番外 侵入1
周りに催眠ガスが充満し、壊れた廊下、ゆかに散らばるガラスの破片。すべてがまるで終末のように訪れた。
ルーナの周りは突然歪み始める!これは空間魔法が発動しているのだ!彼女は急いで手を伸ばしてレイラを引っ張ろうとしたが、もう遅かった。
レイラだけでなく、彼女自身も転送されてしまった。ルーナは周りを見回したけど、ここは別の建物の中で、誰もいない。
しかし、廊下の奥から足音がゆっくりと近づいてくる。
ルーナは相手が誰なのか分からない。ひょっとして他の生徒かもしれない。
「誰?」
影から緑色の髪と確固とした目つきを持つ人が現れる。間違いなく邪教の一員——7号。
今回はメイド服ではなく、黒いかっこいいタイトな戦闘服を着ている。
ルーナが反応する前に、長剑が振り下ろされてきた。彼女は素早く避けて窓から飛び出した。案の定、7号も追ってきたが、彼女の目には殺気がない。
その時、左側から剣風がルーナに飛んできた。剣風はルーナの背後の廊下を破壊し、上部の建物も崩れ落ちてくる。
しかし、それは7号が振り下ろした剣風ではなかった。他の誰かのものだったが、それは誰のものだろうか?
ルーナが地面に着地すると、不死騎士が彼女の前に立っていた。
幸いにもルーナはすでに浄化者の剣を出して不死騎士の大剑を防いだ。
剣と剣がぶつかり合い、火花が散っている。空気さえも震わせた。 すぐにルーナは不死騎士の右腕の鎧を切り落として、不死騎士は慌てて後退して、ルーナがとどめを刺そうとした時、別の不死騎士が彼女の背後に突進してきた、でもルーナは空中で回転して避けた。
「お前らはあのロサナの手先か?」
相手は何も言わなかった。前のルーナの胸をじっと見ていた不死者とは大違いだ。奴ら感情や感覚もなく、この二人の不死騎士には知性や意識もなさそうだ。
7号もここにいるから、ルーナは彼女の実力をよく知っている。とても手ごわい敵だ。
だから彼女も7号に注意していたが、彼女は二人の不死騎士と手を組んでルーナを攻撃する様子はない。
実力探るつもりなのか?それとも別の目的があるのか?それと彼女は見ているだけで面白いと思っているのかもしれない?
二対一の状況で聖女の力を使わないと厳しいだろうな。それは聖女の力が普段よりも多くの魔力を消費するからだ。
ルーナには女神の印があり、女神から授かった力を使うことができるけど、ロランドによると、それは魔王に対抗できるほどの力だというが、寿命を大幅に減らすって言った。
女神の印はやむを得ない時にしか使えない。ロランドが何度も強調しなくても、彼女はよく分かっていた。
二人の不死騎士は再び連携してルーナに襲いかかってくる。
今回も同じだ、彼らは偽の動作で彼女を欺こうとする。しかしルーナはこんなに厳しい剣術訓練を受けたから、この程度では騙されない。
ルーナは剣風で彼らを撃退しようとしたが、彼らの盾で防がれた。 相手の不死騎士は本当に強力な戦士だよな。
戦闘経験豊富で、これは本当に厄介なことだ。ルーナが一方を攻撃しようとすると、もう一方が飛びかかってくる。
彼らの剣術は非常に強く、高強度の剣術訓練を受けた人でも、二人の不死騎士の攻撃に同時に対処することはできない……
どうすればいいのだろうか?彼女は聖女の力を使うべきなのだろうか?使えば魔力が急速に消耗されるし、傍にいる7号も見ているのだぞ。
ルーナは目を閉じて、何かを思い出しているようだ。両手で剣を握りしめ、虚無の状態に入る。
-以前の訓練場で-
『ルーナ、さっさと起きろ』
『クソ、お前強すぎるんだよ。全く弱点がないじゃない!』
『ふんっ!こんなお前じゃ何もできねえ。言ったろう、相手の刃に注意力を集中させるばかりじゃだめだ。相手の表情や殺気も見ろ』
『ああ!私もそうしてるわよ!お前本当にチャンスをくれないなぁ』
『現実では誰もチャンスをくれないぞ。覚えておけ、相手の目を見るだけでなく、殺気も感じる。一番大事なのは迷ってはいけず自分の直感を信じることだ。迷えば一瞬で命を失うぞ。強い剣士は自分の感覚に集中する必要ある。まだ分からないなら、起きろ。分かるまで練習しろ』
そうだよ!相手の目を見ろ、相手のすべてを感じろ!ルーナは先生の言葉を思い出した。
ええと、待てよ!相手に目がないじゃないか。真っ黒な骸骨だけで、顔にも表情がないぞ。
ルーナは今の状況が全く違うことに気づいた。 不死騎士は再び左右から挟み込んでルーナを仕留めようとしたが、彼女は何かに気づいたようだった。
「極光巨剣斬り!」
光の柱が横に振るって、不死騎士たちは巨大な光粒子の剣で真っ二つにされ、黒い砂となって消え去る。
