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4.予想外の初めての授業

「ごきげんよう、聞いたわよ、あなたが龍馬に飛ばされたって噂、大丈夫?」

「ごきげんよう、もう大丈夫よ、女神アニナがあなたたちを守ってくれますように」

「「女神アニナがあなたを守ってくれますように」」


 ああ、嘘でしょ、まさか本当に学校中に広まってるなんて。でも、私のクラスはあまり反応がないみたい。

 彼女たち二人がだんだんと離れていく姿を見て、やっと彼女たちの身分を思い出した。

 二人の女生徒のうち一人は伯爵の娘で、もう一人は商人の娘。

 そういえば、転生してから二年間冒険者として活動していたせいで、同年代の貴族女性とあまり交流してこなかった。

 貴族になってからは、お世辞を言ってくる人が多くて慣れてしまう。

 もし貴族じゃなかったら、こんな名門令嬢たちが私に構ってくれるわけがないわよね……


 オエリちゃんと同じクラスだから、教室の場所を教えてもらって、やっと自分の席に戻れた。

 私は今一年Aクラスに配属されている。開校式の最初の授業に遅れてしまったから、他に知り合いがいるかどうかもわからない。

 もしかしたら以前会ったことのある他の貴族もいるかもしれないわね。貴族としては互いに挨拶するのは必要だ。お父様もそう言ってた。


 そんなとき花びらが教室に飛んできた。みんなが花びらが飛んできた方向を見る。

 え⁉これはどういうこと?このとき私は気づいた。これはフェリクスが来たということだ。

 花びらは教室の窓から飛んできて、フェリクスが外から入ってくる準備をしている。

 フェリクスはどうしてわざわざ窓から教室に入ろうとするのかわからないけど。


「みんな!元気か!」

「「「フェリクス様!」」」


 女子生徒たちは騒然としてフェリクスの周りに群がった。フェリクスにはもう一つ重要な身分がある。それはアイドルだ

 これが原因で毎回こうなるんだ。


「フェリクス君、俺、君超好きだ!」


 男子生徒まで…

 でも否定できないのは、フェリクスは今北方で一番人気のある若手歌手でダンサーだということだ。

 小さい頃からスカエリヤ帝国の大劇場で育ち、王様にも芸術的センスを認められている。


 私は早くからフェリクスと接触していたから、彼の魅力や美貌に慣れてしまった。

 フェリクスは私に気づいてウィンクしてくれた。

 キャー、嫌だ!本当にかっこいいわ!フェリクス、知らず知らずに笑ってしまった……

 いかんいかん!自分の顔を叩いて冷静になろうとした。 私は優秀な淑女よ、痴女じゃないの。

 まだ完全に免疫ができてないなんて、フェリクス、もしかしてサキュバスなの?


 そういえばゲームのヒロインもAクラスだぞ。さっき教室に入ったときも確かに彼女を見た。彼女は自分の席で本を読んでいた。

 ゲームでは貧民の身分で、名門貴族だらけの学校で浮いている。 悪役令嬢として、彼女に挨拶に行くには『友好的な人たち』を連れていくべきかな?でも、考えてみたらやめた方がいいかもしれない。

