの老人を恐れているらしい。
最初は外から私たちを見ているけど、すぐにカプセルを開けてゆっくりと近づいてきて、私の頭を撫でる。
「これは初めてじゃないね、そうだろ。日本というところから来た岩崎ハルカさん」
「あ、あれは⁉どうして知ってるの!」
彼は笑顔で私を見ているけど、こちには驚きしかない。なぜ彼はこの名前を知っているの?これは別の世界の私の名前だぞ!
「六年前の君に聞いたからさ、だってあのときの私はまさか魔女を作る必要なものが異世界からの魂だなんて思わなかった。無理もないね、君が生き残って魔女候補になったから、他の子たちはみんな失敗した」
「何を言ってるの……」
「ああ、ごめんね、君の記憶制限を解除するのを忘れてた」
彼は私の額に手を置く。頭の中で何かが動き出した!断片的な記憶が徐々に浮かんできた。
-六年前-
人混みがすごくて、兄とレイラが喧嘩している。
『レイラ!もう少し考えて行動しなさい!他人の気持ちを考えないのか!』
『どうしてお兄ちゃんこそ私の気持ちをわかってくれない!』
あれ⁉これは私の記憶じゃないよね?だって私は……
でも私は彼女が本当はお兄ちゃんが好きだってことを知っている。だって彼女の心の声が聞こえるから。
でもお兄ちゃんは手を振りほどいて、嫌悪の表情で彼女を見る。
『なんでいつもこんなにわがままなんだよ、さっきも人前で僕を恥ずかしめたじゃないか、こんな妹がいなければ……』
『お兄ちゃんなんて大嫌い!こんなお兄ちゃん大嫌い!』
レイラは泣きながら走っていって人にぶつかっても振り返らなかった。お兄ちゃんも追いかけなかった。
近くにはお祭りがある。飾り物から見ると、国の「解放者の日」らしい。アゴスト公国がクイリザル人に打ち勝って独立を果たし、王都を含む広大な土地を奪還した日を記念する。それと王都で最も盛大な祭りの一つだ。
どうやら兄妹二人はもう離れてしまった。
幼いレイラ・フェリウェムは人ごみの中でぼんやりとしていた。どうやって帰ろうか、みんなにどんな顔をすればいいか考えている。
心の中では家出をするのもいいかなとさえ思って……
それまでに彼女の目の前に現れたのは一足だ。あまり親しげではない老人が彼女の前に立つ。
でも彼は風船とお菓子を持っていた。それは子供が怒っているときに一番静かになるものだ。幼いレイラは全くこの老人を警戒しなかった。だって誰がこんなに地味な服を着て風船を持っている老人を疑うだろう。
『お嬢ちゃん、家族と喧嘩した?これ食べる?気分が良くなるよ』
レイラはまんまと騙された。心の中ではこの老人はとても優しくて親切だと思った。
『おいしい……』
『ははは、それは良かった……よく眠りなさい』
その次に目に入ったのは暗闇だった。前には何もない。
再び目を覚ましたとき、天井に浮かんでいたのは黒い六芒星だけだ。
その老人はレイラをベッドに縛り付けて、彼女の身体には実験用の器具がいっぱいだった。
恐怖の気持ちがこちらにも伝わってきて、私も緊張して怖くなってきた……
「ああ、心配しないで、すぐに楽になるから……」
「お兄ちゃん、パパ!ああ!」
全身に巨大な電流が流れ込んで、私もその苦痛と絶望を感じることができた……
どれくらいの時間が経ったのかわからない、自分がもう狂いそうだ。
「身体の強さがいいね、生命の樹との繋がりに耐えられそうだね。次は召喚の儀式だ。今週はなんと三人も生き残った、いい前兆かもしれないな。そうだろう?274号レイラ・フェリウェムさん」
「や、やめて……」
すぐに床が紫色の光を放って、視界の上には巨大な赤い目が現れた……
その目の周りには赤い線がいっぱいで、その目に見つめられるととても不快。
その目に何かの印象があるような気がした、死ぬ前にも見たことがあるから……
でもその記憶は私のものではなくて、レイラ・フェリウェムのものだ……
その後に私は思い出した、イギリスで事故にあって死ぬ前にもその赤い目を見たことがある、でもなぜ思い出せなかったんだろう?
すべてが終わった後で、これが私の記憶だと気づいた。今は暗い尋問室にいるようだ。一つの灯りが私の顔を照らしている、非常に眩しい。
「よかったね、君は乗り越えたぞ、異世界召喚の儀式は大成功だね。おい、君の名前は?どこから来た?」
「岩崎ハルカ、日本から……」
長い時間の尋問に、何でも正直に答えてしまった、多分彼に操られていたのだろう。
何度も器具をチェックして、焦って私の目を引っ張って観察している。
「変だな……器具は故障したのか?どうして魔女の魔力の痕跡が検出できないんだ?魂の置き換え実験は明らかに成功したのに、どこが間違ってる」
「家に……」
「ん?何を言った?」
「家に帰りたい……」
意識がはっきりしたときには、フェリウェム伯爵家の門の前にいた、雨水が服に染み込んで、全身が冷たかった。
「家に着いたよ、すぐに誰かが来てくれるだろうね、もしかしたらまた会えるかもしれないね。じゃあ、さようなら、お嬢ちゃん……」
一気にたくさんの記憶が私の脳に押し込まれて、レイラ・フェリウェムに関することだけじゃなく、私が転生してきたことも含めて……
「はあはあ……全部思い出した……」
「それなら記憶が戻ってよかったと言うべきか」
「貴様……」
そのときに、ロサナが入ってきた、彼女はすぐに老人に私のことを尋ねる。
「スタチュート、彼女様子は?」
「安定してる、特に異常はない。ただ彼女の魂は別の魂と絡み合ってるようだ、これは少し変だな……六年前の検査のときにはなかったのに」
「私たちの判断は間違ってなかったようだね、絡み合った魂は魔女を生み出す最も重要な段階なのかもしれない。教団本部から配属された二重人格の4号もそうだし」
「でもそうじゃない子もいるぞ、魂の置き換えに成功しても最終的には死んでしまった。もしかしたら使い魔の問題かもしれないね、二つの魂を安定させることができる。魔王のオイスム様の細胞が優れた安定剤として機能してるかもしれん」
「確かに検証が必要だわ、だって4号はそういうものがないんだから。そうだ!あとで会議がある、教団本部は全議員の参加を望んで」
「うん……わかった、行こう」
そう言って二人は実験室を出ていった、すぐに扉は魔法で封鎖される。
でも私はもう彼らの会話に興味がなかった。だって今ハルカが怒って私を見ている、主人として私も使い魔の感情を感じることができる。
「私は全部思い出した……」
「え⁉あんたも思い出したの?全部の記憶か……」
「そう、私こそが本物のレイラ・フェリウェム、お前岩崎ハルカは異世界から来た偽者。私の兄、私のオエリ、私の家族、私のすべてを奪った偽者……」




