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38楽しい舞踏会

 7号は光の粒子でできた斬撃を再び私たちに放ってきた。その衝撃波はあまりにも大きく、建物全体を破壊するほどの威力!

 ルーナは聖女の力を使って『神聖の盾』でやっと防いだが、衝撃が強すぎて私たちは建物の中に吹き飛ばされ、ゆかに重く落ちた。


「くそっ!畜生!痛いっ!」

「ルーナ、文句を言う時間があるなら、次の攻撃来るぞ!」

「わかってるって!」


 7号が再び光魔法の斬撃を放ったが、今度は二回振った!

 これはまずい!とっさに風魔法でルーナを弾き飛ばし、自分を守るために大型魔法の風壁ケリスのバリアをかけたが、衝撃波は私たちと建物全体を吹き飛ばし、私とルーナは重傷を負ってしまった……

 でも、ルーナは聖女の強い魔法耐性と身体耐性を持っているから、たぶん大丈夫だろう。私が皆を地下室に転送し、お兄ちゃんの石の加護があるため、皆が無事だと思う。


 でも私の状況はあまり楽観的ではないようだ。意識はぼんやりしてきて、全身が重くなっている。

 ああ、たくさん血を流したんだ。痛みさえ感じられなくなってきたのも、そのせいだろう……


「くそっ!死ぬなよ!アホ!立ち上がれ!私の計画を止めるって言ったろ!だから死ぬな!」


 ルーナは私を治療するために全力を尽くしているようだ。声もかすれて、泣きそうな声も聞こえてくる。泣いているのか?

 周りの空気は冷たく、雪が舞っている。私は身動きが取れず、体がどんどん冷たく感じ、唯一感じられることができる温かさは、自分の血だけだ。

 今日からすべてが始まった理由を思い出そうと努力したが、私の意識は.....

 疲れた、眠りたい.....


 こんな時に、何かが私の魔力を吸い取っている感覚がある。主人が死にかけているのに。ハルカってやつ、まだ私の魔力を吸収している……

 でも、一番驚いたのはハルカが私の呼び出しもなく自分で出てきたことだった。でもどうでもいい、私たちは死ぬ……


「ったく、ちょっと寝ただけで主人のお前が死にかけてるなんて。ハルカの気持ちも考えてよ!ハルカはみんなともっと話したいし、もっと意味のある一日を過ごしたいんだぞ!だから……ハルカのために生きてよ!」


