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「人に見つかったのか?本当にカッコ悪いぞ……」

「違うわよ!誰にも見つからなかったのに、警報の音が勝手に鳴り始めたんだ」


 でも今は彼女とこんなことを言い争うときじゃない、今は島全体が封鎖されているはずだ。

 ハルカは素早くみんなの手錠を解いた、もう時間を無駄にできないから。

 その時お父様が私の肩を叩いた。


「ここはめちゃ不気味でおかしいんだ、警備とか一日中ほぼ見えない。とにかく早く出よ」


 追っ手はいないから、私たちはA区からすんなりと出ることができる。

 A区の外は囚人たちが運動する場所のようだ、中の息苦しい空気と比べて、外はとても爽やかだ、次はB区を探すんだろう。

 でも不思議だ、周りはとても静かだ、私が入ったときとは全然違って、兵士も弓兵もいない……

 周りの霧が濃くて、微かな魔力を感じられるし、これは一体どういうことだ?入ったときは霧はそんなに濃くなかったよね……

 そのとき空から巨大な影が雲を切って、私たちの方に向かって飛んできた。

 巨大な衝撃が大地を裂き、雷のような轟音がして、煙の中から竜の姿が見える……


「紫水晶竜か、面倒くさい奴だな、援護頼む!」


 黄金弓は金色の弓を呼び出した、私たちも戦闘態勢に入った。

 紫水晶竜が一声吼えた、地面に突然大量の紫水晶のトゲが出現して私たちを攻撃してくる、三人でトゲを避けながら紫水晶竜の注意をお父様たちから引き離す。

 私たちと黄金弓と目配せした後私とハルカは火魔法で紫水晶竜の頭部を攻撃し、巨大な爆発でも紫水晶竜の硬い鱗は破壊できなかった。

 それどころか空に飛んで私たちに紫水晶のトゲを放ってきた、あんなに大きくてもすごく敏捷だ。

 とりあえず紫水晶竜の動きを制限しよう。

 私とハルカは構造魔法で巨大な鎖を作って紫水晶竜を包んだ、竜がもぞもぞする前に黄金弓が弓矢に大量の魔力を注入して竜の目に向かって放った、紫水晶竜が血を吹いて地面に落ちて苦しそうにもがいている。


 紫水晶竜は国の重要な希少生物だから、とどめを刺さなかった。

 だってこの子は脱走した囚人を止めようとしただけだ。

 鎖はしっかりと紫水晶竜を縛っていた、ちゃんとなだめれば大丈夫だろう、多分……

 しかし紫水晶竜はまだ抵抗していて、私たちの足元にまだ紫水晶のトゲが次々と出てきて攻撃してきた、近づかなければ大丈夫だけど……

 魔法攻撃は効かないと考えて、それにこの鎖は長くは持たないだろう、その時また戦わなければならない。

 でもあの女の子は走ってきてポーションを紫水晶竜の鼻に投げつけた、竜はすぐに眠ってしまう。


「ふぅー、危なかったな、事前に準備しておいてよかったぜ。いや、でもお前たち三人は本当に強いわね、あたしが竜に食われるとまずいからね」


 黄金弓は彼女の肩を叩いて、やや悪戯っぽい笑顔を見せた。

「あなたはイム・カンに送られたスパイだな、俺が誰だか知らないだろう?」

「うん?お前誰?ちょっと!なんて急にあたしを捕まえるの?痛いし!」

「俺は王宮騎士団の第二団長だからよ」

「まさかお前がマイク・ティーロだと⁉だから黄金弓という名前がどこで聞き覚えがあったようだ……」


 その女の子は可哀想に私を見て助けを求めているが、これは私も手出しできないことだろう……


「ああ……ごめんなさい……許して」

「お前たちはもう知っていたかよ!裏切り者!誰がお前たちを連れてきたんだ」


 ん?なんだか嫌な予感がするし、一番不思議なのは紫水晶竜を倒したのに、他の兵士が追ってこないことだ。

 しかも霧がどんどん濃くなって、十メートル先も見えなくなってきた。

 そのとき監狱全体が魔法の泡で素早く覆われているのがかすかに見える!王宮暗殺事件のときとまったく同じだ!

 え⁉まさか!