全く苦戦せず、簡単に不死騎士を倒した。やはり彼女は聖女の力を使ってしまった……
7号は驚きながらもこれを見て拍手している。
「お前の剣術すごいな。僕から見てもお前の剣術はかなり優れているぜ。改造された接近戦型不死騎士二人とこんなに長く戦える奴はそう多くないからさ。それに聖女の力があるんだろ?なんで使わないの?」
「お前の言う通りだ、クソ7号……」
7号は彼女の後ろに現れて、倒れた廃墟の上に座って足を組んでいる。王宮で見たときと同じ冷酷さではなくのんびりとした表情をする。おそらく今のルーナでは彼女に敵わないと思っているのだろうね。
「何のつもりだ?」
「別に。前回は時間がなくて早く任務を終わらせるためだった。今回は違うぞ。お互いに時間たっぷりあるし、聖女の末裔として仲良く話せよう。僕は初代聖女の最後の子孫だと思っていたが、お前に会うまでな」
「残念だったね、私もそう思っていたよ。お前の出現には驚いたぜ」
「ふんっ!お互い様だな」
彼女はもう座っていなかった。倒壊した地面に飛び降りて、ルーナから五メートルも離れていないところまでゆっくりと歩いてきた。
「じゃあ、何を話したいんだ?」
「うーん……考えてみると、例えばお前の出身や生活経験とか、例えばお前の両親は誰だとか、母親の方に他の親戚はいるのかとか、王政について何か考えある?」
「情報を聞き出そうとしてるんだろ?残念だけど教えないぜ」
「本当に残念だな。僕はお前に言わせるつもりだ」
今度は7号もさっきの軽さではなくなる。王宮で見たときと同じ冷酷さだ。
「どうした?もうやめるのか?両親や親戚が誰で、王政に対する考えは何か、お前を倒したら教えてやるよ」
「つまらん……」
続けてルーナは彼女の手元に変化があったことに気づいた。ルーナは剣柄をしっかりと握りしめていて、それから彼女は無意識に一歩後退した。
剣風がルーナの横を切り裂き、すべてを一掃し、何も残さず。
背後の建物もきれいに切り開かれ、刀痕だらけだ。ハサミで適当に切ったように、上のレンガも落ちてきた。
切り裂かれた草皮と湿った土が持ち上がり、空中で自由落下して、雨粒のように落ちてきた。
ただ一瞬で、7号の剣風はこんなに鋭いとは。ルーナと7号は鉄の対決を展開して、火花が飛び散り、二つの残像があちこちに飛び回っている。
そしてルーナは一剣で7号を撃退した!彼女はルーナの変化に驚いているようだ。
「気のせいか?お前の戦闘技術は以前よりももっと強くなった」 「そう言ってもらえると嬉しいわね」
「お前はスラム街出身だろ?王政や女神教会に対してどう思ってる?この機会に運命を変えたくないか?」
「あら、どうしたの、こんなことを聞くなんて。私の背景を調べてきたのね」
「いや、同じ聖女末裔として興味があるだけだ」
「さっきまで殺そうとしてたくせによく言うわね。私はお前みたいな聖女末裔を知らんぞ。でも、あのロサナはお前にとって何なの?気になるね」
「僕の過去、お前に知る必要ない」
二つの火花が草地で激しくぶつかり合い、気狭く暗い廊下で行ったり来たりしながら戦い、最後は建物から飛び出して空中で争う。最後に外に出る。
剣と剣はもう優しく触れ合うことはなく、狂暴に無情に殺し合った。
気づけば二人の身体には傷ができていたが、ルーナの方が多い。二人はまた距離をとる。
「王宮で会った時のお前と比べて、殺気が満ちて、集中力が全然違う。お前の剣術を極限まで引き出したな。楽しんでるぜ」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。聖女先輩よ」
「じゃあ、僕も全力出すか!」
「来い!」
そのとき、空に突然灰色の球形の小さなロボットが現れて、コウモリの翼をひらひらさせて7号のそばに飛んできた。小さなロボットは唯一の大きな目を開いて7号を見る。
「7号!言っただろう?彼女から情報を聞き出せって。情報を聞き出したら好きに殺してもいいから。今のあんたは何をやってるんだよ!」
なんか女の子の声だね。
「黙れ、2号。僕は今超興奮してる。邪魔するな!」
ルーナは困惑した表情をするが、彼女も相手が2号と呼ばれていることから、相当手強い相手だと分かっている。
眼球ロボットはルーナを見て、監視カメラに見られているような不快感を与える。
「ふふん〜今この辺りには大量の魔物や戦闘ロボットがいるんだぜ。生徒たちが無辜に死ぬのを見たくなければ素直に降参しなさい〜」
「卑怯なやつだな」
「あらあら、これは知恵っていうんだよ〜分かったかな〜」




