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9踏んだり蹴ったり

 -クラスの中-

「聞いた?アゴストさんとシスネロスさんが退学の可能性があるって」

「聞いたよ、あの日の広場も見たし、すごい激しい戦いだったよね、普通の使い魔じゃできないレベルだよ」

「あの貧民の使い魔も強かったよ」


 朝早くから、クラスではみんなが大騒ぎしていた。こんな大事件が起こったんだから、お兄ちゃんはどう思ってるんだろう。

 彼ら三人はBクラスなんだから、お兄ちゃんは自分の同級生が退学になるのを望まないだろうな。

 昨日あのバカと一晩中やりあってなかったら、もうお兄ちゃんと相談してたのに。

 お兄ちゃんは彼女をなだめて一緒に寝るように言ったのに、昨夜も喧嘩してしまった。


「はぁ……」

「お嬢様、どうしてため息をつくんですか?」

「別に、あのバカのせいで昨夜はよく眠れなかっただけよ」

「ええ、そういえば昨夜はすごい音が聞こえましたけど、一体何が起こったんですか」

「別に、喧嘩しただけよ」

「ええ⁉お嬢様……それって大したことじゃないんですよね?」

「使い魔が主人に逆らうなんてこと、歴史上もなかったわ。まるで反抗期の少女みたいに振る舞うあの子に、私は母親のようにしつけなきゃいけないの。はぁ、本当に疲れた」


 上半身を机に乗せてしまった。オエリちゃんは逆に笑ってしまった。


「お母さんというよりは姉妹みたいですね、お嬢様」

「死んでもあのバカの姉にはなれない。女神アニナに誓って」

「うん、そうですか」


 あのバカは朝早くから学校に行きたがっていた。お兄ちゃんが根気よく説得してやっと家に留まってくれた。

 仕方なくリリに任せるしかなかった。リリにあのバカの命令や要求に従わないように言っておいた。

 あのバカが大人しく家にいて、何も問題を起こさないことを願っている。

 この時私は外に出て息抜きすることにした。ヒロインが一人で教室を出て行くのを見て、ついて行ってみることにする。

 でも窓を通り過ぎる時、偶然学校に現れてはいけない人物を見てしまった。

 あれはあのバカじゃないか⁉どうしてここに来てるんだ!家で大人しくしてるように言っただろ!


 -学校の噴水池-


 あのバカは私の制服を着てあちこちうろついている。


「レイラのお兄ちゃんは見かけた?」

「え⁉あなたは誰?」


 嘘だろ……


 あのバカはお兄ちゃんを探してきたのか。ハンカチで自分の顔を隠した。同じ学校に全く同じ顔の人が二人いたら、めちゃおかしいだろう。


「ちょっと!こっちに来なさい!!」

「え!何する……」


 走ってあのバカの服を掴んで連れて行った。早く人混みから離れることにした。ひとけのない庭に連れて行くことにした。

 彼女を学校の庭に連れて行った。ここは普段あまり人がいない。


「バカ!何しに来たの?家で大人しくしてるように言っただろ」

「レイラは一人で家にいたくない、お兄ちゃんとオエリに会いたい、お前には会いたくない」

「私もあんたに会いたくないわよ!」


 仕方なくため息をついた。でもやっぱりこの子とちゃんと話すことにした。


「よく聞きなさい、今すぐ素直に帰るなら……え⁉」


 あのバカは私の前から走り去ってしまった。


「レイラはどうでもいいから、お兄ちゃんに会いに行く」


 ああ、やっぱり、あのバカは私の言うことなんか聞かないだろう。


「少しは痛い目に遭わせてやらないと、私の言うことをちゃんと聞くようにならないわ。え⁉」


 これは何?地面から突然出てきた枝に絡め取られて、ぎゅっと縛られてしまった。

 どうやらこの子は本当にバカじゃなくて、先手を打って私を動けなくしたようだ。


「レイラは先に行くね」


 ダメだ、絶対にあのバカがお兄ちゃんに会ってはいけない。私の学校での立派な淑女イメージが崩れてしまう!こんなことが起こってはいけない!


「なめるな!」


 魔法で縛っている枝を急速に枯らした。この程度の魔法では私を困らせることはできないけど、明らかに時間を稼がれた。

 再びハンカチで顔を隠して、目だけを見せる。

 あのバカに追いつくのはもう間に合わないかもしれない。仕方なく風魔法を使うことにした。

 教師の監督の下でないと魔法を使ってはいけないという校則に違反するが、今はそんなことは気にならなかった。


「風の女神よ、ここであなたの奇跡を示してください」


 足元に風が形成された。風魔法を操作すれば飛行魔法の基本だが、平衡を保つのはまた別の話だった。

 あのバカは建物の中に走り込んだ。幸いそこは魔法実験棟で、今は誰もいないはずだ。

 私の使い魔だから、感知であのバカの具体的な位置がわかる。

 目を閉じて、心で彼女の位置を感じる。ああ!やっぱり見つけた。 三階に飛んで、ここで彼女を待つことにした。


 同時に束縛系の魔法を準備して、彼女を捕まえるつもりだ。

 その時、窓が割れて、風刃が飛んできて、周りの壁を切り裂いた。 まだ魔法を使っていなかったが、風刃に危うく当たりそうになって、バランスを失って木の中に落ちてしまった。

 ああ、痛い!幸い鋭利な枝に切られることはなかったけど、ハンカチはどこかに飛んでしまった。


 あのバカは先回りして風刃で攻撃してきたのか。

 え!待って……


「嘘だろ」


 学校の壁が壊れてしまった……

 壁は鋭利な風刃で破壊されて、平らな穴が残された。 これはまずい……

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