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 ドアを開けた瞬間、フランドとオエリちゃんが先に着いているのを見つける。


「ああ、お嬢様……えっ⁉」


 二人は驚いてこちらを見ている。だって、グルサンがここに来るとは誰も思っていなかったよね。

 空気は非常に冷たくなり、しばらくの沈黙の後、グルサンは我慢できなくなって、涙目で私を見て、マントを引っ張る。


「ええと、紹介するね、まあ、彼女の名前は紹介しなくてもいいけど……」

「さあ、グルサン姫、どうぞ座って」


 ルーナはすでにいすを用意して、グルサンに座るように合図した。でも彼女は私に一瞥を投げて、どうすればいいのかと聞いているようだ。いや、なんか母親のような役割になってしまった気がする……


「大丈夫だよ、グルサン。先に座って。オエリちゃん、お茶を出してあげる?」

「あ!はい。ど、どうぞ」

「ありがとう……」


 フランドは両手を組んで、信じられないように見ている。だって、私たちは公爵のクーデターを阻止する話をしに来たのだから、彼女の存在でそれを言えなくなってしまった。

 その時、周りに花びらが舞っているのに気づいて、窓から花びらが吹き込んできたのだ。考えなくても誰が来たかわかる。


「フェリクス兄ちゃん!」

「フェリクス、なんで窓から入ってくるんだよ。これからちゃんとドアから入れよ、わかったか」

「あはは、いや、ちょっと面倒なことがあってさ。でもさ、グルサン姫!ここに来てくれて嬉しいよ。ちょうどお菓子を持ってきたんだ。どうぞ」


 フェリクスは窓から飛び降りて座る。そしてポケットからお菓子を取り出してグルサンに渡す。


「ああ、ありがとう。では遠慮なく頂戴します」


 グルサンは北方のお菓子を味わってみたらしいが、とても気に入ったようで、ずっと食べ続けていた。


「グルサン姫、美味しいだろ。それは俺の故郷のお菓子なんだぞ」

「うん、うん!すごく美味しいよ!それにフォスコーロさんって呼んでいい?」

「え⁉俺の名前を知ってるの?」

「お前の名前は南方でもよく聞くんだから」

「あはは、ちょっと恥ずかしいな〜」


 フェリクスの名声が南方まで届いてるなんてちょっと意外だな。

 でも、フェリクスのおかげで空気が和らいだ。こんなに仲良くしてるのを見て、ルーナはもう待ちきれないようで、チョークを取って黒板に歓迎と書く。


「まず、私は秘密会の部長としてあなたの来訪を歓迎します、グルサン姫はオイスム教についてどう思っていますか?」

「え⁉魔王教のあいつらか?正直、あいつら嫌いよ。前に王宮のみんなを殺しかけたじゃん。あたしも含めてね。でも……」


 グルサンはめちゃ熱い目で私を見て、ちょっといづらい……


「でもね、レイラがみんなを助けたんだもの。本当にすごいよ!レイラ!強敵を追い払ってみんなを救ったんだって。なんと素敵、まるで物語の聖女みたい」

「あはは、いや、そんなことないよ〜みんなのおかげで相手を撃退できたんだよ〜」


 グルサンは私の手を握って、敬意と憧れの目で見ている。どうしよう、嬉しいけど、こんなに熱烈な女の子は怖い……


「あのさ、レイラ、私がグルサン姫と話してるんだから、口出ししないで」

「私のせい?」

「ズバリ聞くけど、グルサン姫は私たちと一緒に邪教を倒したくない?今なら部活に入れば、授業も部活もレイラと一緒にできるよ〜」

「入りたい‼」

「よしよし、部長としてあなたの入部を承認したよ。あとで申込書を出してね」


 私が切り札に使われたとは思わなかった。グルサンは少しも迷わずに秘密会に入ることにした。

