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クーデター編2

 コルネルは部屋の中の本棚の前に来て、赤い本を入れて、すぐに仕掛けが作動する音が聞こえる。

 本棚は真ん中から二つに割れて、その後ろには転送門が現れる。


「行こう、カリーナ。でもさっき言ったことを忘れずあの大物たちには慎重に対応するように」

「うん、わかってるよ」


 転送門に入ると、二人は別の未知の場所に現れた。

 転送門の近くになんと巨大な噴水があって、また上品で白い石柱があり、豪華で巨大な廊下が二人の前に現れる。

 太陽の光が石柱の隙間から差し込んで、全体を照らしている。

 精巧で華麗な石像が両側に立っていて、まるで二人を歓迎しているかのようだ。

 そよ風が吹いて、湿気のある爽やかな空気が流れ、木々の上の鳥たちがさえずっていて、気候はとても快適だ。

 ここは風光明媚だが、カリーナにとっては全く見知らぬ場所だけだ。


「ここはきれいだね。北方の風景とは全然違う……でも会議室はどこ?コルネル、ここに来たことがある?」

「ごめんね、僕も初めてだよ……」


 そのとき、メガネをかけたショートカットの少女がカリーナの背中を叩こうとしたが、コルネルに地面に押さえつけられている。


「ああ!痛い!早く離しなさい!」

「貴様何をしようとしたんだ!え⁉あなたは……」


 コルネルは慌てて暗紫色のマントを着た黒髪の少女を放し、彼の表情は少し気まずいそうだ。


「コルネルってさ……私は2号エンジリヤだぞ。あんたの大切なカリーナに加害わけないでしょ?」

「相変わらず冗談好きだね」


 エンジリヤはメガネを拾おうとしたが、カリーナが先に拾ってくれた。


「どうぞ、エンジリヤさん」

「あはは、可愛くて礼儀正しいお嬢さんだね。私と話すときは気軽にしてね。ところでカリーナ、私たちは初対面だよね」

「そうだよ。普段は眼球ロボットで話すだけだったから、まさかあの2号がこんなに綺麗だなんて思わなかったよ」

「お世辞上手だね、でも嫌いじゃないよ。さあ、行こうか。会議室はまだ知らないでしょ」


 エンジリヤの先導で、ついに巨大な建物の近くに着いた。それは巨大なビザンチン風の円形建築で、上にはすごく精巧なカラーガラスがあって、太陽の光でキラキラと輝いている。


「すごいね」

「いや、カリーナ。別に大したことないよ。でも今日はあまり人が来ないかもね、高層の会議だから。普段はたくさんの人がここに来て、歴代の魔王や魔女に祈りを捧げるんだよ。でも大抵はオイスム様がメインだぞ、これもあの伝説の宣教師のおかげだね」

