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魔法陣からゆっくりと美少女が現れる。
淡い青色の髪、澄んだ青い瞳で、顔には淡い青色の魔女の印がはっきりと見える。
私と同じく魔力の波動が不吉で、同じく魔女候補。
でも、なぜかわいいパジャマを着て、かわいい枕を抱いているのだろうか?
周りは雪で覆われていて、気温はとても低い。骨髄まで凍りつくような感じだ。私たち三人は寒さで震えていて、アンデッドのロサナは何も感じないのだろうね。
その後、二人は地面に降りたが、この吹雪を起こした者はあくびをしながら、よろよろとする様子だけど。
「6号、何をやってるんだ?寝るな!」
「ああ、ごめんね。ロサナ、超眠いんだよ。ちょっと仮眠して」
そう言って6号は枕を持って地面に寝そべった……
でも彼女が寝ると周りが少し暖かくなる。ちょっと不思議なことだ。
でもこの奴らを侮ってはいけない。7号の強さを見た後、6号にも油断はできないしな。
「後で寝ろよ……頼むから……」
ロサナは困ったように彼女を起こそうとしながら、私たちに慌てて目を向ける。一瞬空気がぎこちなくなった。彼は咳払いをして、やっとさっきの威厳を取り戻した。
「ふん!今はまだお前たちに命拾いさせてやるぜ。6号が目覚めたらお前たちは終わりだ!さあさあ、6号、早く起きろよ」
「本当に眠い……おやすみ」
そう言って本当に眠ってしまった。そして彼女の体は氷で覆われて自分を保護する。
ロサナは仕方なく空間魔法で彼女を再び転送した。
「「「……」」」
え?本当に魔女候補なのか、彼女。
「すまんな、待たせたな。さあ!これからが本当の恐怖だよ、よく味わってごらんぜ!」
「二回言わなくてもいいだろ……」
多分これが儀式感というやつだろ。
私は言ったとたんに大地が揺れていて、土から巨大な八本足の蜘蛛が出てきた。
ロサナは蜘蛛の上に飛んで、二者は一体化した。八本の巨大で漆黒の蜘蛛足、細長い毛が生えている。
そして不気味な赤色の体表だ。毛はまるで生きているかのように動いている。一歩一歩私たちに近づいてきた。
なんか気持ち悪いな……
ロサナは蜘蛛足で私たち三人に攻撃してくる。蜘蛛足はとても強力で、深い穴を開けることができる!
黄金弓は蜘蛛足の攻撃をかわして、ロサナの下で高速移動した。そして自分を高速回転させて、金色の双刃ですべての蜘蛛足を切り落とした!
わあ!本当にすごいな。でも敵の実力を過小評価した。
下の蜘蛛足はほとんど一瞬で再生して、黄金弓は反応できないまま、蜘蛛足に吹き飛ばされた。
「まだ終わらないぞ!」
ロサナはローブをめくり上げて、肋骨からたくさんの吸血飛虫が飛び出してくる……
わああ!超気持ち悪い!血を吸われたら死んだ方がましだ。
だから仕方なくグルサンと一緒に後退して、魔法の盾で吸血飛虫の攻撃を必死に防いだ。
しかし、ロサナは火魔法で私たちに攻撃して、一撃で魔法の盾を破壊し、私たちを吹き飛ばした。
「くそ!なんでこんなに手強いんだ」
グルサンは火魔法で吸血飛虫を焼き払う。そのせいで私の目の前には飛虫の死体がぎっしりと……
「グ、グルサン、とりあえず撤退しよう」
でもあいつは本当に厄介な敵だな。近づけば蜘蛛足に攻撃されるし、中距離では吸血虫に邪魔されるし、遠く離れれば彼の色々な魔法に攻撃されちゃうし……
ロサナは空間魔法で私たちの前に現れて、蜘蛛足で私に攻撃してくる。
攻撃は非常に速く、空気を突き抜けるような槍みたいだ。
戦争女神の加護がなければ、気づくこともできないだろう。
気づかないうちに私の後ろの草地に二つの穴が開いていて、しかも鉄壁の効果も解除されてしまった。
蜘蛛足をかわして残りの連続攻撃を避けようとしたが、距離を開ける暇もなく、草地で転がって彼の攻撃をかわし続ける。
毎回攻撃すると一列の穴が開いた。
グルサンは風魔法で私を吹き飛ばして命拾いさせてくれた。地面で一回転した後、手を上げてロサナに雷魔法を使う。
グルサンもちょうど増幅魔法陣を用意してくれていた。
「天雷幽閉!」
青い稲妻が轟音と共に地面に突き刺さって、電流が彼を麻痺させ、電圧が大気を突き破った。
ロサナは中で強大な電流に耐えていて、周りの草地は高温で点火されてしまう。
空気には電弧が形成されて、眩しい光を放っている。
ロサナは暗魔法で自分の周りに渦を作った。そして暗魔法の渦がすぐに天雷の牢獄を突き破って、周囲に衝撃を与える。
「あんた死んでくれる?」
連続電撃のせいで、ロサナの全身は焦げ臭い。
焦げ黒くなった残骸が次々と落ちていって、あれは虫だったのか。
ロサナは電撃を受けて顔がさらに醜く恐ろしくなった。もともと黒い骨だけの姿だが、体には虫の構造が多く現れる。
ムカデのような虫が骨の体内にぎっしりと詰まっていて、虫たちは骨の肋骨の中で押し込まれながらひりひりと動いている。私の目にはモザイクのようなものにしか見えい……
「わああ……」
「レイラ、吐いちゃったのか、大丈夫?」
「グルサンこそ、吐き気がしないのか?」
「え!ちょっと気持ち悪いけど、まあ大丈夫だよ」
すごいな、この子……
後ろから金色の光が飛んできて、ロサナの肋骨に命中した。でもそれでも倒せなかった。
「黄金弓さん、まだ生きてたんですね」
「フェリウェム様、この程度の傷じゃ何ともないですよ。でもあなたはどうして二人になってるんですか……」
「ちゃんと横になりなさい……」
明らかに立ってもいられない様子で、頭には血がついてる。本当に大丈夫なのか?
