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47厳しい事実

 さっきの言葉のせいで、彼に向かって少し緊張してしまった。


「おじいさん、何か用ですか?」

「別に、公爵様の命令を伝えに来ただけです。今日はたまたま公爵様が帰ってきたので、二人とも食堂に行って食事をしてほしいとのことです」

「フランドは?」

「フェリウェム嬢、ご安心ください。ここには専門の使用人が食事を運んでくれるから」

「うん……わかった」


 そう言ってとても紳士らしく去っていって、敵意なし。

 フランドを振り返ると、彼は涙目で私を見ていた。まるで誰も世話をしてくれない子犬のようだ。


「レイラ、ここから離れちゃダメだよ。僕はまだ君が必要だ…」

「はいはい。え⁉何言った!」

「お前が行っちゃったら、寂しくなるよ」

「あはは、本当に困ったやつだね。でも……あ!いいアイデアが思いついた!」

「「ん?」」


 二人とも不思議そうにしている。私にはぴったりの人選があるからだ。


「出てきて!ハルカ!」


 ハルカを呼び出して、今回は彼女に代わって出席してもらおうと思う。よく考えれば完璧な計画だ。


「わあ!レイラ、これは思いもしなかったわ。よく考えたらめちゃ便利ね、お前の使い魔」

「あはは、ちょっとうるさいけどね……」


 私の魔力を吸収して光り始める。でも今回呼び出されたハルカは私の姿に変化したのではなく、舞踏会に現れた黒髪の美少女だった……


「え!レイラ、これは誰?」

「知らん……」


 これはあの日の黒髪の美少女じゃないか?なぜ?彼女との契約絆は感じられるけど。ハルカに近づいて慎重に確認しようとした。


「ハルカかな?」

「ん?ハルカを見て何?なんでみんなそんな驚いた顔してんの?」


 その後ルーナが鏡を持ってきて彼女に見せた。でも彼女は驚かずすごく冷静。

 そして私の姿に変化して、今回はハルカの新しい能力も発見したね。

 まさか他人の姿に変化できるという能力だ。この能力も面白いね。


「他人の姿に変化できるなんて、彼女は誰?」

「夢で見た人だよ。ハルカは綺麗だと思って彼女の姿になったんだ」

「え!そうなの?」

「今回ハルカを呼び出したのは何の用?」


 彼女の性格を知っているから、素直に参加するとは思えない。だからお兄ちゃんを犠牲にするしかない。


「昼食に出席してほしいの。安心して、お兄ちゃんも来るよ」

「ハルカ行く!」


 ちょうどいいことに、使用人たちがドアをノックしてきた。ルーナは私にベッドの下に隠れるように合図して、私もそうした。

 でもなんと、ベッドの下にはエロ本とかがない!マジで信じられないよね。男の子のよ!

 その後、元気に跳ね回っているハルカを連れてルーナが去っていくのを見て、正直心配だね。

 ベッドの下からゆっくりと出てきたときには、フランドはもう立ち上がっていた。彼はまるで何事もなかったかのようだ!


「フランド!あんた!」

「ああ、俺は重傷を負ったふりをしてただけだ。あの仮面男は手加減してくれたし、俺の使い魔は身体強化の能力を持っているから、ジャクソンよりも回復が早いんだ。それにじいさんからの監視を緩めるためにも必要だ」

「エロ本がないってありえないよ」

「こら!俺を何だと思ってるんだ……それに気になるところがそこかよ!」


 今の床は、ひと山積みの包帯で埋め尽くされていて、絡み合って巻き付いている。


「自分をミイラにするのは、おじいさんと使用人たちを欺くための目くらましだろ。そうすれば動きやすいからでしょ」

「ふんふん〜そうだぜ。でもお前がいなかったら困っちゃうよ、だってこれから……」

「やだやだ!何言ってるのよ!」

「背中を叩かないでくれ……」


 フランドは苦笑しながら肩をすくめて、服を整えてから私の手を引いた。

 え!これって失礼じゃない!でも、彼の手はすごくしっかりしてるな。気づいたらもうドアの外にいた。


「レイラ!俺の話聞いてた?」

「え!ああ、どうした?」

「はあ、自分の魔力気配を隠さなきゃだめだよ。誰かに見つかっちゃったらまずいよ」

「わかった!」

「言っておくけど、俺たちは遊びに来たんじゃないんだぞ」


 言い終わると彼も私の手を離した。ちょっと残念だな……

 違う!何考えてるんだ!私は大人だよ!こんな程度で何もない。


「レ!……」

「……」


 ふくよかな唇に息遣いが合わさって、彼が振り返るとき、あやうくキスしちゃうところだった。


「ご、ごめん、レイラ、本当にわざとじゃないんだ」

「私もごめん、全然気づかなくて……」


 空気が凄く気まずくなった。カーペットに潜り込みたくなるほどだ。

 使用人たちを避けて、屋敷を出て、奥まで行く。ここは巨大な庭園の迷路だ。色とりどりの花が咲き乱れていて、とても美しい。

 それに像のある池もあって、静かで平和。

 私は彼について迷路の奥へ入った。え⁉私と一緒にいたいってどういうこと?しかもこんなロマンチックな場所?まさか!


「これがお前が必要な理由だ……ん?レイラ?俺の話聞いてるか?」

「ごめん、さっき聞き逃しちゃった……」

「まったく、感じられるか?」


 ん?確かに魔力の気配が少し感じられる。これって魔法扉か? 近づいて見ると、よく見えるように偽装されていることに気づいた。ツタで覆われた壁の中に魔法扉がある。


「開けられるか?開けられなくても大丈夫、だって俺さ、半年かけても開けられな……」

「あ、開いた」

「え?」


 意外と簡単だった。これは第六魔女が作った魔法扉よりずっと簡単だ。特殊な鍵が三つかかっているだけで、全部解けば開く。

 フランドは怒ったように私を見た。ん?ここは喜んでくれてもいいのに?


