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番外 侵入4

 7号不満そうに眼球ロボットを見つめ、頭をかく。


「2号……彼女は僕のターゲットだぞ、邪魔するな」

「はあ!何を言ってるんだ!7号!あんたたちがちゃんと仕事をしていないか監視しに来たんだぞ、私が作ったロボットと催眠ガスがなかったら、こんなに高い知能の作戦なんてできるわけがないだろう!それに私はこの計画のためにどれだけ準備したか知ってるか……」

「ああ、うるせぇな」


 実は彼女たちの関係は悪くない?

 眼球ロボットは軽蔑のまなざしで目の前のルーナを見て、モニター越しでもその軽視感が伝わってくる。


「7号、彼女は選ばれた者かもしれないと思わないか?」

「正直言って、彼女が選ばれた者だとは思わないな。女神の印を持つ者はこんなに弱くないだろう、あれは魔王と対抗できる力だぞ」

「そうだな、女神の印を持つ聖女はこんなに弱くはありえない。でももしかしたら女神の印を持つ聖女はまだ降臨していないのかもしれない。ロサナが過剰に心配していると感じる」

「まあ、ロサナはそういう心配性の人だからね」


 ルーナは少し怒っていた。やっぱり敵にそんなに見下されるのは不本意だよね。でもこのことは今は言えないし。

 でもそのせいで7号の口調も少し和らいだ。


「王政についてどう思う?確かお前は貧民だろう、この王政がひどいと思わないか?再び生きる権利を得たくないか?本来あるべき尊厳を得たくないか?」

「選ばれた者じゃないと分かったから私を仲間に誘ってるんだろ?」

「残念だけど、お前はこっちの信徒じゃないし、ただ共通の目的で協力するだけだ。僕たちと一緒にこの腐敗し無能な王政を倒そう。これがお前の最後のチャンスだ。さもなければここで死ぬしかない。同じ聖女の子孫として同胞にこんなことをするのはちょっと嫌だな」

「よく言うな、聖女先輩」


 7号はもう我慢できなくなる。彼女はそういうグダグダする人じゃないし、手に持った長剣にもっと魔力を集める。


「7号、もう十分だ。彼女には何の価値もない。殺してしまえ」

「そうだね」


 7号が突進する前に、ルーナは巨大な剣風を放って前方を横断した。 7号は上に跳んで避けたが、眼球ロボットは剣風に切り裂かれて部品が地面に散らばっていた。

 7号はその時初めてルーナが聖天使形態になっていることに気づいた。

 白くて明るく荘厳な一対の翼が空中に広がっていた。彼女も聖天使形態にならなければ対抗できないと感じた。

 二つの白い光が空中で互いに争う。速度と力は前の戦闘とは比べ物にならない。

 一振りするたびに剣風が唸りを上げて飛んでいって、致命的で危険。

 戦闘が進むにつれて、7号は自分が劣勢になっていることに気づく。

 次第にルーナの連続する斬撃に防御しきれなくなって後退した。


「くそ!どういうこと?どうしてお前の聖天使の力は僕よりも強いんだ?お前は何をしたんだ!」

「あら、そんなに驚いてるの?聖女先輩」

「チェ!」


 7号はすぐに自分の聖女魔力を上げた。

 眩い白光が魔力の鎧となって彼女の身体を覆っている。

 これが彼女の最後の切り札。

 神聖鎧と他の魔力で作った鎧には違いはないんだが、ただ聖女一族の神聖鎧は強大な防御力と自身の魔法強度を上げることができる、これらは全て女神様の祝福から来るものだ。


「神聖斬撃!」


 巨大な魔力を帯びた光束がルーナに向かって突進した。でも今回彼女は前よりも冷静で、両手で同じように光束を振り下ろした。

(女神アニナよ、ここであなたの祝福を私にください!)


「神聖斬撃!」


 二つの眩い白光がぶつかり合って巨大な衝撃波を起こして、一瞬で大地を巻き上げ、建物を破壊した!