 私たちの学校は一年生に五つのクラスがあって、一つのクラスに四十人ぐらいだ。

 一年にこれだけしか受け入れないし、北方全域から、それどころか他国からも優秀な生徒が来るから、席はとても貴重なのよ。

 ここに来る生徒はみんな優秀だから、今まで退学させられた人は一人もいない。


「あっ、お嬢様、やっと来ましたよ」

「オエリちゃん、同じ席になれるなんて思ってもいなかったよ」

「うん、お嬢様と一緒にいると安心しますね」

「こっちも」


 人々のざわめきの中で、ドアが開く音が聞こえた。やっぱり先生が入ってきたんだ。


「さあ!みんな早く自分の席に戻りなさい、授業が始まるわよ。あそこの人たち、席に戻らないの?」


 そう言って、フェリクスを囲んでいた人たちはすぐに消えていった。フェリクスも素直に自分の席に戻ったけど、私とオエリちゃんに手を振ってくれた。

 私も微笑んでフェリクスに返した。


「さあ、みんな外に出て準備しなさい」


 その後私たちは先生に呼び出されて外に出た。これから私は知ってることだ。

 ゲームで一番面白いことがやっと来る!それは使い魔を召喚することだ。

 使い魔は自分の特性に合わせて召喚される魔物で、主人の魔力で生きている。使い魔は一生一人の主人しか認めない。

 空き地に連れて行かれた。周りは手入れされた木々で囲まれていて、革靴が柔らかい芝生の上を踏んだ。

 とても気持ちいいわ。風も日差しも優しい。


 これは全一年生の使い魔召喚の授業だ。先生もたくさんいる。

 各クラスに一つずつ試験場所が割り当てられていて、近くの場所にある。さっきBクラスのお兄さんも見えたかしら。


「よく聞きなさい!本だけ読んでも具体的な召喚方法はわからないわ。さっき教えた手順を覚えてる?でも急がなくても大丈夫よ。三時間目も私の授業だから、この二時間で自分の使い魔を召喚しなくちゃダメよ。さもなければ、減点されるからね」


 フォスタンイーンでは学業成績だけじゃなくて、日常行動やこんな実戦評価もあって、審査はとても厳しいわ。

 みんなやる気満々の様子だけど、私はもうずっと練習してきたから。

 使い魔を召喚するには祭品が必要で、特別な祭品はとても手に入りにくくて、普通は歴史の深い学校の期末試験でしか使えない。

 一般人や貴族でも簡単に手に入れられないし、これは軍用物資だから、勝手に売ったりしたら重罪よ。


「皆、よく聞いて!本を読むだけでは正確な召喚方法を知ることはできません。さっき教えた手順を覚えてた?でも、焦る必要はありませんよ。次の授業も私が担当するから、2つの授業で自分の使い魔を召喚しなければならない。そうしないと、減点されることになりますわよ」


 フォスタンイーンでは学業成績だけじゃなくて、日常行動やこんな実戦評価もあって、審査はとても厳しい。

 でもみんなはやる気満々みたい。私はもうずっと練習してきたから。


「では、さっき言った通り、まず特性水晶球のところに来てね。一人ずつ順番に」


 みんな一人ずつ並んで行った。私はオエリちゃんを後ろに並ばせた。

 でも、ヒロインが私の前にいることに気づいた。私はとても好奇心旺盛だから、彼女の本当の実力がどうなのか知りたかった。

 特性水晶は生徒たちの能力を見ることができる。光が強ければ強いほど能力も高い。

 やっとヒロインのレイバウェスの番になる。間違ってなかったら、彼女が出す光はとても強烈で、みんなを驚かせるほどだったはず。だって、彼女は聖女の末裔なんだから!


「さあ、次の人」


 そう言って、レイバウェスは水晶球から離れた。

 え⁉どうして特性水晶が眩しい光を出さなかったの?他の生徒たちの光より少し明るい程度だったわ。まだ疑問に思っているとき、私の番になった。

 深呼吸して、魔力を特性水晶に注ぎ込んだ。 すると突然召喚球が眩しい光を放った。私は何も用意していなかった目に光が突き刺さった。

 苦しみに耐えながら、周りから話し声が聞こえた。


「これはすごい!」


 私は先生の驚嘆の声しか聞こえなかった。

 視力が回復したとき、みんなは驚いた顔で私を見ていた。

 まさか私が聖女だなんて……

 でもそれはありえないわ。私は誰よりもわかってる。

 魔力の注入をやめた。光が徐々に消えていく。でもみんなはまだ驚いている様子だ。

「あの……これはどういうことなの?」


「これは凄い!」

「えっ!?先生?」

「これは凄い!」

「もう、どういうことだってば!先生」

「あなたは非常に優れた潜在能力を持っています。もし間違っていなければ、確かに学校で第2位のレイラ・フェリウェムさんだよね。フェリウェム伯爵家の娘で、幼い頃からすごく賢い。耳にしたことあったけど、まさかそこまで……」

「ええ~~まったく、先生、何言ってますの?わたくしなんて……えっ⁉ちょっと待って、先生……私って第2位なの?」

「え?まだ知らないの?私たちの学校には百年に一度の逸材が3人もいるということを……」

「2位か……」


 私は考え込んでしまった。成績表に間違いなく私は一位だったはず。二位はあのフランド・アゴストで、彼は百四十三点を取っていた。

 三位は私たち二人に遠く及ばず、百三十点しか取れなかった。

 認めたくないけど、思い当たる人物はあの人しかいない。


「それでは、先生、第1位は……」

「そう、ルーナ・レイバウェスさんなのよ。今日転校してきたばかりで、才能も素晴らしいし、発した光もとても美しいわよ」


 先生を無視し、レイバウェスをじっと見つめて、彼女はそれに気づいたようで、にっこりと微笑んで私を見ている。

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