「ええ?そうなの?でも全ての魔王と魔女を記念するの?」

「まあね。でも私の推しは永遠に第六魔女だぜぇ、第六魔女と言えば……」


 エンジリヤは第六魔女について話し始める。周りの人でも彼女が第六魔女にとても熱中していることがわかった、間違いなく2号は忠実な第六魔女ファンだ。

 魔王教の信者たちは彼女たちを見て、大きな扉を開けて、中には広大な祈りの部屋があり、テーブルやゆかには青い炎の蠟燭が並んでいた。

 それでもかなり暗いんだな、彼女たち三人が入るとすぐに人の声が聞こえてきた。


『あなた方三人はすぐに二階の準備室に行ってください。メビウス様はもう待ってらっしゃいます』

「やーべい!早く行こう!カリーナ、遅れると大変だ!」

「ええ⁉わかった、急ごう、コルネル」


 二階に着くと、彼らは準備室でうろうろしているロサナに出会った。彼女はかなり緊張して焦っているようだ、2号たちを見て安心した後彼らをしかる。


「お前ら三人も遅すぎる。あの方を待たせるなよ。部下が遅れると私の名誉だけじゃなくて、オイスム教団の名誉にも関わるんだから、わかってるか!」


 エンジリヤもこの事態を理解していて、彼女に笑顔で謝る。


「あはは、すみませんね、ロサナ。だってさ教団本部からの研究報告を作るのに時間がかかっちゃったんだ」


 カリーナとコルネルも急いで頭を下げて謝った。


「大変申し訳ありません、ロサナ様」

「大変申し訳ありません、ロサナ」


 ロサナはため息をついて、暗紫色のマントを羽織って、それから準備室の近くにある鈴を鳴らす。

 カリーナとコルネルは不思議そうに見ていたが、すぐに彼らは暗い場所に転送された。

 そして一筋の光が彼ら四人の上に当たる。彼ら四人は今会議室の前方のステージに立っていた。

 そして下には円形の観覧席があり、でもその観覧席には人がぎっしりと座っていて、みんな黒いマントを着て前方の四人をじっと見ていて、恐ろしく感じるほどだ。

 そしてステージの後ろの一番高いところにはもう一つ赤い観覧席があって、そこには二人だけが座る。

 でもロサナや2号と同じく暗紫色のマントを着ている。

 内部は厳粛で重苦しい雰囲気が漂っていて、カリーナたちは勝手に話すことができず。

 全体的にはまるで室内のローマ劇場のようだね。


「ロサナ、これがお前が推薦した新人か?ガキじゃないか……」


 赤い観覧席で話している紫髪の男は声が厳しくて怖い。息をするだけで殺されそうな感じだ。

 彼は悪鬼のような目でカリーナを見回して、彼女を足が震えるほど怖がらせる。

 ロサナはカリーナのそばに来て、背中を叩いて姿勢を正させた。


「そんなこと言わないでよ、アンチェロッティ。この子はとても優秀な政治の天才なんだぞ。この子のおかげで魔王の福音をオランスド帝国に広めることができるんだから」

「あははは!笑わせるな!ハハハ!」


 突然傲慢な笑い声が聞こえてきて、もう一人の赤い観覧席に座っている黒髪の男がロサナに向かって大声で笑っている。


「それも教団北方支部の部長が無能な雑魚だからこそ、あのガキが目立つことになったんだろう?そうだろね、ロサナ」

「東方支部のアッバースさん、北方支部の部長として部下をしっかり管理できなかったし、自分も油断して7号を捕まらせてしまって教団に大きな損害を与えて、魔王教に恥をかかせたことは認めた。そのためにも教団本部に辞表を提出して、私の代わりにもっと優秀な人に任せるつもり」

「ふん!自覚あるんだな。元魔王軍の幹部のくせにこんなに情けなくて滑稽だなんて、お前みたいな無能なやつは早く消えろ。それにオイスム教なんて異端だ、だからお前たちみたいな奴らがいるんだ!やっぱり北方の奴らは怠惰で無能だ!」


 カリーナはロサナをかばおうとするが、恐れてやめてしまった。


「もういい、他の部長や幹部は来なくても構わない。会議を始めよう」


 ビザンチン風の服を着た男が後ろからゆっくりと歩いてきた。ひげを生やしていて、目は深くて静かだ、彼はステージの中央に来てエンジリヤを見る。


「2号、教団本部から頼まれた研究報告はどうなってる?」

「あ、はい、メビウス様。第六魔女の自作超大型ロボットやその他の技術は現在解析が順調に進んでいます。私たち北方支部はすでに破壊者を手に入れましたし、一部のロボットを作る能力もあります」

「では、その破壊者はどうした?」

「ええと……レイラ・フェリウェムたちに破壊されてしまいました……」

「「「……」」」


 エンジリヤとロサナは汗だくになっていて、めちゃ緊張している様子だ。

 カリーナはこの時に前に出て話そうとした!