 そして、ルーナはニヤニヤ笑っていて、強力な仲間が増えたと思っているのだろう。でもこれは本当のゲームじゃないんだから。

 彼女が女神様の任務を果たすために邪教を早く倒したいと思っていることを知っている。

 でも、ずっと気になっているのは、私たちの部活の顧問先生は誰なんだろう?こんな変な部活を許可したなんて。


「グルサン姫が俺たちの部活に入るのに賛成だぞ、楽しそう」

「ええと、僕も賛成しますよ」


 フェリクスは新しいメンバーが増えて嬉しそうだ。そしてオエリちゃんも手を挙げて賛成した。


「反対だ。理由は、王宮を襲った邪教徒と同じような強敵に遭遇する可能性があるからだ。もしあなたが怪我をしたら、新たな外交問題を引き起こすことになる」


 フランドはやはり彼女の入部に反対した。まあ、彼女の身分は問題だし、今は彼女の母国との関係が緊張しているし。

 しかし、グルサンは涙目で私を見て、その視線の攻撃に私は折れてしまった。


「グルサンの入部に賛成だよ」


 やっぱり私は身分は最優先ではないと思っているし、別にグルサンが私を慕ってくれて、彼女に入部させるからね。


「レイラ……お前本当に優しいね!」

「待って!近寄らないでよ!」


 グルサンはまさかの顔を寄せてきた……

 ルーナは黒板に私たち全員の名前を書いて、フランドだけ赤いチョークで消した。


「じゃあ四対一だね。グルサン姫、部活にようこそ。さあ!みんな拍手!パチパチ」


 拍手が鳴り響く中、ドアの外からノックの音が聞こえる。一体誰なんだろう?オエリちゃんがドアを開けたら、驚いた顔をする。


「王女殿下!あ!違う、カリーナ」

「うん、よしよし。オエリ、相変わらず可愛いわね」

「あはは……カリーナ、どうぞ入って」


 まさかカリーナだったとは思わなかった。でも何でここに来たんだろう?


「レイラ!」

「カリーナ?どうしてここにいるの?何か用事があるの?」

「とても大事な用事があるね」


 とても大事な用事?彼女は私にしがみついているグルサンに微笑んだ。


「グルサン姫、友達ができて良かったわね。フォスタンイーンはどうですか?」

「まあまあかな。あ!でも転校させてくれてありがとうね」

「お礼なんて言わなくていいわよ。ただの小さなことですから」


 くっつきすぎて暑くなってきたから、両手でグルサンを押して離れさせた。カリーナはその時私に耳打ちする。


「彼女をフォスタンイーンに転校させたのは戦争を防ぐためよ。大臣たちの意見だったの。わかってるでしょ」

「うん」


 カリーナは苦笑しながら私に無力そうに言った。これは彼女が決められることじゃないということはわかっている。

 やっぱり、この特別な時期にグルサンを転校させたのは別の目的があったんだ。

 その時、突然地震が起きて、机やいすが激しく揺れたが、すぐに止まった。みんなはなぜこんなに突然地震が起きたのか不思議に思っていた。

 その時、ルーナが窓を開けて外を見る。


「あれは何?学校が氷山に囲まれてるみたいだけど、あの規模はありえないだろ……」


 全員が窓の方に走って行って、ルーナの驚きを理解した。

 それは壮大な青い氷山でできた壁だ。私たちの学校を完全に包囲していた。

 え⁉あれは一体何?え!まさかクイリザル・カン国が私たちの国に攻めてきたのか?でもそんなはずはないよね……


「グルサン姫!これはどういうことだ?」


 フランドはグルサンを睨んで、すごく怒っているようだ。みんなも彼女に注目して、説明を求め。


「あ、あたしもわからないよ……少なくともあたしの国にはこんなに強い魔導士はいないはず。こんな規模の氷山を作れる人は珍しいんだから。それにあたしもここにいるんだよ、使用人がパパにも連絡したし……」


