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「ごきげんよう、レイラ。舞踏会に参加した皆様が無事で何よりです」

「ごきげんよう、アンナ。心配してくださってありがとうございます。あら!あなたは相変わらず美しいですわね」

「なんておっしゃるのですか。それにあなたからいただいたプレゼントも素敵でしたわ、気に入りましたのよ」

「オホホ、それは良かったですわ」


 前はこんな話題に興味なかったけど、今の私は気分が変わってきたな。

 あー、学校の生活やクラスメートの顔が私にすごく落ち着く。今から次の授業に使うものも準備し始めよう。確か担任の先生の授業だっけ。

 そのとき、先生がドアを開けて入ってきた。もう授業の時間だ。みんなも席に戻る。

 しかし担任の先生の後ろには、なんとなく馴染みのある姿がついているけど……

 え?まさか!グルサンじゃん!彼女は私に気づいて、挨拶してきた。しょうがなく苦笑しながら手を振って返したよ。


「え!お嬢様、彼女は仲悪い国の人でしょね。どうして彼女がここに来たんですか?」

「わからないけど、彼女がここに来た理由はだいたい分かる……」


 先生は咳払いをして、手を上げて静かにするように言った。みんなは顔を見合わせて、話し合っている。こんな時期に転校生が来るなんて、めずらしいことだから。


「皆さんにお知らせがあります。私の隣に立っているのが新しく来た転校生です。さあ、自己紹介をお願いします。まあ、必要ないと思いますけど」


 グルサンは先生からもらったチョークを取って、さくっと黒板に自分の名前を書く。


「ふん!あたしはグルサンって言うのよ。クイリザル・カン国から来たの。あたしの名前をちゃんと覚えておきな。それからあたし、実力のないやつらと仲良くするつもりはないからね」


 やっぱりグルサンらしい自己紹介だな、クソガキね、生意気に言ってやがって……

 これでみんなは大騒ぎしたよ、だって南方大国から来た人だもん。しかも今はピリピリしてて、クイリザルはうちの国境で大規模演習をやってて、いつ攻めてくるかわからない危険があるんだ。

 でもグルサンがここに来てるってことは、そんなことはないんだろうね、多分。


「おいおい!冗談じゃねえだろ、あの名前知ってるぞ。あれってクイリザル・カン国の第二王女じゃねえか!」

「同じ名前の子だろう。こんな時にここに来るとかありえないから」

「いや、彼女は偉そうだし、本物かもしれないぞ」


 先生は止めるように言ったけど、みんなの話を止めることはできない。

 でも、グルサンは得意気に机の上に立って、みんなは彼女に目を向ける。だんだんと話をやめていく。


「そうだよ、みんなが思った通り!あたしはクイリザル・カン国の第二王女だぜ!ふふん、貴国に戦争をするかどうかって?しないよ。だってあたしは自殺するって言って、パパに侵略をやめさせたんだからさ。だから目の前の英雄に感謝しなさい」


 グルサンの言葉はかえってみんなを怒らせた。消しゴムやペンをグルサンに投げる人もいる。


「何してんのよ!戦争を止めた英雄に対してそんな態度はないでしょ!オランスド人は本当に礼儀がないなぁ!」


 下の生徒たちはムカついて、立ち上がる人もいるし。


「戦争したければかかってこい!オランスド人として、てめぇらみたいな南の野蛮人に怯えるなんてありえねえだろ!」

「そうだ!南の野蛮人がこんなに生意気になって!北の人間をバカにするなよ!」

「戦争が始まったら軍隊に入るぞ!前回の北方大戦みたいにお前らクイリザル人をぶっ飛ばすんだ!」


 ああ、状況はますます緊迫してきた。グルサンもこんなことになるとは思わなかったらしく、パニックになっていた。

 もちろん、彼女のせいだとは言えないし、北方四国連合とクイリザル人は深い恨みを持っているからだ。クイリザル人は北方諸国に侵略するために、北方人をたくさん殺したんだ。

 だからみんなは南方人を憎んでいる、特にクイリザル人を。

 うちの先祖も北方戦争に参加して爵位を得たんだ。みんなの気分が高ぶって、さらに衝突が起こる可能性があると考えて、私はグルサンをかばうことにした。


「みんな聞いて!グルサンも悪気はないんだよ。ちょっと生意気なクソガキだけど、本当は悪くない子だ。私がレイバウェス伯爵家の名誉をかけて保証するわ」

「レイラ……感動したけど、どうしてあたしをクソガキって言うの?」

「グルサン、私たちは友達でしょ?」

「え⁉ああ、そうだけど」


 よし、グルサンは私に乗せられた。それに私の話でみんなも消しゴムやペンを投げるのをやめた。しかし、みんなまだ不満そうな顔をしている。

 先生もこんな状況を見てほっとして、同時にグルサンに新しい席を割り当てることを考える。


「グルサンさん、フェリウェムさんの後ろに座ってください」


 でも私は思ってもみなかった。先生が私の後ろの子とグルサンを席替えさせるなんて!オエリちゃんじゃなくても最悪だよ!

