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32ミッドナイトゾンビバンド⁉

「本当に思いもよらなかったわ、あの古代ダンジョンが第六の魔女が作ったものだったなんて。だから納得できるわ。邪教徒は設計図を手に入れて戦闘用ロボットを作ろうとしてるのね」


 五百年前の第六の魔女は変な発明が得意な魔女で、実力も侮れなくて、剣の勇者たちにも大変な苦労をかけたらしいよ。


「問題は彼らが何をしようとしてるのかだよね?」


 フランドと私は考え込んだけど、すぐには思いつかなかった。自分たちの国を作りたいとか、単に戦力を増やしたいとか。


「うん、わからない。レイラ、設計図の中身を見せてくれる?」

「はい、どうぞ」


 三角錐の中身は魔力を注ぐと見えるようになってる。彼は中身をチェックしている。

 でも私はもう価値あるものはないと思う。だってロボットを作る設備も簡単じゃないし。

 フェリクスまたお菓子を持ってきて、今回お茶まで用意してくれた。


「お菓子だよ!これは俺の故郷の名物だから。みんな食べてみて」

「ありがとう、フェリクス兄ちゃん。美味しいね!」

「へへ~そうでしょ」


 フランドは考え事をしながらも、手が勝手にお菓子を取って食べてた。


「うわあ、おいしいね。俺たちでロボットを作れるかも」

「変形するやつがいい!あれが一番カッコイイよ。できれば飛行もできるやつ」

「いいね。フェリクス」

「へへ!そうでしょ」


 またドアが開いたけど、今度は部長だったか。


「さあ、みんな聞いてくれ。あれ?ここにお菓子があるじゃない。お、おいし、い」

「ルーナ、食べながら喋るな」

「フランド、お前は一度もお菓子を用意したことないだろ?」 「太るよ?」

「うるせぇ!」


 このままだと話が進まないから、私は咳払いして二人に注意する。

 ルーナはすぐに黒板の前に立った。

 私たちは発見したことをルーナに伝えた。彼女は驚いた顔をしたけど、すぐに落ち着いた。


「私もギルドで色々聞き込みしてきたんだけど、邪教の情報員に関係することがわかったわ。あのハンターは情報員の顔を知ってる唯一の人だから、彼の協力があれば邪教情報員を捕まえられる」

「え⁉ルーナちゃんがギルドで働いてるの?冒険者として?それともギルド受付として?」

「ああ、フェリクス、これは内緒にしておいてね。学校にバレたら処分されちゃうから。私はね、冒険者としてギルドの依頼を受けてお金を稼いでるんだ。だってフォスタンイーンの授業料なんて払えないもん」

