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神殿を出たら、周りにチラシを配っている人がいるのに気づく。一枚もらってみると、救済会の宣伝とスラムの今後の方針が書いてある。
でも、少し変なことに気づいた。中に特殊な文字があって、それを読めるけど、日付みたいなんだけど、ちょっと自信がない。
周りの精巧な飾りを見てみると、みんな祭りの準備をしているんだね。
スラムの生活は大変だけど、みんな尊厳を持って生きようとしているんだ。生活も自分たちの地位と同じにしたくないんだね。
その時、特別な人に気づいた。執事の服を着ていて、スラムとは全然合わないな。一目でわかるよ、高級な生地はここには似合わない風景だから、チラシを配りながら歩き回っている。
頭の中にその人の顔が浮かんできた。えっ!あれはコルネル・サンタヤーナじゃない?彼は道の角に立っていて、隣には箱が山積みになっている。箱の中にはお菓子みたいなものが入っていて、たくさんの色がある。
小走りで近づいて、彼と向かい合っている。でも、最初私に気づかなくて、身体の記憶で頭を下げてチラシを渡す。
それから私の手に目が行って、顔を上げたら、誰にチラシを渡したかに気づいて、驚きと信じられなさが顔に出ていた。
「フェリウェム様?どうしてここにいらっしゃるんですか?」
「コルネル君こそ?どうしてここにいるの?カリーナは?」
「ああ……これはね……」
彼は困惑して汗をかいていて、チラシを握りしめてしわくちゃにしてしまった。珍しいね、こんなに慌ててる姿も可愛いけど。
その時、私の目の前が突然暗くなった。同時に花の香りが鼻に入った。スラムの腐った匂いとは全然違う。薄いレースの手袋越しでも柔らかい手が感じられて、目の周りは繊細な肉の感触で満ちている。
「だーれだ?」
「カリーナ!」
「へへ〜当たりよ」
振り返ってカリーナを見て、笑顔で見つめ合ってから抱き合って、女神様の祝福を言ってお互いにキスをした。
彼女は黒いマントとフードを着て、サングラスをかけている。誰かに見つからないようにしてるんだろうね。まあ、王女だから。
「カリーナどうしてここにいるの?」
「ああ、慈善活動を手伝ってるのよ。スラムのみんながこんなに大変な生活をしてるから、ここで祭りを手伝うの。それに私は大切なスポンサーなのよ、パンと穀物は私が寄付したのよ」
「ええ〜すごいね。私、ちょっと恥ずかしいな」
「いや、結構普通のことよ。恥ずかしがることなんてないわ。それよりレイラはどうしてここにいるの?」
「いや、別に。神殿に行ってただけだよ」
「え?ここの神殿?初めて聞いたけど」
コルネルがカリーナに近づいて小声で話した。
「ああ、本当にこんなボロボロの神殿があるのね。あの神殿は品行方正で美しい神官様が住んでるって聞いたよ。その神官様はここではかなり人気あるのよ」
「え⁉本当なの……どうして見たことないだろう?間違って行ったのかな?」
チラシがいっぱい入ってる箱を見て、私も手伝おうと思う。
「あ!そうだ、カリーナ。私もチラシを配ろうか。ここのみんなのために何か貢献したいから」
「申し訳ありません、フェリウェム様。こんな卑しい仕事……」
カリーナがコルネルの服を引っ張って、彼の言葉を遮った。コルネルは逆に驚いた顔をして彼女を見て、少し嫌そうだ。
「もちろん大丈夫よ。コルネル、救済会の担当者に言ってくれる?」
「え⁉でも……わかりました」
そう言ってコルネルは担当者のところに向かう。でも彼は慌てていて、顔に汗が滴っていた。普段の彼とは違うね。カリーナは彼が人混みに消えるのを見てから、私に顔を向ける。
救済会って何だろう?貧しい人たちを助ける組織みたいだけど。
「救済会って?」
「ああ、スラムの住民が内部で組織した互助会よ。時々貴族や富豪が服や食べ物を寄付してくれたり、私みたいに手伝ってくれる人もいるわよ」
「ええ、そうなんだ」
カリーナは私が思っていたよりも優しくて善良だったな。自分も貴族なのに、スラムに来たこともなくて、ここの人たちがどんな生活をしてるかも知らなかった。
みんな何をしてるか、何を食べて飲んでるか、何で生計を立ててるか。
深く考えれば考えるほど、自分が恥ずかしくなって、カリーナに尊敬の念が湧いてきた。
彼女はしゃがんでコルネルの隣にあった箱を開けて、中からチラシを取り出す。立ち上がった時に、突然倒れてしまって、しかも平地で……
チラシは突然放された鳩のように、あちこちに飛び散って、空中で舞っていた。
「いたた!あ!チラシが……」