「あの、メビウス様。2号はもうあの破壊者を作る能力を持っていますので、もう少し時間をください。私たちは破壊者が教団にとってどれだけ大切か分かっていますから、だから……」

「待って!カリーナ!」


 ロサナはすぐに前に出したカリーナを止めた。エンジリヤも少し動揺して、頭が混乱して目が回るような感じで何と言えばいいか分からなくなった。


「いいぞ、2号の活躍を期待してる。一ヶ月、一ヶ月で破壊者を作れなかったら……」


 エンジリヤは仕方なく答えてみた。


「あ、はい……承知しました……」


 メビウスは横にいるカリーナに目を向けて、微笑んだ。


「君はカリーナ・レシヤ・アゴストというんだね。面白いやつだ。見識もあって度胸もある。魔王教がオランスド帝国に足場を固められたのは確か君のおかげだ、報酬はもう教団本部から送られたはず。ロサナについては……あまりにも失望させたな、教団本部は君の辞表を承認し、次の北方支部の部長はここにいる全員で投票で決める。ここにはもう君たち四人の用事はない、もう帰っていい」


 言い終わると、みんなが会議室から転送させ、四人は呆然と準備室に立っている。何が起こったのか全くわからん。


「ロサナ、一体何が起こったの?」

「会議室はメビウス様が作った魔法空間に建てられているんだ。準備室の鈴を鳴らしてメビウス様に知らせると、外から入れるようになるんだ。同じように中から出るにも魔力でマントの鈴を鳴らさないと出られないんだ」

「え⁉でも私たちは鈴を鳴らさなかったよね、まさか……」

「そうだよ、メビウス様が私たちを追い出したんだ、これほど恥ずかしいことはないよ……」

「ロサナ、私はずっと君が素晴らしいリーダーだと思ってたよ」

「お世辞ありがとう、カリーナ。でも私はもう部長じゃないんだ」


 意識戻ったエンジリヤはこの時に飛び出してきて、カリーナの服を掴んで必死に引っ張っている。


「何を言ってるんだよ!あんたは!お世辞じゃ済まされないよ!破壊者のパーツの多くはまだ理解できてないんだぞ!作るなんて言ってねし、あの破壊者は予備品だけだ!あんたのせいで私が死ぬかもしれない!」

「ええ⁉ただのロボットでしょ、そんなに大したことないから。私も手伝ってあげるから、安心してエンジリヤ」

「くそっ、そういうわけにもいかないんだ!時間がないんだ!先に研究室に戻る!」


 言って、エンジリヤは振り返らずに廊下を走って行った。 カリーナとロサナとコルネルはゆっくりと階段を降りる。

 彼らの前にはもう一人暗紫色のマントを着た白髪の老人が歩いてきて、目は鋭くて老練だ。

 ロサナは彼に気づいて、挨拶した。


「ああ!1号じゃん、お前も教団本部に呼ばれたのか」

「ん?おや、ロサナか、久しぶりだな」

「本当に久しぶりだね」

「じゃあ、私は用事があるから先に行く」


 そう言って、白髪の老人は会議室の方に向かう。この時カリーナはロサナにいくつかのことを尋ねた。


「あの方は初めて見たけど」

「彼は昔私と同じくオイスム様に仕える幹部だった。北方支部の人だけど教団本部で第七魔女残した魔法を研究してるんだ」

「ええ、そうなんだ。あの失礼な奴らは置いといて、メビウスって誰?教団本部のボスみたいだけど」

「そう、でもただの魔王軍幹部じゃないんだ、第一代魔王の最初の幹部なんだぞ。あの化け物は何度も勇者に倒されたけどまだ生きてるんだ……彼は私たちみたいな脇役とは全然違うレベル」

「え⁉そんなすごいなの!」

「そうよ、彼はすごく強いし、魔王軍の幹部の中で一番威厳がある人、後輩としてもちろん怖がってるよ。だからお前は2号に迷惑をかけたんだ」

「帰ったらエンジリヤにちゃんと謝らなきゃ……」


 この時ロサナは魔王教信者に箱を持ってきてもらった。開けると中には黒いマントが入っていて、それは会議室の人たちの服装とそっくりだ。


「明日からお前もあそこにいる人たちと同じ教団本部の議員だぞ。これがお前の正装、教団のために頑張ってね。魔王にすべてを捧げるために」

「うん、北方支部をもっと良くするように努力するよ。魔王にすべてを捧げるために」

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