「ルーナちゃんは何ランクの冒険者なの?」

「それはね、銀級ですが」

「わあ!すごいじゃない!すごいよ」

「あはは!そうでしょそうでしょ」


 ええ、ルーナがフランドにお金を払わせないなんて本当にすごいわね。

 冒険者ギルドと言えば、他の国には色々なランクがあるかもしれないけど、私たち北方の国には五つのランクしかない。鉄級、銅級、銀級、金級、金剛級の五つだけ。


 私が取った銀級冒険者というランクは騎士団団長レベルの実力らしい。

 本当の実力なら金級も受かるけど、あまり目立ちたくないから。

 金級の冒険者の実力は亜竜と互角に戦えるくらいだろう。そして亜竜はすごく強い生き物で、私たちの国の騎士団でも三十人以上が必要だ。

 金剛級の場合は想像以上の実力で、私たちの国の歴史でも五人だけだから、私には測りかねる。

 それ以外にも国家レベルの冒険者ランクがあって、賢者とか勇者とか聖女とかいう称号があるけど、それは付加的な名誉で、ギルドの試験は必要ない。

 でもフランドが足で私を軽く蹴ってきて、こっそり近づいてきた。


「ルーナあいつまだ俺に借りがあるんだ。まだ返してないから、何か勘違いしないでよ」

「ああ……」


 さっきのルーナに対する良い感情を全部取り消した。


「フランド、聞こえてるわよ。さてと、先生たちから言われたんだけど、フォスタンイーンの上位十名は王宮に行って舞踏会に参加することになったよ」


 その時私はお父様が言ってたことを思い出した。


「聞いたわよ。今回の舞踏会には各国の大使が来るらしいし、表彰式もあるんでしょ。スクリンの町防衛戦に参加した人みんな表彰されるって」

「え⁉そうなの?じゃあ時間があまりないね。受賞スピーチもしっかり準備しなきゃ」

「それは私がやることでしょ」


 このままでは話が進まなさそうだから諦めた。


「じゃあ始めよう!」

「え⁉何を始めるの?」

「もちろん歓迎会よ!」


 結局歓迎会と言ってもみんなでお菓子を食べてジュースを飲むだけだ……

 それからフェリクスを見ると、彼も気づいて動きを止めた。


「フェリクス兄ちゃんはどうしてこの意味不明の秘密会に入ったの?ルーナたちと一緒にこんなことをするなんて」

「はは、別にこれも楽しいし、面白いと思ってね。それにオイスム教にも好感は持てないし」

「そうなんだ」


 その後フェリクスはルーナの方を見て、優しい目で見ている。でも私はそれが気に入らない。


 -王都の服屋の中-


『王宮の舞踏会が終わったら、あのハンターを探しに行こう。もしかしたら邪教の情報員の正体がわかるかもしれない』


 部室でそれぞれのダンジョンでの経験を話し合って、邪教についての理解も深まった。

 でも舞踏会までまだ時間があるし、新しい服を買うべきだよね。特に私の隣にいる可愛い少年。


「お嬢様、なんで僕も一緒に来なきゃいけないんですか……」

「だって、新しい服を買うんだもん、せっかく私と一緒に王宮に行けるんだから」

「それでもなぜ女装の服屋ですか?」


 伯爵令嬢のイヴィリヤがやってきて、私たちに可愛い灰色のシャツと淡いピンク色のスカートを選んでくれた。


「見て見て、エザルドさんとすごく似合うと思わないんですか?」

「ええ……」

「イヴィリヤさん、センスがいいですね」

「へへ~」


 こんな可愛い服を着た彼の姿が見たくて、オエリちゃんを押して試着室に行かせて、彼は嫌々入っていった。


「もっと可愛いオエリちゃんが見たいよ。お願い!」

「エザルドさん……」

「今回だけですからね!」


 みんなの期待する目に合わせて、彼は本当に試着室に入って着替え始めた。


「あ!そうだ!レイバウェスさん、私はミッドナイトゾンビのライブがあるんですよ。ボーカルは最近イビリヤスで大人気の新人なんですよ。もう王都で地下ライブをすることに決まったんです」

「それは良かったですね。そのミッドナイトゾンビのボーカルは何という名前ですか?」

「ボーカルはバラ仮面という名前なんですよ。私は彼のファンなんです。彼の歌は力強くて情熱的で、聞き始めたら止まらなくなるんです。本当に素晴らしいですよ~」

「じゃあ一緒に行きましょう」

「うん」


 え?待って⁉バラ仮面って名前聞いたことある!それってフェリクスとシスネロスが出会った邪教徒じゃない⁉


「ミッドナイトゾンビのライブはいつですか!チケットは必要ですか?」

「え!レイバウェスさんがこんなに興味があるなんて。ちょっと感動しちゃった。ライブまでまだ時間があるよ、これはライブのチケットです、どうぞ」


 彼女の手には四枚のチケットがあって、一枚を私に渡してくれた。


「ありがとう。イヴィリヤさん。お返しを用意しますね」

「気にしないで」


 彼女の手からチケットを受け取って、日付を見たら王宮の舞踏会の後になってた。これは絶好のチャンスかもしれないね。

 その後、試着室のカーテンが開いて、白髪の美少女が現れた。


「スカートがちょっと短いね、下は冷たくて。すごく恥ずかしいよ……え!お嬢様!」

「レイバウェスさん!血!鼻血が出てるんです!」


 私の口元から血が滴り落ちて、その血の温かさが肌を通してハッキリ感じられるんだ。

 ハンカチを受け取って鼻血を拭くとき、手に持ってたチケットを忘れてた!しまった、チケット!残念ながら私の血で汚れちゃったよ……

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