サンタヤーナがこんなに慌てている理由がわかったよ。それはカリーナなんだ! 急いでカリーナをささえて、怪我がないか確認したけど、彼女に押しされた。目にはたくさんの無念が浮かんでいた。
彼女を立たせてから自分はしゃがんでチラシを拾い始めて、すぐに整理できた。
「ごめんね、レイラ。わかってるでしょ」
「カリーナ、ちゃんと座ってよ」
「あはは、本当にごめんね。迷惑をかけちゃって……あ、私は本当にダメな人間だわね」
「そんなこと言わないでよ」
そうしてカリーナはいすに戻って、私がチラシを配るのを見る。
でも一枚配るごとにお菓子を一つプレゼントするから、すぐに人が集まってきた、特に子供たち。
やっと配り終わって、暇になったら紙箱を片付ける。
「ありがとう、レイラ。はい!これ報酬よ」
カリーナはお菓子を私に渡したけど、量が多くて、きれいな小さな箱に入っていた。
「カリーナ、太るよ」
「大丈夫だって。これくらいじゃ全然太らないよ。あ!思い出した、飲み物もあげる」
「え?カリーナ、これは……」
「何かわからないけど、きれいでしょ。飲み物だと思うけど?私もよくわからないの」
そうだよね、カリーナがくれたポーションはピンク色で、とても精巧。スクリンの町でもらった瓶と全く同じだ。
「誰かからもらったの。でも、これは友達にあげた方がいいと思うの」
「うん、ありがとう、カリーナ……」
気まずく苦笑しながら、そのピンク色のポーションを受け取った。
彼女の純真な目を見て、何も言えない。
ところで、彼女にこれをくれた人は一体誰なんだろう?純真なカリーナはこれが何かもわからずに受け取っちゃったんだろうね。仕方なく私が代わりに受け取った。ちょうどサンタヤーナも戻ってきた。
「救済会の担当者さんは大丈夫だって言ってましたよ。むしろあなたのお手伝いを歓迎してましたよ」
カリーナはその時私の手を引いて、一緒に走り出して、まるで可愛い彼女ができたみたいで、口元がつい上がってしまう。
「レイラ!次の場所に行こう!」
その後カリーナと一緒にスラムの孤児院を訪ねる。子供たちはぼろぼろの服を着て、栄養不足。食べ物や服をたくさん渡してからそこを出た。
その後カリーナは人を送って私を帰らせた。馬車に乗る前に彼女が私の手を引いている。
『レイラ、今日のことは誰にも言わないでね?』
『え!それはどうして?いいことじゃん?』
『ああ、だって私は王女なんだもの。こんなところに来たら、おじさんに怒られちゃう。だから誰にも言わないでね。約束して、レイラ』
『うん、わかったよ』
『ありがとう、レイラ。やっぱり私の一番の友達』
気づいたら自分の邸宅に戻っていた。カリーナみたいな不器用な女の子でも自分の価値を証明しようと頑張ってるのに、フランドや公爵の問題はもちろん、自分の問題も解決できてない。
せめてみんなの足を引っ張らないで、本当の魔女にならないようにしなきゃ。
そう思って自分の部屋に戻って、ロランドからもらった日記を開く。
ここにはあの魔女候補の研究が書かれている。中身がどんなものか気になって開いてみた。
『監禁されて3日目、やっとあのクソ魔女が見えた。でも彼女のパンツは赤色だったみたいだ、ちょっと大胆だね。女神様の召使いとして私はそんなの履けないよ、若者いいよね』
『解放されて5日目、あの魔女候補は頻尿症みたいだ、トイレに行ったり来たりしてる。彼女は甘いものが好きみたいだけど、太らないんだよね、羨ましい』
『7日目、あの魔女候補は私に治癒ポーションを作るように言った。まあ、お金はもらえるからまだましだけど、お金をもらえなかったら本当に呪ってやるぞ。しかし夜中に彼女が咳き込む声が聞こえることがあるけど、一体どうしたんだろう』
『16日目、彼女の体はめちゃ弱ってきた。時々血を吐くこともある。彼女は魔女候補の第二段階に入ったらこんなことはよくあるって言ってた。薬剤を増やさなきゃ……』
『30日目、ついに帝国正規軍がやってきて私たちを包囲した!多分これが最後にこの日記を書くことになるんだろうね、みんな最後まで無事でありますように。私はこの場所が嫌いじゃなかったから』
「これは何だよ!あの神官!」
ダメだ!声が大きすぎて迷惑かけちゃうよ。特殊なポーションの記録以外は、魔女候補のことについて何の役にも立たない情報ばかりだ。
魔女候補の第一段階と第二段階がどういう意味なのか、さらに知ることができない。
でも最後のページの内容が気になった。何も書いてなくて、ぞんざいな文字が一行だけある。
『さようなら、お前のために無料の葬式を開けなくてごめんね、本当にごめん』
これはどういう意味だろう?でもこの文字からは思い出や想いや感情が溢れているのがわかる。彼女にとってこの日記はとても大切なものだったんだろうね。