 わああ、本当にめんどくさい……

 グルサンはみんなの怒りの視線を浴びながら、無邪気な顔で私の後ろに座る。

 彼女は慎重に振る舞っていて、またみんなを怒らせないように。

 そして彼女は指でそっと私の背中をつついて、小声で話しかける。


「レイラ、ありがとう。あたしはお前に会うために転校してきたんだぞ」

「あはは……そうなんだ……」


 気まずく笑って彼女に答えた。そして昼休み。


「ねえ,グルサン……」

「うん?」

「もうついてこないでくれる?下校するとすぐについてくるし,トイレ行くときも!」

「ああ!ごめん,レイラ。だってクラスで私の友達はあなただけだし,わかってるでしょ,他の人は私のこと嫌ってるみたいだし」


 彼女は純真な目で私を見て、正直言って私は辛い。

 だって私は彼女を本当の友達だと思ったことなんてないんだから。でもこんな目で見られたら言えないよね。

 今は彼女がこの学校にいる必要があるんだ。さもなければカンが侵入してくるかもしれないし。


「でもこれから私は課題レポートを提出しなきゃいけないんだ。だから一人で集中して書かせてくれない?」

「うん,いいよ」


 そう言って,グルサンは本当に教室を出て行った。でも私はグルサンの性格をよく知っている。

 すぐに私も教室を出て、振り返ると,彼女は教室のドアのところに立っている。カレシが宿題を終わらせるのを待つ可愛いカノジョみたいに。彼女の仕草はとても可愛いけど,私はちょっとイライラした……

 彼女は私が気づいたのに気づいて,舌を出した。


「あら!ばれたか。えへへ〜」

「……」


 仕方なく,彼女の可愛さに負けて許してあげた。

 でもこれから部活に行ってルーナやフランドと重要な話をする予定だったから、ちょっと困るな。

 まずい、彼女を振り切るいい言い訳がないよ。課題レポートなんてすぐに終わっちゃうし。

 ルーナは相変わらず自分の席に座っていたけど,時々こっちをチラチラ見て,私たちの様子を観察する。

 私たちは目が合って、一目で相手の考えが分かった。ルーナは立ち上がってこっちに歩いてきた。

 私に挨拶もせずにグルサンに小声で話しかける。グルサンの顔色がちょっと悪くなった。どうしたんだろう?


「ごめんね、レイラ。あたしが気づかなくて、お前のこと我慢させちゃって大変だよね」

「え⁉何言ってんの?」

「レイラ、あとでうんちしたいんでしょ?」

「はあ!!」


 ルーナを見ると、彼女は口を押さえてクスクス笑っていた。

 でもこのひどい言い訳のおかげで、グルサンはしぶしぶ私とルーナから離れた。


「さあ、これで行けるよね」

「あんた、グルサンに何を言ったのよ!うんちなんて全然淑女らしくないじゃない!私が勘違いされちゃったじゃん!」

「別にいいじゃん、それにみんなも私たち二人を待ってるし」


 部活に行く途中、後ろに誰かがついてくるのに気づいた。考えるまでもなく誰だか分かった。


「グルサンだよね……」

「あはは、見つかっちゃった?やっぱり天才だね、いつもすぐにあたしを見つけるんだもん」


 ルーナを見ると、彼女は私の意図を理解しているようだ。


「グルサン姫、私たちの部活に見学に来ませんか?」

「行きたい!」

 え⁉ここで彼女を帰らせるつもりじゃなかったの?もしかして彼女を仲間に入れるつもり?グルサンは確かに強いけど、それでも大丈夫なの?だって彼女は南方大国の姫だぞ。

「よしよし、私たちの部活はもちろん歓迎するよ。ねえ,レイラ」

「うん……」

 もう仕方ないよね。彼女を帰らせるとしたら,みんなに囲まれてしまうかもしれないし、仕方なく苦笑して答えた。

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