 もう話す力もないな。ハルカに反論したいけど。


「わあ!!はああ……」


 私は血を吐いた。意識は戻ってきた!ハルカに私の医術があることを知っていたけど、本当に私を救ってくれたとは思わなかった。

 ルーナは私を抱きしめている。やっぱり泣いていたんだね、私も彼女をしっかりと抱きしめ、彼女の頭を撫でる。

 しかし、このような温かい場面は長く続かなかった。7号が私たち三人のわずか4メートル先に立っていた。そのスピードはとても速く、戦争女神の加護でも見えない。

 ハルカは怖くて動けなくなってしまったが、ルーナは7号を無視して私を抱き続けていた。諦めたのかな……私だったらそうするかもしれないし。


「おままごとは楽しかった?僕は面白そうだと思ってちょっと見てたんだけど、もうゲームは終わりにしようか」

「ああ、そうだ!7号、あの聖女の目玉を壊すなよ。あれは貴重な研究材料だから」

「ご安心ください、ロサナ様。彼女に関しては全身を残しておきますよ。あなた様の研究に便利でしょうから」


 私たち三人は近すぎて逃げることもできない、何をしても無駄だ。

 相手は剣を持ち上げ、私たち三人を一撃で殺そうとしている。もう万策尽きた……

 その時、私の心臓が激しく痛み始めた!ハルカ、せめて私を治してくれよ!でももう意味はない……

 しかし、私はまるで時空が凍りついたかのように感じた。誰も動いていない。7号はまだ剣を振り下ろすこともできずにいる。


 雪の舞いも止まってしまった!何が起こっているんだ?まるで時間が止まったかのようだ。

 自由に動けることに気がついた私は、ルーナを押しのけてゆっくりと立ち上がる。でも、私は魔法も使えないし、魔力も感じられない……

 そのとき、私に見えたのは、後ろに立っていた黒髪と紫色の目をした女の子だけだ。彼女はとても美しかったが、顔に黒い印がある。

 彼女は私に微笑んだけど、それは優しくて魅力的な笑顔だった。私は何となくぞっとする。

 彼女は一体誰なんだ?私の人生では彼女に会ったことがない……


 前世で会った人だろうか?こんなに綺麗な人が印象に残らないわけがないし。

 まるで私に何かを言っているようだが、私は聞こえないし、分からない!彼女はゆっくりと私に近づいてきたが、ちょっと恐怖で後ずさりした。やっぱり怖いんだよ。

 しかし、もう逃げ場はなかった。背後には崖があり、もう少し後ろに下がれば落ちてしまう。


 彼女は腕を上げ、私の顔に触れようとしているようだった。私は目を閉じて彼女に触らせる。

 彼女は私の手をゆっくりとキスし、私の頬までキスを続けた……

 私は可愛く人気があるけど、女の子と付き合うつもりは全くなかった!やっぱり男の子が好きだ!


 彼女は頭を寄せて、私の頭に触れた。突然、私の体から不気味で奇妙な魔力が溢れ出した。

 私がゆっくりと目を開けると、彼女は黒い蝶に変わって消えてしまって、その蝶もゆっくりと灰になっていく……

 私が我に返った時、ルーナがまだ私を抱いていたことに気がついた。先ほど彼女を押しのけたはずなのに……


「待て!7号、そこから早く離れろ!彼女はおかしいぞ!」


 不死の魔法使いが彼女に向かって叫んだ。とても焦っていた。7号は何が起こったのか分からず、首を傾げて不死者の方を見た。


「うん、どうしましたか?ロサナ様?」


 私は右手を上げて、彼女に向かって、中規模の闇魔法――『闇粒子砲』を放つ。

 7号は気づいた。まるで噴水のような巨大で強力な闇魔法の魔力が彼女に襲いかかった。


「つまらない、神聖の盾!」


 しかし、光でできた盾は私の暗黒魔法を防げず、巨大な魔力が彼女を空中に押し戻した。


「畜生!これは何の威力だ!」


 彼女は必死にもがいたが、やっと私の闇魔法を隣に弾き飛ばし、闇粒子砲は魔法のバブルを壊した。

 そして私は魔力の出力を停止し、彼女の盾はすでに光の粒子に変わって消えてしまった。彼女を奇襲して打ち負かそうとしたが、私の体は重傷を負っており、まだ完全に回復していない。


「くそ!何が起きているんだ?ロサナ様、なぜか彼女の魔力が急に強くなった!」

「思ってもみなかった、本当に思ってもみなかった……私たちの運がこんなに悪いとは。聖女末裔と魔女候補に同時に出会ってしまった。本当に最悪だな」

「え⁉魔女候補⁉ありえない!信じられない!」


 7号は怒って再び光の斬撃を放ったが、私はケイリスのバリアで防いだ。これに彼女はめちゃ驚いた。


「今回はあんなに簡単に防がれたなんて……」


 この時、金色の光が不死魔法使いに向かって飛んできたが、闇魔法の盾で跳ね返した。

 しかし、私はその金色の光が誰から放たれたのか全くわからない。


「7号、撤退しよう。彼らが近くにいる。レイラ・フェリウェムはまだ戦えるようだ、これ以上戦っていたら王宮騎士団と戦うことになるぞ。私たち二人でも、王宮騎士団全員と戦うことはできない。早く行こう!」

「くそっ!悔しい!次は必ず殺してやる!」


 不死魔法使いは不気味な扉を空中に開き、7号は先に入っていったけど、不満そうな表情を浮かべている。

 その後、不死魔法使いは私たち三人を見つめている。


「思いもよらなかったよ。完全に失策だ。しかし、てめぇらも喜ぶのは早いよ。いつか必ず戻ってきて、お前たちを殺す。信じてるよ、すぐにまた会えるさ。ああ!もう一つ言い忘れたことがあった。楽しい舞踏会をお祈りします」


 言い終わると、不死魔法使いは紳士のように私たち三人に一礼し、不気味な扉の中に消えていった。

 敵の魔力反応が消えたから、私もルーナに倒れ込んで意識を失った。

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