 衝撃力はあまりにも大きくて、二人とも吹き飛ばされた。ルーナは壊れた建物の中に突っ込んだ。

 全身が血だらけだ……

 しばらくして、ルーナは目を開ける。どうやら意識を取り戻したようだ。


「くそ……威力はまだ足りなかったか……」

「思っていたよりも進歩しているじゃん、お前は聖女の力の使い方がかなり上手くなっている。殺すのは本当に惜しいよね」


 7号はすでにルーナの傍に飛んできて、剣で彼女を指していた。彼女の身体を覆う神聖鎧によって、彼女は怪我をしていなかった。

 でも彼女の目は不惜しみに満ちていて、勝負はついてしまったから、彼女がすることはルーナを斬殺することだけだ。


「遺言を伝えたい人はいるか?同じ聖女末裔として、できるだけやってやる」

「聖女先輩って……意外と優しいんだね……」

「別に、ただ急に善行をしたくなっただけだ」


 ルーナは手に持った剣を見つめ、十数年の出来事を思い出している。でも彼女は最後に浄化者の剣を置いて、目を閉じた。


「それじゃあ、さようなら。ルーナ・レイバウェス」


 しかし、その時岩石の巨人が彼女を突き飛ばし、巨大な体で7号を遮った。

 7号は傷一つ負わなかったが、目の前の岩石の巨人に驚いた。彼女も少し見覚えがある。

 あれは王宮の石の鎧の巨人ではないか⁉ただサイズが大きくなっている。土や石を吸収して強くなったのだろう。


「ルーナ!」


 ディランが彼女を抱き上げて、自分の肩に乗せる。どうやら逃げようとしているようだ。


「ディラン!どうして?」

「君を殺されるなんて見てられないだろ!」

「お、お前は逃げろよ、7号には敵わない……私、私はお前の足手まといになるだけだ……」


 ディランは聞こえないふりをして、必死に逃げているだけだ。複雑な空間魔法が使えないから転移できないし、風魔法で逃げるしかない。

 すると後ろから強風が吹き抜けて、石や土が二人に当たって、強風に飛ばされて遠くまで飛んでしまった。

 ディランは頭を上げて何が起こったのか見たが、自分の使い魔が倒されてしまったことに気づく。


「つまらん……ばかばかしい」


 7号はすでにディランとルーナのそばに立っていた。目には一切の慈悲なし。

 彼女は軽く剣を振って、ディランを切りつけていた。彼の血がルーナの顔に飛び散って、ディランはルーナの上に倒れて動かなくなった。

 ルーナの瞳には驚きと呆然とした表情するだけだ……


「哀れな奴だな、本当は死ぬ必要もなかったのに……でもお前もすぐに彼に会えるよ」


 7号は剣を振り上げて再び殺戮しようとした時、ルーナの身体から突然大量の魔力が放出されている!一瞬で7号を吹き飛ばした!


「何だ!あれは何だ!なんと強大な魔力!」


 ルーナの手にある女神の印がキラキラと光って、魔力が次々と彼女の身体に流れ込んでくる。巨大な魔力に7号は震えながら恐怖した。


「ありえねえ……あれは女神の印なのか……」


 ルーナは今までとは大きく変わっていた。瞳には女神の印の模様があり、身体には白と明るい茶色が混じった神聖鎧がある。翼ももっと大きくて美しい。

 ルーナは冷酷に7号を見つめ、手を軽く振って、巨大な魔力を帯びた剣風が7号を打ち飛ばし、7号の身につけていた神聖鎧も粉々になる……

 彼女は地面に転がりながら何度も止まることなく、やっとのことで止まった。


「うわあ!くそ……」


 7号は血を吐き出した。さっきの一撃で命を落としそうだった……


「だめだ……2号とロサナに報告しないと……」


 7号は逃げ出そうとしたが、ルーナはすでに彼女のそばに来ていた。仕方なく7号は剣で抵抗する。

 二人は空中で高速で飛び回り、ルーナはチャンスを見計らって7号の翼を掴んで、力一杯地面に投げ飛ばした。

 巨大な衝撃力で大きな穴ができて、坑の中に横たわる7号はまだ逃げようとするが、ルーナは足で彼女の背中を踏みつけて制圧し、両手で彼女の翼を引き裂いた。

 空中に翼が舞って徐々に消えていく。

 ルーナは7号のふくらはぎに足を踏み込んで、ひどく変形させて、重度の骨折を引き起こした……

 続いてルーナは無慈悲に足で7号を狂ったように蹴り続ける。次々と彼女を破壊し、最後の一蹴りで7号の頭を地面に叩きつけた……

 ルーナはすっかり理性を失って、怒りに駆られて復讐しているだけだ。

 頭が地面に埋まっても、7号は起き上がって剣で振り回したが、ルーナは簡単に手で受け止めた。逆に剣で7号の腕を刺して、彼女は苦痛に叫んだ。


「ルーナ!」


 ルーナはその時初めて振り返って、ディランがまだ生きていることに気づいた。

 胸とお腹から血が流れていたが、あれはお守りの効果だろうか、効いたとは思わなかったよ。ディランの命を救った。

 ディランがまだ死んでいないと見て、ルーナは何か神智が戻ったようだ。身体から噴出していた魔力も消え去った。彼女は最終的に気絶して意識不明になった。


 ディランは彼女のそばに来て、気絶したルーナを抱きしめる。ディランも全力でルーナのそばに来たようだった。足が震えていて、もう力がなくなってしまう……

 しかし最悪のことが起こってしまった。7号はまだ生きている……

 7号は弱すぎて神聖鎧を解除した。左腕は刺されて剣が振れなかったが、右手で剣を拾って持ち上げる。


「やっぱり、ルーナ・レイバウェス。お前は今日ここで死ななければならない。最後に僕が勝った!あはは!」


 今は奇跡が起こることを祈るしかない……

 その時空から突然ミサイルが現れて、7号は驚いてミサイルが自分の頭上に飛んでくるのを見ている。


「え!……あれは……」


 そのままミサイルは彼女の足元で爆発し、7号を完全に吹き飛ばした……

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