でも彼の身体能力はすごいな。普通の人間だったら蜘蛛足に吹き飛ばされたら死んでるだろう……
「レイラ・フェリウェム!おおおおおお!」
ロサナは恐ろしい咆哮を上げて、死に物狂いの野獣のようだ。聞くだけで毛が逆立つ。
それから私に向かって魔法弾を次々と放ってきた。仕方なく飛んで彼の攻撃を避け続けている。
変だな、さっきまでは理性的なアンデッドだったのに、今はまるで狂った野獣みたいだ。
魔法は使えるけど、もう知性的な生き物という感じじゃない。相手はやはり咆哮しながら私に向かって飛び掛かってくる。
途中で建物を突き破り、地面を荒らし、凄まじい勢いで迫ってきた。
グルサンは揺れる黄金弓を掴めて踏み潰されないようにしたが、ロサナは二人のことをまったく気にせずに横を通り過ぎる!
彼の蜘蛛足の攻撃をかわしながら、彼の魔法弾も回避しなければならない。魔法弾が建物に当たるたびに、大きな穴が開いてしまった。
私は飛んで建物の中に入って、ロサナもすぐについてきた。その巨大な体で、建物の柱や壁にぶつかりながら進んできた。
彼を狭い空間に誘導することにした。だから、建物の上方に飛んでいく。廊下に入ると、すぐに彼もついてきた。
ロサナは空間魔法も魔力弾も使わなくなった。ただ無情に階段や廊下を踏みつけて、厚いほこりを巻き上げるだけ。
先生たちの事務室に入って、彼の速度を落とせるかと思った。案の定、彼は部屋の中のいろいろな設備や壁にぶつかって、動きが遅くなっている。
「うおおおお!ああああ!」
彼は咆哮して、恐ろしい声を発して、建物中に響き渡る。
もう完全に理性を失っているようだ。話すこともできないらしい。 風魔法で目の前の部屋を打ち抜いた。すると、一番会いたくない人物に出くわした……
校長先生が一人静かに事務室の椅子に座っていて、考え事をしているようだ。その表情はまるで何も関係ないかのようだ。
「あ!こんにちは、校長先生」
「ああ、こんにちは。フェリウェムさん」
「すみません、校長先生。怪物が私を追っているんです、だから先に行きますね」
「え?怪物?」
校長室を飛び出したところで、ロサナが突入してきた。そこら中を踏み荒らして破壊した。
紙や本や絨毯の毛が舞い上がっていて、窓も振動で割れてしまった。
校長の机と背後の壁だけが破壊されなかった。でも校長先生は相変わらず平静な顔をしていて、朝散歩でもしているかのような表情で、このすべてを見ても何も感じないようだ。
「うん、やっぱり夢だ……」
校長先生が無事だから安心したけど、背後の怪物はまだ追ってきているんだな。
校長室を出るとグルサンが手を振っていた。彼女は三階へ行く廊下にいる。
どうやら準備ができていたようだね。今度は私たちの反撃だ!
そしてロサナを三階の屋上まで誘導する。
ここは広々としているから問題ないだろう。
ロサナは天井を突き破って私に向かって飛びかかってきた。しかし、暗青色の鎖が彼を縛り付けていた。
それだけではなく、地面には魔法陣が彼の動きを一時的に抑えていた。
「今だ!レイラ!」
グルサンと私と黄金弓が一緒に風魔法を使って、目の前の怪物を竜巻に飲み込ませる。
巨大な竜巻がロサナを切り刻んでいった。漆黒の骸骨は次第に黒い灰になって消えていく。
私はとっくに屋上に降りていた。そのとき地面が突然激しく揺れた。Bクラスの方から来たようだね。
グルサンが興奮して私のところに飛んできて抱きつく。
「やったね、レイラ、あたしたちの勝ちね!」
「うん!私たち勝ったよ」
狂暴な竜巻が一階から三階まで全部破壊した。巨大な穴ができてしまった。
校長先生は怒るだろうな……
このとき初めて気づいたけど、氷山が前よりもずっと近くなっていく。
もしかして、この氷山は動けるのか?
あれは何だ?私たち三人が上空に飛んだときに見つけたのは、超大型のロボットだったか!しかも私たちの学校を破壊しまくっている。