「ああ、やっぱり君は来たな、事前に待ち伏せしといたのは正解だった」


 霧の中から白髪の老人が現れる。彼は見覚えがあるような気がするが、どこで会ったか全然思い出せない。

「わあ!」

「え?黄金弓さん……」


 彼を見ると、彼は大量の血を吐いて、目が暗くなっていく……

 そのとき初めて気づいた、黄金弓のお腹には長い剣が突き刺さっていた……

 彼の背後には不死騎士がいるなんて、え?いつ来たんだ、全然気づかなかった。

 黄金弓が刺されてしまったことに驚いて、その女の子は地面に座ってびびっている。

 お父様たちは他のアンデッドにやられて地面に倒れていた。私は魔法を使おうとしたが動けなず全身がとても重くて呼吸さえ苦しい……

 足元には青色の魔法陣があり、私とハルカを固定していたか。


「ああ、君たち静かにしたほうがいいぞ」


 その老人は何かの魔法で私を縛っているようだけど、私はそれが何かわからない。

 結局力なく地面にひざまずいて反抗できなくなってしまった、でもハルカは恐怖の目でその老人を見ている。


「レイラ・フェリウェム、お前は私たちにどれだけ迷惑をかけたかわかってるのか?」


 天使のような灰色の髪の少女がゆっくりと霧から現れて私のそばに来て、彼女の顔はとても繊細で美しい、すぐに思い出した!

 彼女はスクリンの町で会った少女だった……


「私たちは初めてじゃないね、お前の表情からして私のことを覚えているみたいだね、そうよ、私はロサナだぞ。ねえ、助けてあげたのに、お前はずっと私たちを邪魔してるじゃないか、それは正しいことではないぞ」

「あんたがロサナだったのか……」

「いや、あの日の私もお前が魔女の種だとは思わなかったよ、まさか成功して芽を出してすくすくと育つなんてね」


 魔女の種?それは何だ? でも今の状況は魔女の力を使うべきか?

 使えばこの程度の制御からは逃れられるだろうが、お父様たちはまだこの邪教徒たちの手中にあるし……


「痛い!」


 でもロサナは素早く繊細なナイフを私の肩に刺し、私の魔力は一気に吸い取られた……

 そのナイフは何なんだ……


「さっき魔女の力を使おうとするな、危なかったね、このナイフはオイスム様が剣の勇者に対抗するために特別に作ったものだぞ、刺された者の魔力を吸い取るんだものよ」


 その後ロサナは私の顔を撫でて、髪をいじって、私をじっと見つめる。


「うんうん……すごいね、隠されていても、お前の魔女の気配はやっぱり素晴らしいね。あのね、お前は魔女だろう、私たちと敵対するなんてバカじゃないか?魔女候補としてお前は私たちと敵対する必要なんてないんだよね、今のお前はオランスド帝国全体の敵だぞ、ここにはお前の居場所なんてもういないわよ。でもさ私たちはお前を受け入れてあげるし、お前を保護しても大丈夫さ、6号みたいにね」

「私があんたたちと一緒に魔王を復活させて世界を滅ぼすなんてありえない!絶対不可能!」

「口調と言い方に気をつけろ、世界を再構築するんだ!お前は本当に個性的だね、嫌いじゃないけど……」


 突然私の頭はロサナに手で地面に押さえつけられ、屈辱的に彼女の靴を見るしかない。


「おいおい、ロサナ、彼女をいじめるのやめてよ、回収はもう終わったし、予想よりも簡単だったな、そりゃ良かった」

「部長さん、あの聖女は彼女と一緒に来なかった、本当は殺してしまいたいけど残念ね、やっぱり聖女の末裔は一人も見逃せないもの」

「安心しろよ、私たちは聖女の子孫を全員殺すつもりだからな。撤退する、あの使魔も忘れずに連れて行け。ああ、そうだ、5号、お疲れ様」


 白髪の老人は魔力で真っ暗な扉を開けて、みんなに入るように合図する。


「ええ~本当に面倒くさいわよ~全然出番がなかったし……みんな慎重すぎるわよ」

「5号、時々慎重に行動することも悪くないよ。それに不死者の気配もちゃんと隠しておきな、そうしないとすぐに見つかってしまう」

「はいはい~ロサナ様,わかってますって」


 思ってもみなかった金髪の魔女候補もいるか、私を捕まえるためにこんなにたくさんの人を送ってきたなんて……

 でも邪教徒たちはあのスパイを殺すつもりはなさそうだ、でもスパイは5号を見て、幽霊を見たような顔をしている。


「お前は……ありえない……お前はあの日死んだはずだ!まさか不死者か」


 5号は無視してそのまま扉に入っていった。ロサナはスパイを指差して老人に聞く。


「彼女はどうする?殺す?」

「放っておけ、彼女はこの島から出られないだろう」


 言い終わると二人もすぐに不気味な扉に入っていった、その後私とハルカは不死騎士に抱えられて扉の暗闇の中に入っていく。

 見えるのは無限の闇だけだ。

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