61
「え?ここどこ?お前は……」
7号が急に起き上がって私を驚かせた!
彼女は今全身に傷があって、左腕に包帯が巻かれている。どうやら誰かに剣で刺されたようだ。彼女をこんなに傷つけた人は簡単じゃないね。
「ああ、落ち着いて、リラックスして、あんたを殺すつもりはないから、安心しろ」
ベッドの上に立っている7号は使い魔を召喚して戦闘しようとするが、急に起き上がって立ったせいで体中の傷口が裂けて、真っ白な包帯に血が染み出す。
彼女も戦闘しても勝ち目がないことを分かっているようだ。しかも右手はベッドにつながれた手錠で制限される。
でも隣のオエリちゃんは彼女に怯えてしまった。
「ああ、そうだ、オエリちゃん、ちょっと食べ物を持ってきてくれるかな」
「はい」
7号はオエリちゃんが去ってから再びベッドに横になって、不機嫌そうな顔をする。
「僕を捕まえたのは情報のためだろう、ふん!ずいぶん僕も見くびられたものだ。例え死んでも言わないぞ!」
「てめぇはディランを殺しかけた、今からお前をひどくしてやる!このくそったれ7号!」
ルーナが突然入ってきて彼女の服を掴んで睨みつけているのに気づかなかった。まるで7号を引き裂こうとしているようだ。
すぐにルーナを止めている、私も7号がお兄ちゃんにしたことをよく知っているからだ。
ルーナの話によると、お兄ちゃんは彼女を助けるために7号に切りつけられて重傷を負った。もしお守りの効果がなかったら兄はもしかしたら死んでいたかもしれない。
そのためハルカを呼んで眠っているお兄ちゃんの世話をさせた。もう一人手伝ってくれるのもいいし。
私も7号が大嫌いだけど、今は復讐ではなく彼女からもっと役に立つ情報を聞き出して邪教の内部の状況を知ることだ。
「ふん、じゃあ殺してやがれ」
「今すぐ叶えてやる!」
「ルーナ!待って!」
怒っているルーナは7号の首を絞めて、7号の顔に青筋が浮かび、顔色も悪くなる。
ルーナ明らかに暴走した!私が止めなければ、彼女の腕力で7号を殺してしまう!
「わあ……はぁ……」
ルーナの腕をずっと引っ張って、やっとルーナにこんなばかなことをやめさせた。その時の7号はようやく大きく息を吸って、顔色が回復していく。
「ルーナ!お兄さんの状態は医者がもうすぐ回復すると言っていたよね。あの医者は昔私を治した名医だから。それに、私たちは7号が必要だ」
「ごめん、レイラ……さっきちょっと制御できなかった」
「わかってる」
ドンドンという音がドアの外から聞こえて、オエリちゃんが粥とパンを持ってきてくれた。でも彼は入るのが怖くてずっと見ているだけだ。
「あの、お嬢様、大丈夫ですか?さっきはすごい音がしましたよ」
「もう大丈夫よ」
これからは7号をしっかりと尋問する、そのためには手段を選ばない。
テーブルの上にある粥を手に取って彼女の前で揺らしてみて、香りが彼女の鼻に届いたらしく、私の手に持っている粥をじっと見つめている。
「ほら、これはオエリちゃんが炊いた粥よ、あーん」
「レイラ・フェリウェム!お前は僕を馬鹿にしてるのか!ちょうどいい機会だ、お前に一つ教えてやろう。僕は絶対に屈服しないぞ!」
その時グルグルという大きな音が部屋中に響き渡る。その後彼女の顔はすぐに赤くなった。
彼女はオエリちゃんの料理の腕を見くびっていた。今私の手に持っているこの粥は香りを放って、彼女の嗅覚を誘惑している。誰がお腹が空いている時にこんな美味しいものに耐えられるだろうか。
「ふん!仕方ないな、一口だけ食べてやるか」
「はい、あーん」
「ん……すごく美味しいな、もっとくれ!」
「よしよし〜次は自分で食べな」
7号はすぐに粥とパンを食べ終わって、満足そうにベッドに寝転がって足を上げて、右手でお腹を撫でながら静かに私を見ている。
「ああ〜本当に美味しかった。あ!そうだ、僕どうやってここに捕まったんだ?気絶する前にミサイルが当たったことを覚えてる。あのミサイルは見覚えがあるぞ、まさか破壊者の背中から発射されたんじゃないだろうな……」
「そうよ、元々6発のミサイルがあったのよ。私は5発しか撃ち落とせなかった。あんたを見つけた時にはもう息も絶え絶えだったよ。あんたが死ななかったのも私たちに感謝しなさい」
「ええと……あの破壊者はレオンスとマカーリオという二人が操縦していたんじゃないだろうな……」
「ああ、そうよ」
7号は起き上がって右パンチでテーブルを強く叩いた。すごく不機嫌そうで顔中怒りで一杯だ。
「くそったれのレオンスとマカーリオ!てめぇら……まあ、いいや、何が知りたいんだ」
え!こんなに簡単に自白するの?彼女は本当に正直に答えてくれるのかな?ただ復讐心だけだろ。