「どうかした?」

「ふっ!別に、行こう」

「ああ、わかった」


 フランドはちょっと不機嫌そうだけど、ちょっとわからないな。

 でも、扉を入ると下水道の悪臭が鼻について、吐きそうになった!

 それは死んだネズミと腐った卵が混ざった恐ろしいガスだ。でもフランドは全然平気そうで、無表情に立っている……


「フランド、よくこんな気楽とは」

「まあ、これより臭いものを嗅いだことがあるから、慣れたら大丈夫だ」

「す、すごい……ここ本当に臭いよ。私は伯爵令嬢なのに、こんなところに来るなんて」


 私の上品で優雅なドレスが汚れるのを防ぐために、周りの状況に注意しながら歩いている。


「フランドはどうやってここを見つけたの?でもこの魔法扉の魔力気配はすごく弱いよ」

「昔、おやじが一味とこっそり入って行くのを見たんだ。興味があるし、最近のこともあって調べてみる必要があると思ったんだ」

「うわあ!」


 やっぱり吐いてしまって、全然立派な淑女じゃない。伯爵令嬢として恥ずかしい。


「大丈夫か……」

「大丈夫……」


 下水道の横にもう一つ扉があって、上層に通じている。ここはずっと誰も来てなさそうだ。

 石段を上って行くと、また魔法で偽装された扉が現れた。

 また私が簡単に解いてしまってから、部屋に入ると自動的に明るくなって、その時、問題の深刻さに気づいた。

 部屋の中には催眠ガスのボンベや催眠ガスを作る実験室がある。それだけじゃなくて、王宮内部の地図や王宮内部警備の分布図もある。

 黒板には私とシスネロスの名前と写真まで出ている……


「フランド、これってまさか……」

「当たりだ」


 部屋の中のものをよく調べると、王宮暗殺計画や関連する書類が確かにある。ここは邪教徒たちが王宮襲撃を計画している場所であり、これに関してはもはや疑問の余地はないと思う。

 でもこれが一番変で信じられないところだ。なぜ公爵家の下水道にこんなものがあるんだ?


「クソオヤジめ!こんなこと……」


 公爵が邪教を助ける理由や動機が理解できない。多分フランドしかわからないだろう。

 フランドの顔を見ると、今は怒りと無力感で満ちていて、机の上の書類に手を当てているだけだ。


「おじいさんは父に王位を残さず、カリーナの父に渡したんだ。これだけでも彼は不満だったよ。だって、兄なのに王位は弟に行ったんだから。それでおじいさんをずっと恨んでいたんだ」

「でも、現国王を殺して王位を継ぐとしても、邪教に協力してクイリザル・カン国の姫を暗殺するなんてありえないでしょ……」

「その通りだ、危険すぎるし、おそらく他にも可能性ある」

「でも、公爵に聞くしかないんだよね」

「彼が素直に答えてくれるとは思えないけど……」


 そう言って二人で後ろに気配を感じた!振り返ると、そこにはおじいさんがいた。私でも全然気配を感じなかった。おじいさんはやっぱり強い。


「フランド様……」


 フランドは怒って飛びかかり、彼の襟首を掴んで、怒りというよりも悲しみが彼の顔に表れている。


「なぜ邪教と手を組んだんだ?あのクソオヤジはただ王位が欲しいのか?」

「分かっていらっしゃるはずです、フランド様。これは国王の偏愛です。公爵様の気持ちを一度も正しく見てくれなかった。幼い頃からすべてを弟に与えたんです」

「それが邪教と協力する理由になるか!お前が港で会った仮面男だろ!剣の勇者の子孫として恥ずかしくないのか!魔王を信奉する奴らと手を組むなんて……」

「わしは承知しております。これは女神様や先祖に対する冒涜です。しかし、公爵様はわしに恩があります。ご存知の通りです……」


 フランドは彼の襟首を離し、後ろの椅子に力なく座った。こんな場面では私も口を挟む余地がない。

 今の私はただ困惑して傍で見ているしかない。雰囲気を和らげようとしても何も言えない。


「フェリウェム様はどうしてここにいるんですか?あなたは食堂にいたはずですが」

「ああ、そうだった。あれは私の使い魔だ」

「そうなんですか、そうなんですね」


 空気がまた凄く冷たくなる。フランドはもう我慢できなくて、その場を飛び出して行った。多分彼の父親を探しに行ったんだろう。


「あの……あなたは何とお呼びすればいいですか」

「そんなに礼儀正しくしなくてもいいよ、フェリウェム様。アリートと呼んでくれていいですよ」

「アリートさん、王宮暗殺事件について知っていますか?」

「わしは王宮暗殺の詳細は知りません。ただ公爵様の命令に従っていただけです」

「選択肢がないからですね」

「わしに理解してくれてありがとう。あなたはとても賢い女の子ですね」


 彼が敵ではないことをよくわかっている。シスネロスやフランドを重傷にしなかったし、私に対しても敵意や思惑は感じられず、ただ単純に実行者だ。


「あはは〜そんなことないですよ〜じゃあ私はフランドを追いかけますね」

「行ってらっしゃい。多分あなたしか二人の争いを止められないでしょう」


 でも早く追いつかなきゃ、もっと大きな衝突やトラブルが起きるかもしれない。

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