 グルサンはめちゃ慌てて、手を振り回しながら私たちに説明する。


「カンに連絡が届いてなかったのか?カリーナ、何か知ってる?」

「え⁉私に聞かれても……大臣たちはカンに連絡したはずだけど。フランド、どうすればいいの?」


 突然、爆発音が聞こえてきて、広場の方から来ているようだ。

 私たちの目に飛び込んできたのは大量の魔物、奴らは次々と私たちの学校に入ってきたが、広場で止まって動かなくなった。


「え!あれは魔物だよね?どうしてここに?まるで魔王時代が再現したみたい……え?待って!もしかして……」

「邪教徒が侵入したんだ。レイラ、今は感嘆するときじゃないよ。カンの軍隊じゃなくても、これは十分ひどい状況だ……」


 ルーナは机を叩いて、みんなに落ち着くように言った。


「私たちは二つのことを明確にしなくちゃ。一つ目はグルサン姫の安全を確保すること。二つ目は邪教徒をまた撃退すること!」

「ルーナの言う通りだ。今は落ち着くべきだ。まず俺はBクラスに戻って、みんなを戦闘に呼び出す。Aクラスはお前たち二人に任せる。できれば全クラスを動員して戦闘に参加させてくれ」


 フランドは私とフェリクスを真剣に見つめて言って、私たちもうんと頷いて同意した。やっぱりもっと人手が必要だし、私たちだけじゃこの侵入を撃退できないだろね。


「「わかった」」


 グルサンはすごく興奮して手を挙げて、まるで生徒みたいに先生に質問するような感じでフランドを見ている。


「じゃああたしどうすればいいの?どうすればいいの?」

「あなたはレイラと一緒にAクラスにいてくれ。あなたの安全はとても重要だから」

「やった、レイラ。一緒にいられるね!」

「あはは……グルサン、そんなに近づかないでよ」


 彼女はやっぱり私にくっついてきた。今の状況では仕方ないかもしれないけど、私とルーナがいれば確かに安全だろう。


「レイラ、私も君と一緒にAクラスに行こう。でも君も知ってるでしょ、私あまり役に立てないかもしれないけど……」

「大丈夫だよ、カリーナ。見てるだけでいいんだよ」

「本当にごめんね」


 みんなはそれぞれ自分のクラスに戻る。その時、Aクラスのみんなは窓の外を見て驚いていた。不安そうに話している。


「クイリザル人が魔物を送り込んできたのかな?」

「そうかもしれないね。合成魔物を研究してるって聞いたことあるし、それは禁忌だよね」


 カリーナはすぐに手を振ってみんなに気づいてもらおうとした。


「みんな、私の話を聞いて!」


 でもみんなはカリーナではなく敵国の姫に注目して、やっぱりグルサンが来てから学校がこんなことになったから、クイリザル人が魔物を送り込んできたと勘違いしてるんだ。

 人々の感情が暴走しそうだ。これじゃまずい!私はすぐにグルサンを守るように手をかけた。

 みんなに説明しようとしたとき、フェリクスが歌を歌い始める。とても美しい歌声、みんなの顔が穏やかになってきて、フェリクスを見つめる。

 その時、歌声が止まった。そしてフェリクスが大声でみんなに言う。


「みんな、聞いてくれ!今回の侵入はオイスム教が仕組んだことだ。みんな落ち着いて」

「フェリクス兄ちゃん……」


 フェリクスは私にウィンクして、ここは安全だと教えてくれた。やっぱりフェリクスは頼りになるね。


「みんな、机も用意しましたよ。今こそ僕たちが協力して邪教徒を倒すときです」


 オエリちゃんは机を正方形に並べて、会議ができるようにした。

 みんなはやっと私とグルサンから離れて会議を始めたが、彼女はめちゃ落ち込んでいるようだ。

 フェリクスは机を叩いて、先に発言した。


「俺たちは強くて賢くて、頼りになる代表が必要なんだ。あの悪党どもを倒せる人。彼女が魔物を簡単に倒して俺の命を救ってくれたのを目撃したんだ」


 みんなはその時私を見る。ええ〜恥ずかしいな〜

 うっふん、これは断るときじゃないわ。伯爵令嬢として、この時に立ち上がって自分のリーダーシップを見せなきゃ。どうやら服を整えなきゃいけないね、うん、でもみんなに拍手してもらってから出て行きたいですが……


「だから学校ランキング一位のルーナ・レイバウェスを俺たちのクラス代表に推薦する。みんな何か意見はないよね?」


 え⁉フェリクス兄ちゃん?

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