「まずはあんたの名前から教えて」
「ベアベルだ。安心しろ。これは本当だ。お前を騙してない」 「そうか、じゃあ、なぜあんたを7号と呼ぶの?あんたたち何人いる?」
「別に大したことじゃねえよ、教団幹部のコードネームだけだ。何人いるかなんて知るかよ、僕は教団北方支部の一人の幹部に過ぎないし、権力も給料もほとんどねえし、色々な面倒なことを押し付けられてた。とっくに他の支部に移りたいと思ってたんだよ」
「そうか、では、ロサナは誰?生前は女性だったのか?」
「女性だったのは間違いない。ロサナ様は僕にとって特別な存在だ。僕に育ての恩がある……」
すまんね、私たちはもうあのロサナを倒してしまった、だから今はそれを言うタイミングじゃない。
「ええ、そうなんだか。ではロサナはなぜ王宮を襲撃したの?いつアゴスト公爵と連絡を取ったの?」
「ちょっと待て、ロサナ様の指示に従ってきただけだ。ロサナ様が何をしたいのか僕には分からないし、どうやってあの公爵と連絡を取ったのかも知らない。こんなことをする意味が分からなくても、上司に聞くわけにはいかないだろう」
彼女はやっぱり重要な質問を避けてる。その時ルーナが彼女に詰め寄ってきた。
「お前たちはフォスタンイーンに侵入したのは、私が女神に選ばれた人かどうか調べるだけじゃないだろうね。お前たちには他に何か目的があるよね?」
「……」
7号はルーナの問いに沈黙で答える。やっぱり難しいな、あのロサナの考え、彼女の本当の目的は今だに見えない。
オエリちゃんが手を振って私にカリーナが来たことを知らせた。
後でまた7号をきちんと拷問するつもりだ。彼女は邪教の内部情報をたくさん持っているはずだから。
邪教徒たちがフォスタンイーンに侵入してから二日が経って、みんなも私の家で色々な対策を話し合っていた。
私とフランドはカリーナも呼んでくれた、彼女は自分のおじさんが何をしようとしているのか知る権利があるし、彼女のおかげで王宮の多くの人と連絡を取ることができた。
グルサンはクイリザル大使館にいる。学校は邪教徒たちに壊されてしまったから、一時的に大使館にいなければならないし、一人で出かけることもできない。同じようにフェリクスもだ、彼の父親は彼の安全を心配して一時的に国に帰ることになった。
ベアベルを閉じ込めている部屋は私の家の地下室にある。色々な魔法で封鎖していて、弱った彼女はこれらの魔法を破壊して一人で出て行くことはできない。
地下室から出てルーナと一緒に客間に行ったら、カリーナはもう大広間で私たちを待っていた。
公爵は恐らくもうトラヴィに着いてクーデターを準備しているだろう。残された時間はあまりない。
このニュースが王宮に伝われば内戦に発展するかもしれないからね。そうなったら南方大国が隙を突く可能性もあるし、多くの人が死んでしまうだろう。そのためフランドとシスネロスは昨日トラヴィに向かって出発した。
『じゃあ、俺と筋肉バカは先に行くぜ。本当はもっと対策を練りたかったけど、今回は邪教の陰謀が成功する前に、内戦が起こる前に行かなきゃならないんだ。今回は相手より一歩先んじる』 『王宮の寄生虫どもはお前たちに任せる、俺とサルの凱旋を期待してろ』
言って二人は竜馬に乗って急いで行ってしまった。
フランドが言った通り、今回は相手より一歩先んじなければならない。
「レイラ、行こう、Aさんと会いに。今回はあいつらに見せてやるぜ!」
「うん、行こう」
この事件の後ルーナの闘気は以前よりもさらに高まっている。でもカリーナの仲介がなければ、あのAさんを呼び出すことはできなかった。
前のカリーナは手を振って私たちに馬車に乗るように合図する。
仕方ないことだけど、私とお兄ちゃんの竜馬はフランドに乗られてしまったからね。
オエリちゃんは庭の門で私たちを見送ってくれる。
ルーナはその時彼の手を握って、目に不安と焦りがあふれていた。
「オエリ、あの、ディランのことはお願いね。もし彼が目を覚ましたら、私が彼を巻き込んでごめんなさいって言ってくれる?」
「レイバウェスさん……わかりました。ディラン様のことはしっかりと世話しますので、あなたも自分を責めなくていいですよ」
「ありがとう」
ルーナは元気がなくて、馬車のドアにぶつかってしまった。
私たちは三人で馬車に乗って、カリーナは不安そうに私を見て、両手で私の手を握ってくれる。
「レイラ、何か手伝えることがあったら遠慮なく言ってね」
「ありがとう、カリーナ」
あの二人が情報部から逃げ出せたのは、恐らく情報部も腐敗しているからだろう。寄生虫どもを一掃する時が来たようだ。




